善良なお巡りさんで幸せでした
幸い、近くにお巡りさんらしき人がいました。国境を見張る仕事でしょうか。身振り手振りを交えて説明すると、理解したようで、詰所様の建物の中に連れて入りました。私のパスポートを見ながら書類に書きうつしていました。そして二三電話しました。
しばらくすると電話がかかって来、お巡りさんが応答しました。もちろん、私には一言も理解できません。これからどうなってしまうだろうと、そればかりでした。明日同じ時間ここを通るであろうパクセー行きのバスでも予約してくれるのだろうか。今晩どこで寝泊りするのだろうか。日本人の私が食べられる物があるだろうか。などなど。
お巡りさんはオートバイを引いてきて、後ろに乗れと言います。しばらく走りました。二三キロ走ったように記憶します。植物の葉でふいた粗末な食堂でおろされました。国際バスの乗員乗客が休憩しているのでした。
今思うと、善良なお巡りさんで幸せでした。あるいは、取り返しのつかないことになっていた可能性だって無きにしも非ずだったので。(そういう意味でのヤバい目に私は一遍もあいませんでした。女の子のインド一人旅は特に危険だと、帰国したあとで知りゾッとしました。けれども、私はインドじゅうオンボロ列車やバスに揺られて旅しているあいだも守られました。)




