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インドでまた会おうね
サイゴン空港では抱擁と口づけをもって別れました。インドでまた会おうねと約して。私にとって血の通った唇と唇とでする、それが初めての口づけでした。婚約者とホテルに入っていた時代、キスだけは最後まで拒みました。初め私は交渉自体を拒みました。けれど長く拒み続けることは出来ず、キスしない条件付きでうけがいました。彼自身も不満足な体だったので、引け目をもった同士の交渉でした。
クリスと私、具体的にインドのどこで再会できるのかは、互いの旅程に不確定の要素が多すぎてまだ言えませんでした。おそらく私はムンバイからインド入りすることになるだろうと思われました。クリスはインドを南から北上しつつ探訪するつもりでいたので、どこか中間の地点で会えればしあわせでした。そしてインド北部にあるブッダ・サーキットを二人で踏破したい計画でした。
サイゴン空港から一人で町に戻った私は嬉しい気持ちでいっぱいでした。サイゴン大聖堂の中に入って、クリスと結婚した将来を想像したものです。




