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帰り際に入場料を払わされました。



朝の早い時間、「暁の寺」ワット・アルンの塔に登った時、まわりに誰もいませんでした。眼下は川。往来する船。早朝のバンコクの空気を楽しもうと、私はマスクをはずし目を閉じて深呼吸しました。そこへ「おはようございます」と声をかけて来たのです。


驚いたのは言うまでもありません。それ以上に、我ながら赤面するのを覚えました。この場合、とっさにマスクをするなら、それは尚みっともない。弱みを見せることだと、何でもない風を装いました。私は口唇裂で、そのことがそれまでの歩みを方向づけてきました。でも、そのことがコンプレックスになっている、と人にそう思われる、それが何よりも辛い。何でもない風を装って会話を始める以外に私はどうするすべもない状況にありました。


クリスはでも、少しも不自然さがありませんでした。私を見て自然でいました。アラキさんでさえ、最初マスクを外した時、目の下あたりがピクリと反応したものです。私に悟られないよう、すましているのが分かりました。私は相手の表情を見る能力が幼少期から身に付いてしまったので、すぐに分かるのです。けれどもクリスは違いました。彼はピクリともしませんでした。(あとで分かった事は、二人が二人とも、不法侵入したのでした。まだ境内があかないのに、周囲を散策するうちに裏口から入り、塔に登っていました。帰り際に入場料を払わされました。)




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