表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/35

第29話 ロストジェネラルヴァージン

 アークスに「美人」と言われて、オルガスは照れたり嬉しいと思う前に「何を言っている」と呆れた。


「何を仰るかと思えば、救世主さまもバレバレな世辞は不要! 見ていただきたい、小生のこの体を!」

「ちょっ、な、な、急に湯から出てくんな!?」

「ほら、そうやって目を逸らされます。トワイライト姫とクローナ姫という至高の肉体を味わい尽くした救世主さまが、小生のように剣を振るしか能のない筋肉質な体、張って柔らかさもないのに無駄にデカいだけの乳房と尻を見て美しいなど……」

「隠せってえええええ!!」


 自己評価がどこまでも低いオルガス。

 比べる相手がトワイライトとクローナであるならばそれは無理もないかもしれない。

 しかし、それでもアークスの言葉はお世辞でも大げさでも何でもない。

 オルガスの容姿も体もまた極上。

 その証拠に……


「まったく、こんな体にそそられる男などこの世には……ふぁ!? きゅ、救世主さま!?」

「え、あ、こ、これは?! ち、ちが、いや、あ……」

「ッッ!!??」


 既に精魂尽き果てたはずのアークスの体は再び戦の準備完了。

 目の前で変化するアークスの肉体にオルガスは目を疑い、同時に激しく動揺。


「ふにゃ、あ、きゅ、救世主さ、ま、が、あ、デカ、いや、かっ、す、すご……」


 表情はやつれているのに、雄々しい姿を取り戻すアークスの肉体。

 目の前でその変化を目撃してしまったオルガスは思わず後ずさりする。

 しかし、同時に気づく。


「あ、きゅ、救世主さまは……しょ、小生で……そのように?」

「っ、だ、だから言っただろって! あんた美人だって!」

「ッ!?」

「あ~、もう俺は戻るから!」

「ッ、お、お待ちをッ!」


 自分のような女に興奮した。女として魅力を感じた。

 それは世辞ではなく、体でアークスは証明した。

 それを知った瞬間、オルガスは胸が締め付けられ、高鳴り、同時に恥ずかしそうに叫んで逃げ出そうとするアークスを逃がしてはならないと、回り込んでいた。


「ふぁっ!?」

「話は終わっておりません、救世主さま! どうか、お待ちをっ!」

「むごおおおお!?」


 回り込んだオルガスに衝突。オルガスはそれを正面から胸の谷間で受け止める。

 オルガスの谷間に挟まれてもがくアークス。しかし、オルガスは構わずにアークスを抱き留める。


「もごあああ!?」

「きゅ、救世主さま、い、今のは冗談では済まされませぬ。貴方様のようなお方が、我ら魔族の女神を貪り尽くした貴方様が、小生まで食したいと思うなど……そ、それほど、その、しょ、小生が」

「もご、もご?!」

「はう、あ……お、落ち着いてくださ……ッ!? 小生のお腹に……あ、救世主さまが更に雄々しくッ!?」


 それは、どれだけ卑下しようともトワイライトとなんら遜色がない至高の肉体。

 正面から全裸で抱きしめられて、何も反応するなというのが無理な話。

 そして、アークスの言葉が真実であることが改めて証明されたことでもある。



「救世主さまは……グルメのゲテモノ食いですか? 姫姉妹なら分かりますが、小生にまで……そ、そういえば、救世主さまはキカイを食事として……」


「ぷはっ、ち、ちが、いや、もう離れてくれよ! 俺は、クローナを……い、いや、トワとまでシちゃったから何にも説得力ないけど……で、でも、まずいって!?」


「そそ、そうは申されましても! そ、そうは……申されましても……しょ、小生もどうすれば……こ、こういうこと、お、未通女ゆえに作法が分からず……あ、あの、クローナ様と同じように、ウロボロスをすればよろしいでしょうか!?」


「何の話だってば!?」


「す、すみませぬ、小生も流石に初めてのことゆえに混乱しております……いや、しかしどうすれば……このまま救世主さまに苦しい思いをされて返してしまえば魔王軍の恥……手を出されぬのも女の恥……しかし、小生から手を出したら姫様への裏切りに……うぅ……しょ、小生はどうすればよいですか!? 小生の所為でしょうかァ?!」


「し、知らねぇぇよ! でも、あんたの所為で、お、俺がエッチで悪かったなぁ!」



 目を回して完全にパニック状態のオルガス。

 何とか逃れようと抵抗するが余計に体がオルガスの体に触れて色々な感触が伝わってしまう。

 そして何よりも……



「あ、うぅ……」


「あっ、きゅ、救世主さまッ!?」



 抱きとめていたアークスから明らかに力が抜けた。

 オルガスはそのことに気づいて腕の力を緩めると、アークスはガックリと項垂れた。

 そう、アークスも結局のところ姫姉妹を相手に既に体力の限界だった。


「あ、あわ、きゅ、救世主さま、こ、これも小生の所為で……」

「いや、ち、違う……頭がのぼせたのと、単純に疲れて……」


 自分の所為かと思って涙目になるオルガスだが、違うと知って安堵。

 確かに、今日一日の移動と、クローナとトワイライト相手に「お楽しみ」で体力を使い果たしたというのも無理はない。

 オルガスは硬い床にアークスの背を寝かせ、代わりのその頭を自身の腿の上にのせて膝枕をする。


「すみませぬ、小生もはしゃいでしまい……」


 希望の救世主に対して思わぬ失態をしてしまったことを改めて反省するオルガスは、その手で優しくアークスの額に手を置いて撫でた。愛おしい我が子を慈しむように。

 ただ……


「い、いや、あんたは悪くな……ッッ!!??」

「あつ、急に熱が!? やはり救世主様、のぼせて……あっ……」


 膝枕されているアークスが目を開けると、そこには見事なデッカイ山二つ。

 たとえ体も体力も限界でも、アークスの体は……


「こ、これは……救世主様……ん、ごくり……」


 目の前でマジマジとアークスの体を凝視。

 オルガスは瞳と心に焼き付ける。

 そして……



「あぅ、う~……そ、そうだ、ぼ、母乳は出ませぬが、きゅ、救世主様は、お、オナゴの乳房が好きと……ま、まぁ、小生も大きさだけならトワと同等と……」


「へ……」


「そ、その……しょ、小生などのモノでよろしければ……あ、甘えてくださっても……その……ご、ご賞味いただいても……」


「……は?」


 

 オルガスは右手をアークスの後頭部に手を置いて、そっと持ち上げて自身の……一方で反対の左手はアークスの――――――――



「「あ……」」


「ふぁっ!?」


「むぐっ!?」



 そして、その瞬間、普通に風呂に入りに来たトワイライトとクローナと遭遇してしまった。








 結果―――――――――




「さて、夜も明けた! さっさと、砦に向かうぞ! 体は良いな?」


「ええ、回復でバッチリです~。アークスも……オルガスも無事ですか~?」


「お、俺は……うん……だ、大丈夫だ……ちょっと世界が黄色く見えるぐらい色々とゴッソリ持っていかれたけど……」


「/////////////////////////////////////」




 夜明けとともに村の出入り口に立つ四人。

 装備も整え、体の疲れやらイロイロなものをヌイた四人の表情は様々。


「さて、なんかも~、今の儂らなら何でもできる気がしてきた! そうじゃ、今日はさっさと救助任務を成功させ、ベッドの上で四人で祝杯を挙げるか? 救世主殿には酒ではなく、乳をチュウチュウ吸わせてやるぞ~? それが、好きなんでちゅよね?」


 皮肉といやらしさを込めた笑みでニマニマしているトワ。


「そうですね~……でも、ちょっとぐらいは自重していただきたいです。アークスとの両想いさんは私なのですから……そうですよね? おっぱいは一番小さいですけど、一番両想いさんですよね? 赤ちゃんアークス?」


 ちょっと不満そうにプクッとかわいらしく頬を膨らませながらも、しっかりとアークスと手を繋いで握りしめているクローナ。


「……お、おお……俺はクローナ好きだし……でも、説得力無くてごめん……あ、赤ちゃんはやめて……」


 気まずそうに俯いているアークス。

 そして……


「小生はもう……もう……」


 赤面してブツブツ何かを言っているオルガス。

 だが、やがて顔は赤いまま涙を流しながら空に向かって……



「ぬわあああああああああああああ、結局小生まで最後までしてしまうどころか、人前でぇぇぇええええええ!!??」



 色々なものを失ったことを嘆いた。


 そう、結局四人全員、一夜で一線を飛び越えてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑面白いと思っていただけたら「★★★★★」をポチッとぶち込んでください!!
とても大きな励みとなります!!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ