祖父の過去を覗いて
昔のことというのは美化されがちだ
祖父母が昔はよかったと自慢話をするのも
実は仕方のないことかもしれない
特に祖父がよく話していた
昔はよかった
昔は自由で気ままで気楽だった
祖父の話は必ずこんな出だしから始まる
「自由で気ままで気楽」
あまりにも祖父の性格には似合わない言葉だ
彼の口からこんな言葉が出てくるなんて
普段の言動からは予想もできない
他人が彼と少し関わって
ある時彼からこんな言葉を聞いたとしたら
きっとその他人は彼のことが分からなくなるだろう
「自由で気ままで気楽」だった過去は
祖父にとって本当に「自由で気ままで気楽」だったのだろうか
それは本物だろうか