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入学式③

生徒会長の提案を突っぱねて、生徒会室を後にした俺はその後少し迷いながらも職員室を見つけ、中にいた美紀さんに声をかけた。


「遠藤先生。用事は終わりましたので、教室に案内してもらえますか」


「おかえりなさい。それじゃあ、行きましょうか」


美紀さんと一緒に職員室を出て、教室に向かっていく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「それで、生徒会長からの話って何だったの?」


「生徒会に入らないかとのことでした。断りましたけどね」


「まぁ、誠也君なら断るでしょうね」


「明らかに向いてないですからね」


「能力的に言えば、現生徒会長よりもはるかに上なんだけど、君はやらないだろうなとは思ってる」


「能力的って、俺のコミュニケーション能力は明らかに常人以下ですよ?」


「それわざとでしょ?」


「・・・何のことですか?」


「君は私たちとは普通にコミュニケーションを取れているし、中学時代にはいろんな企業で手伝いをしていた。そんな君のコミュニケーション能力が常人以下になるわけないんだけどな~」


「俺は陰キャですからね、このぐらいのコミュニケーション能力で十分ですよ。友達も作る気はないですからね」


「そういうとは思ってたけどね。そんなこんなで到着っと」


美紀さんは1-Aと書かれた教室の前で止まった。


「今が8時15分だから、そろそろ新入生が登校してくると思う。入場は9時からだから。それまではゆっくりしててね。席は教室の黒板に一覧表を貼ってあるから」


「わかりました」


「それじゃあ、私は職員室に戻るから、入学おめでとう、誠也君」


美紀さんはそう言うと、職員室に戻っていった。


俺は教室に入り、自分の席を確認して、自分の席に着き、リュックから読書用の本とオーディオプレイヤーを取り出し、自分の世界に入っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


音楽を聴きながら読書をしていると視界にチラチラと人影が入ってきたので、チラッと教室の壁に掛けられた時計を確認すると今の時間は8時50分を指していた。


俺は音楽を止めて、読んでいた本をしまい、ボーとしていた。


すると、俺の机にいきなり手が置かれた。


「あなたが今年の新入生主席の鈴木誠也ですの?」


いきなり、現れた人物に辟易しながら、目線を上げるとそこには金髪を肩より少し下まで伸ばしている女がやや釣り目がちな目を俺に向けている。


気づかれないように一瞬で彼女を観察したが顔に覚えがない。


顔はかなり整っており、雰囲気はTHEお嬢様といった感じで体つきも抜群のプロポーションのようだ。


出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。


おそらく、同年代の女子の平均よりもかなり上のプロポーションだろう。


そんなこんなでいきなり現れた女の観察を終えた俺は彼女の質問に答えるためにイヤホンを耳から外し、彼女を見た。


「ちがいます」


「あら、でもあなたかなり早い時間からここにいたようですけど・・・」


「俺が早く来たのは家の都合ですし、俺より早く来ていた男子生徒がいました。その男子生徒は先ほど先生に呼ばれてどこかに行きましたよ」


「あら、そうでしたの。それは失礼しました」


俺に絡んできた女はそう言って軽く頭を下げて、俺から離れ、自分の席に着いた。


俺は絡んできた女のことを頭の片隅に追いやり、再びイヤホンをつけ、入場までボーとして過ごした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


変な女に絡まれてから数分後、美紀さんが教室に入ってきた。


「それじゃあ、これから会場に入場するから廊下にならびましょう。鈴木誠也くんは新入生代表挨拶があるから先頭ね」


「はい」


俺がそう言って立ち、そういえばと思いばれないようにさっきの女のほうを見ると心底おどろいた顔をしたあとこちらをおもいっきりにらんできた。


俺が小さくため息をつき、廊下にならぶとそんな俺の様子を美紀さんが肩をすくめていたのが視界の端に引っかかった。


あいにくとあの女と俺の出席番号は離れているからならんでいるときに絡まれる心配はない。


そう思い、会場に向かっていると、チラッと美紀さんが俺を見た。


俺は気持ち早歩きをして美紀さんに近づくと、美紀さんが周りに聞こえない程度に話しかけてきた。


「誠也君、彼女に何かしたの?」


「いきなり鈴木誠也かと言われたのでとりあえず違うと言っておきました」


「それは・・・面倒なことになるわよ」


「・・・俺もそう思っていたところです」


「ちなみに前に言っていた新入生次席があの子よ」


「帰っていいですか?」


「自業自得よ」


美紀さんにそう言われ、俺は先ほどよりも大きくため息をつき、そんな俺を美紀さんはあきれながら見ていた。


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