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春休み③

中学3年に入ってからは進路の関係で学校に通ったものの、特に何をするわけでもなく、周りも腫物を扱うような感じだったこともあって、つまらない生活が続いた。


唯一、あった出来事としては珍しく休日に1人で買い物をしていた時に絡まれている女子を助けたことがあったもののあの時のことはよく覚えていない。


なんで助けたのかという疑問が胸に残ったものの特に気にしなくなった。


そんなこんなで学校生活は最悪、学校成績は最高というアンバランスな状態だったこともあり、高校卒業で就職しようと思ったものの、新年度から両親の海外転勤が決まり、両親から進学してみないかと薦められ、県外の私立高校に進路を決め、相変わらず試験は簡単だったこともあり、問題なく合格した。


ちなみに、進学した私立高校には美紀さんが春から異動するというのも最近分かった。


これに美紀さんはとても喜び、気合十分の表情で「誠也くんの高校生活は私が必ず守ってあげるから」と言っていて、俺は思わず苦笑いしたものだ。


美紀さんから言われていた通り、高校には出席日数も進級・卒業条件に入ってくる。


今まで見たいにテストの結果だけ最高成績を出して、学校には行かないという方法はとれない。


だからこそ、高校ではなるべく影を薄く、生きていこう。


退屈ではあるが・・・・。


俺はベットから起きて、体を伸ばした。


「よし、そろそろ夕飯でも作るか~」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日、俺は時間があったこともあり街を見て回っていた。


中学校に入学するころにはあの人達に教えてもらっていた技術は十分使い物になるレベルだったこともあり、中学の時にはよく()()()()をして、あの人たちも()()()()をくれたので今の俺はそこそこ貯金があるし、両親が一人暮らしをするにあたって十分すぎるほどの仕送りを送ってくれていた。


だから、今日はいろいろな店に入って買い物をしていた。


荷物は全部郵送にしてもらって、身軽にショッピングを楽しんでいた。


しかし、ふとどこからか言い争う声が聞こえてきた。


周りの様子を伺ってみるとどうやら路地裏から声がしているようだ。


気になった俺は気配を消しながら路地裏に入っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


声がする方へ歩いていくと、奥に女の子が2人、そして、そんな女の子を囲むようにチャラチャラした格好の男が4人いた。


気づかれないように様子を伺うと、どうやら質の悪いナンパのようだ。


俺は気づかれないようにある準備を始めた。


「いいかげん離してください!!こんなところに連れてきて!!」


「そうです!!私たちは用事があるんですから!!これ以上、邪魔をするなら警察に通報しますよ!!」


囲まれている女の子がそう叫んでも、囲んでいる男たちはニヤニヤした顔で笑っているだけだった。


「そっかそっか~。なら、警察を呼ばれる前にヤることヤっちゃいますか~」


そう言うと周りを囲んでいた男が一斉に女の子に近づき、いきなりのことで反応できなかった女の子たちの手や腕をつかんで壁に押し付けた。


「いや!!離して!!」


「やめて!!触らないで!!」


「それじゃあ、いい加減ヤっちゃいますか~。全裸の写真でも撮れば、君たちも何もできないでしょ~?」


男がそう言うと、自分たちが何をされるのか理解したのか、女の子たちの顔が青ざめた。


・・・準備も終わったし、もういいか。


俺はあるスイッチを入れると物陰から姿を現した。


「言い争っている声がすると思ったら・・・大の大人がこんな女の子たちを真昼間から囲んでいるとは・・・ずいぶんと性欲に忠実な猿ですね」


俺がそう言うと、男たちが驚いたようにこちらを見て、俺の顔を見るとニヤニヤし始めた。


「おうおう、陰キャ風情が声をかけてきてんじゃねぇよ。痛い目にあいたくなければさっさと失せろ」


「さすがにこの状況で回れ右して帰るわけにはいかないでしょう?さっさとその子を離したらどうですか?警察に通報されたらあなたたちも困るでしょ?」


「へん。せっかく俺のやさしさで逃がしてやろうと思ったのに、陰キャのくせに調子乗ったなガキ。おめえら女ヤる前に運動しようぜ!!」


先頭の男がそう言うと女の子たちを捕まえていた男たちが一斉にこちらに駆け寄ってきた。


俺は場所を確認しつつ、時間稼ぎを始めた。


男たちは4人がかりで俺に殴り掛かり、俺は何発も殴られた。


俺は内心で『そろそろいいかな』と思って一旦、殴ってくる男たちを躱して、距離をとった。


「はぁ~、自主トレはしてたんだけど、ちょっとなまったかなぁ~?まぁ、いいや。こんだけ殴られたんだし正当防衛は適応できるかな」


そう小声でつぶやいた。


距離をとった俺の様子をニヤニヤしながら見てくる男たちはボコボコにしてやると叫びながら殴り掛かってきた。


俺は一瞬で周りの様子と俺と男たちの位置関係を把握して、順番に対処し始めた。


一番先頭にいた男の腹にボディーブロを放ち、うずくまった男を吹き飛ばし、それにつまずいて転びそうな男の足を蹴り、完全に転ばせて、その顔面を踏みつけた。


その後ろで、仲間が2人やられて動揺した男に近づき、1人はみぞおちを殴り、顔が下がったところを顔面を膝で攻撃して気絶させ、最後の1人は大振りの拳を躱しざまに顎にアッパーを入れて昏倒させた。


最初の2人も気絶させ、俺は息を吐き、気持ちを落ち着けると前方に目を向けた。


そこには震えながら、腰が抜けたようで地面に座り込んでいでお互いを抱きしめている女の子たちがいた。

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