入学式⑥
生徒会室での一幕があったこともあり、俺が帰宅したのは午後6時30分になるところだった。
学校から帰っている途中に美紀さんからメッセージがあり、俺の入学祝いをやるから俺の家にいるとのことだった。
そのメッセージ通りに俺が帰宅して、自宅のドアを開けようとしたがドアにはカギがかかっていた。
「買い物にでも行ったのかなぁ?」
俺は小さくため息をついて、持っているカギでドアを開けた。
パァン、パァン、パァン、パァン
俺がドアを開けた瞬間、発砲音のような音がしたと思ったら、俺の頭上に何かが降ってきた。
それは紙吹雪であった。
俺が驚きながら正面を見ると、クラッカーを手にした4人の大人たちが立っていた。
美紀さんとマサさんと香織さんと今日の入学式にはこれなかった女性だ。
「いきなりでびっくりしたんだけど・・・それよりも茜さんも来ていたんだ。久しぶりだね」
「えぇ、久しぶりね誠くん。本当は入学式にも行きたかったんだけど、私、くじで外れちゃったからいけなかったのよね」
「くじ?」
茜さんのセリフに違和感を覚えた俺の疑問に答えてくれたのは美紀さんだった。
「あぁ、実は今日の誠也君の入学式って私たちのグループの皆が参加したがったのよ。でも入学式に出席できる保護者の枠は男女1人ずつの2枠しかないからくじ引きで決めたのよ。それでくじを当てたのが香織とマサだったのよ」
「そうそう。くじ引きの時すごかったわよ。危うく大ゲンカになってもうちょっとで近くにいた人が警察に通報するところだったんだから」
「まぁ、集まったお店に出禁食らっちゃったんだけどね~」
「あんたたち何やってんだよ!!」
話している内容があまりに幼稚すぎて、俺は思わず声を荒げた。
「まぁ、入学式に出席できなかった分こっちに来たんだから。そうそうリュウももう少ししたら来るわよ」
「隆也さんも来るの?」
「えぇ、そもそも私とリュウが今日誠くんに会いに来たのは少し話したいことがあったからなのよ。もちろん入学祝いがメインだけどね」
「そうなんだ」
「とりあえず、話はリュウが来てからするから準備をしてしまいましょ、もうちょっとで終わるから。誠くんはその間に着替えてきて」
「わかった」
そう言って俺は部屋に向かった。
ちなみにクラッカーの紙吹雪はマサさんと香織さんが片付けていた。
俺も手伝おうとしたけど、断られた。
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制服から部屋着に着替えてリビングに戻るとマサさんと香織さんはテレビを見ていて、美紀さんと茜さんがキッチンに立っていた。
「戻ってきたわね。もうちょっとで料理が全部終わるし、さっきリュウから事務所出発したって連絡きたからもうすぐ来るだろうし、誠くんはソファでゆっくりしてて」
「わかった」
茜さんにそう言われ、俺もマサさんと香織さんが座っているソファに座ってテレビでも見ようとしたら、キッチンの近くに備え付けられているパネルからチャイムが鳴った。
「噂をしたら来たわね」
茜さんがキッチンの近くにあるエントランスのロックを解除するパネルを操作した。
そして、その数分後、今度は玄関からチャイムが鳴った。
「俺が行くよ」
今度は美紀さんが玄関に行こうとしたのを手で制して、俺が玄関に行きカギを開けるとそこには2人の男女が立っていた。
「隆也さん、久しぶりですね。それと、真白さんもつれてくるならちゃんと連絡してください」
「おう、久しぶりだなセイ。真白を連れてきたのはたまたまだ」
「久しぶり、誠也くん。高校入学おめでとう」
「お久しぶりです、真白さん。ありがとうございます」
俺は隆也さんと真白さんを連れて、リビングまで案内した。
「リュウ、やっと来たわね。ってシロも来れたのね。よかったわ」
「茜。お疲れ様です。何とか来れました」
「アカネ。お疲れさん」
「二人ともちょうどよく料理の準備も全部終わったし、ナイスタイミングだったわね。皆、準備終わったわよ」
茜さんがそう言って、テーブルに最後の料理を並べ皆を呼んだ。
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「というわけで誠くんの高校入学を祝ってカンパーイ!!」
「「「「「「カンパーイ」」」」」」
茜さんが乾杯の音頭をして、俺たちは全員でコップを合わせ、乾杯をした。
ちなみに俺の家にあるテーブルはそこそこ大きいため全員が同じテーブルに座っている。
長机の短辺に俺が一人で座り、2つの長辺に3人ずつ座った。
おれから見て右側の長辺に美紀さん、マサさん、香織さんが座っており、左側の長辺に茜さん、隆也さん、真白さんが座っている。
「それにしても今日の誠也の新入生代表挨拶は立派だったな。かなりいい挨拶だったぞ」
「ありがとう。マサさん」
「当たり前でしょ。*先生が書いた挨拶よ」
「そりゃそうだな、そういや*先生よ。新刊の発売日はいつなんだ?俺楽しみしてるんだよ」
「一応、万能冒険者のほうは締め切りが6月で天邪鬼のほうの締め切りは9月だよ」
「てことはその1か月後ってところか?」
「たぶんそう思うけど、どうなの香織さん?」
「たぶんそうなります。まぁ、近々会議あるんでそこで決まると思います」
「そっか」
こうして、俺たちはお互いの近況などを話しながら、美紀さんと茜さんが作った料理や買ってきた料理などを食べていた。
「そろそろ、お腹も膨れてきたし、誠くんにお願いがあるんだけど・・・」
そして、食べ始めて30分ほどたって、茜さんが俺にそう言ってきた。
「茜さん、どうかした?」
「以前、断られたモデル、やっぱり明日お願いできない?」
そう言って茜さんは両手を合わせて、片目上目づかいでこっちを見つめてきた。
今回でストックがつきました。
次回更新は一応水曜日を予定しています。
そのあとは週一更新になりそうです。
ストック貯まったらまた毎日更新にしたいと思います




