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5話 Kings 〜オーガ〜①

 今回ゆっくりできるなーー


 突き抜ける青空の心地良い春の日。


 今日もモンスター退治にやってきたが、今回は少しのんびりできる。


「この席にしましょうか」

「オッケー☆」


 今日は姫と小洒落たカフェでランチに訪れた。綺麗な庭の見える窓際の席で食事。


 ふふ、まるでデートのようではないか。


「ねえねえロベルト隊長」


「う…隊長は止めて下さいよ」


 隊長と呼ばれると、急に仕事を思い出す。


「なんで~こないだ隊長って呼ばれてたじゃん」


「今や肩書きだけの隊長ですよ。知ってるでしょう?」


 姫はニヤニヤとしている。


 きっと、からかい半分に言ってるな。


「でも隊長ってカッコよくて良いと思うけどな〜」


「そうですか?じゃあまた隊長復帰しようかな」


「アハハ、私もやろうかな〜」


「お、エミナ隊長ですね」


「エヘヘ」


「フフフ」


「おうおうおうおう!!

てめーか勇者ってのは!? ああーん!?」


 !?


 ええ……!?


 カフェで楽しくお喋りしてたら急にモンスターが割り込んできた。


「テメー誰に断って俺のシマでデカいツラしてんだ! ああーん!?」


 デカイのはお前の顔だろう。



 コイツは種族としてはオーガだな。

 だが普通のオーガと違いバカ長いリーゼントをしている。


 マントのような長い上着には喧嘩上等と書かれていた。


「なんだ貴様は」


 すぐに斬りかかりたいところだがここは店の中だ。


「こちらはキングオーガのギダン様だ!」


 後ろに居た手下であろう小さいオーガが答える。


「さっさとやっちゃいましょうよアニキ!」


 腹立つなコイツ。


「まあ待て、喧嘩にはそれなりに流儀ってもんがあらぁ」


 ふいにギダンが手紙を差し出す。


 果し状。


「ここに書かれている場所で待つ。ビビッて逃げんじゃねーぞ!」


「字、きたな~い」


「うっせえ!」


「姫にうるさいとは何事だ!」


「アニキ、やっちゃいましょう!」


「ロベルトこれなんて読むの~?」


 ええーい、グダグダだ。


 一旦まとめないと収集つかないな、これは……



「わーった、わーった。とりあえずその場所で待ってるから、な。」


 ギダンも同じことを思ったのか、そう言い残しきちんとドアから出て行った。


「わざわざ手紙書いてくるなんてスゴイ構ってちゃんだね〜」


「構ってちゃんではないでしょう……。恐らく何か罠を仕掛けてるはず」


「うーんどうしよっか?」


「そうですね…指定の時間までまだありますから、先にその場所へ偵察に行きましょう」


〜〜


 ヤツらに見つからぬよう物陰に隠れながら指定された場所に向かう。


 街と街の間にある広野。


 そこにギダン達は居た。


 普通に居た。


 罠を仕掛けるでもなく……一体何をやっているんだ?


「よーし今日も飛ばして行くぞ!」


「へいアニキ!」


 そう言うなり二体はトカゲのモンスターに乗り爆走し始めた。


「オラオラオラオラオラ!」


 パラリラパラリラ!


 トカゲには変なクラクションが鳴る装備がされており爆音で爆走している。


 ただただうるさい。



「なんの意味があるんでしょうね」


「ね~」


 しばらく観察してみたがやはり爆走してるだけのようだ。時々何か叫んでいる。


「ウオー! 刹那に生きるぜ!」


 ちゃんと先の事も考えろ。


「姫、このままこっそり遠距離魔法で攻撃しましょうか」


「え~でもまだ果たし合いの時間になってないよ?」


「律儀に守る必要もないでしょう。それにこれは果たし合いではなく戦闘です」



 さて、とは言うものの遠距離攻撃はそれ程得意ではない。


 致命傷にはならないだろうが、極力近づいて火の魔法を放ってみよう。


 パラリラパラリラ!


 爆音に紛れて炎を放つ。


 ボウッ!


「ウオオオ! 行くぜ! 限界の向こう側あっちぃ!!」


 やった命中した。


「アニキ! アニキが熱い!」


「ぬおお! ざけたマネしやがって! どこのどいつだぁ!」


 む…マズいな。


 ダメージはあるようだがそれでもピンピンしている。


 耐久力は高そうだ、これは面倒だな。


「アニキ! あいつらですよ! 小汚えマネしやがって」


 見つかった…というかもはや隠れてもないが。


「テメーらか!

……ふー、まあいだろう。ビビらずやってきたのは誉めてやる」


「要らん、さっさと始めるぞ」


 早々と剣を抜く。コイツはバカだが油断できる相手ではない。


「まあ待てや。男2匹戦うんだ。ここはどっちが根性があるかで決めようや」


「で、出たー! アニキの根性三番勝だ〜!」


 はぁ?


「話は簡単だ。お互い根性魅せてより気合入ってるヤツが勝ちだ!」


「アニキはな、この勝負で負けた事がないんだ!」


「っしゃ! いっちょやってやんぜ!」


 いやそんな物やる訳ないだろう…


「いけ〜ロベルト! 負けるな〜!」

 

 姫がノリノリで叫ぶ。

 ああ…やる流れだ。


 姫は意外とノリに弱い。


「おう? なんだ、ビビってんのか!?」


 やりたく無いのが伝わったのかギダンが挑発してくる。


「そんな訳ないわよね〜! ほら、早くロベルトも髪型もリーゼントにして」


〜〜


 リーゼントになった。



「っし! んじゃ始めんぜ! 一発目は岩石頭突き勝負だ!」


「アニキ! やっちゃって下せえ!」



「ルールは簡単! お互い岩石に頭突きして、より根性を魅せた方が勝ちだ!」


 ん?


「何? 何を魅せればいいんだ?」


「ああん!? 根性だよ!」


 会話が噛み合わん。


 勝ちの定義が分からんがもう始めよう。


「オぅラァァ!!」


 ギダンの頭突きで岩石がバラバラに砕けた。


「アニキ流石です!」


「フフン」


 やたら勝ち誇っているが、頭からめっちゃ血が流れてるぞ。



「ロベルトは岩くらい粉々にできるよ!」


 姫の応援という名のむちゃぶりが飛ぶ。


「いや粉々になりますよ、私の頭が」


 まあ、とは言うもののやりようがない訳では無い。


 ガッ!


 前回のトロールと同じ原理で、頭に魔力を集め岩を砕く。


「やった〜ロベルト!」



「やいやいやいテメー汚いぞ!」


 魔法を使ったのが気に入らなかったのか、子分オーガが喚く。


「まあ構わん、ひ弱な人間だからな。ただ根性勝負はオレの勝ちだな」


 そんな勝ち負けの判定お前の匙加減だろう……

 と、言いたいところだが流石に流血しながら言われると説得力があるな。



「次わたしやりた〜い」


「ああん? まあ待て、次の勝負はお前は無理だ。三番目の勝負ならいいだろう」


「わかった、じゃ〜早く二番やろー」


 姫もウズウズしている。ゲームじゃないんだから落ち着いて。



「おし!じゃあ根性勝負二番目!金◯蹴り勝負対決!金◯蹴り合って耐えた方が勝ち!」


「いやアホか!!」


「お、なんだ?ビビったのか?ああん?」


「ビビって無いわ!なんでもそれ言えば良いと思うな!なんで今日会ったばかりのお前と金◯蹴り合わないといけないんだ!」


「さっきみたいに魔法で防御すればいいだろ?ああん?」


「金◯に魔力集めて防御するなんて絵面的にダメだ!」


 猛反対の末、結局二番目の勝負は流れた。


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