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プロローグ

「わ〜、いい景色だね〜!」

 

 そう声をかける黒髪の美少女。

 これがこのオルリア国の王女ミニア姫だ。


 ゆるふわパーマに神秘的な大きな瞳が、見る者の目を引く。


「そうですね、ここらで少し休憩しましょうか」


 そう答えるとのは姫の護衛のロベルト。

 金の髪、鍛え抜かれ締まった体。姫の傍らに控えめに立っていた。


「いや〜これはお弁当持ってこれば良かったね」

「本当に。でも今日はピクニックじゃないんですよ」


 二人は今、ドラゴンが出現したという山を登ったいた。エミナは姫でありながら勇者でもある。故にドラゴン退治のクエストに来ていたのだ。


「ちょっとロベルトお弁当買ってきて〜」

「買いに行ける訳ないでしょう! もう山頂ですよ。いつドラゴンが出てくるか分かないので、気を引き締めて下さい」

「は〜い」


 エミナの、間のびした声は、年齢より少し幼い印象を与えていた。


 しかしその身に秘めた勇者の力は、想像を絶する。魔物からすれば理不尽な程。理不尽オブ理不尽。チート級だった。



 ふと、ロベルトは辺りの異様な気配に気づく。

「姫、どうやら出たようです」


 薄い暗い影から一体の魔術師の魔物が現れた。


「なんだ貴様は? ここに居るのはドラゴンではなかったか?」


「ひっひっひっ、私の名はドミー。そんなにドラゴンが見たいのか。では見せてやる! このドミー様最強の僕を!」


 ドミーはやたらテンションが高い。山頂で誰も来ないため、誰かにその力を見せびらかしたかったからだ。もうヒャッハーだった。


 ドミーの手が光を放つ。そして付近の影が集まり、やがてドラゴンの形を成していった。


 なるほど、とロベルトは合点がいった。こんな普通の山に、ドラゴンが居るなど不思議だったからだ。


「ひっひっひっ。このドラゴンを使って街を襲い、多くの魔道具を集める。そしてもっと大きな召喚を果たす!」


 凶悪な召喚獣を想像し、戦慄が走るロベルト。

「それは……インキュバスだ! そのインキュバスにモッテモテになる。それがこのドミー様の野望よ!」

「あほか!」


 ロベルトは呆れながらも戦闘態勢をとる。曲がりなりにもドラゴン、そしてそれを召喚する程の魔術師。ロベルトに緊張が走る。


「ちょっと〜ロベルトどいてどいて〜。てーい!」

 

 飛び上がりドラゴンを斬りつけるエミナ。軽いかけ声とは裏腹に、その剣撃は凄まじく、一太刀でドラゴンを斬り裂いた。


 召喚が解除され光の粒子になって消えゆくドラゴン。若干嬉しそうだ。


「なあ!? 今何をしたんだ! ドラゴンを一撃なんて、どんな禁術魔法を使った!?」


「別に剣で斬っただけよ〜。魔法も見せたげる。雷撃の波動(トールバン)!」


「ぐああああ!」


 凄まじい雷撃が走り、辺り一面ごとドミーの姿は消え去った。


「やったよ〜ロベルト!」

「……やりましたね、他にも敵が居ないか見てきます。少し山小屋で休んでて下さい」



 そこから少し離れた洞穴の中、倒した筈のドミー居た。尋常じゃない力を見て、顔面蒼白になり逃げる準備をしていた。


「なんだあの化け物は……急いでここから離れなくては」

「どこへ行くつもりだ」


 魔力を探知しドミーの居場所を突き止めたロベルト。


「貴様あの分身体を見破るとは……」

「消える時わずかに光の粒子が見えた。俺は普通の人間だからな。注意深くないと生き残れないのよ」


 そのままドミーを打ち倒す。召喚に頼っていた為、本体は非力である。姫の影に隠れ目立たないが、ロベルトもまた強者であった。


「あ、ロベルトおかえり〜」

「まだ本体が居ましたが片付けておきました。さあ、帰りましょう!」


 仲良く山を降りる二人。


「今度またピクニックに来ようよ〜。サラちゃんとミルちゃんも呼んでさ。ロベルトは荷物持ちね」

「ふふ。姫様の配下といえど、それははイヤですね。あくまで護衛ですので」


「じゃ〜ジャンケンね。ロベルトはグー出してね」

「ええ!?」




 これは、チートな姫と隠れた強者ロベルトの二人が、魔王を倒す迄のストーリー……。


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