武器新調
宿で食事を終え、全員で武器屋に向かった。
武器屋の親父は俺と雪奈を覚えてくれたようで、快く歓迎してもらえた。
「セツナのような注文は今まで全く無かったからな。武器屋なら覚えていて当然だな!」
「それなんだけど、今回は割りとまともな注文に来たんだよな。ドラゴンの外皮に傷を付けれる武器って無いか?」
親父は腕を組んで考え込んだあと、神妙な面持ちで言った。
「てことは、北東か?」
「なんでわかったんだよ……」
「この間まで東のオルディニスが竜騎士部隊を持ってたけど、名も無き部隊ってやつらが壊滅に追い込んだからな。今やドラゴン関係は北東の未踏領域しかねえわな」
そう言って親父は奥に行ったあと、戻ってきてテーブルに武器をドサドサっと置いた。
「本当ならドラゴンキラーが良いんだが、人間には作れねえからな。うちでダメージを与えれる武器はこの中にある」
出された武器はハルバードやバルディシュ、そして細剣や片手剣ばかりだった。ただ、展示してある武器と違う点があって、ほぼ全てが銀で出来ていた。
「おいおい、大剣がねえよ!」とオズマが。
「槍に斧が付いてたら戦いにくいんだけど」とライラが。
「うぅ、刀がありません……」と雪奈が嘆いている。
槍の穂先に斧頭がついたポールウェポン、中国では戟と言われる物はライラには重すぎであり、逆に大剣を使うオズマからしたら細剣や片手剣は軽すぎて扱いにくいという。
ティアは元々片手剣を使って魔術を飛ばすタイプなので唯一不満がない。
「うっせえな……そこまで言うなら、銀を超える素材を持ってこいよ。そうすりゃあ、全員にあったもん作ってやるからよ」
いわゆる素材持ち込み依頼と言うことか、使えるもの使えるもの……あ、これなんかどうだろうか。
余って余って仕方ないソレをテーブルに置いてみた。
「これは……魔石か? いや、こんな色の魔石は──って! これはまさか!?」
俺が置いたのは、特級の腕前が無ければ加工困難な灰色の魔石だった。粉にして剣に混ぜるも装飾として宝石にするもよし、だが加減や加工の仕方を間違えれば途端に崩壊する非常にデリケートな素材だ。
「アンタはこれを扱えるか?」
「やってみねえとわからねぇ。希少過ぎて1度も扱ったことが無いんだ……これ、使って良いのか?」
この魔石のおかげで西のパルデンスは経済においては世界一に君臨した。だが加工できる人間は極僅かであり、職人は毎日残業続きの日々を送っている。
故に消費が追い付いておらず、マルグレットさんからそこそこの量を預けられている。
「大量にあるから失敗してもいい、作ってくれたら助かるよ」
「よし、今日は店を閉めて、いっときコレに集中するぜ!」
親父は少し興奮気味で雪奈達に詳しい注文を聞き始めた。
「タクマ、お前さんは注文しないのか?」
全員の注文を取ったあと、親父が俺に聞いてきた。なので俺はDeM IIを眼前に掲げた。
「新調したばかりの愛剣があるからな、俺はいいよ」
「また変な武器持ってんな~、ちょっと見せてくれよ」
俺はDeM IIを親父に渡した。
「ん~どれどれ……デザインはシンプル、長剣と大剣の中間ほどの大きさ、鍔のところに魔石を嵌める箇所あり、そして中は重すぎないように空洞に──あ? ちげえな、鍔に嵌めた魔石の特性を、武器全体に血管のように巡らせる機構になってるのか!」
元々俺には理解できなかったが、親父にはわかるらしい。まぁ、確かに赤い魔石を嵌めたら刀身が火属性に変わる。今は月の石を嵌めてるから刀身は月属性で、常時魔力回復の効果も出ている。
「おいおい、これ作ったの……パルデンスにいる兄貴だよな?」
「ああ、雪奈も協力してるけどな」
親父はプルプルと震え始めた。
「兄貴は魔科学を剣に組み込めないかずっと研究してたんだ……知ってるか? この剣の中にある空洞には108個の術式が組み込まれてるんだ。ようやく、夢が叶ったんだな……うぅ……」
親父はテーブルを叩きながら男泣きを始めた。なんかこっちも貰い泣きしそうになるじゃないか。
「俺の腕なんかじゃ、少ししか手を加えられねえけどよ。預けてくれないか?」
「まだ改良の余地があるのか?」
「ああ、魔石を嵌めるところにちょっとしたフレームを取り付ければ、今よりも変換効率は上がるはずだ」
「わかった。預けるよ……あ、でも月の石は返してもらうよ」
DeM IIから月の石を取り外して親父に渡した。
「んじゃ3日後に来てくれ」
こうして、俺達は3日ほど宿で待機することになった。
☆☆☆
その日の夜、俺は1人で寝た。
毎晩雪奈やティアと行為をすれば、いずれマズイことが起きるからだ。
本音は2回目の誘い方がわからないから、節制できる男を演じてるだけだが……。
そして俺は寝た。
ピンク色と肌色の空間にいた。
手が俺の後ろから伸びてきて、胸元まで触ってきた。そして耳元で囁かれた。
『ティアだけズルいわ、私達もお願い……』
「は? もしかして雪奈か?」
『違うわよ、2人とも寝てるわ。たまにでいいから、こうして夢の中で相手してよ』
背後を振り向くと、ティアに似た女性が全裸で浮いていた。銀髪で抜群のプロポーションが俺を反応させてしまう。
『ねぇ、お願い』
「俺が起きるまでには解放してくれよ?」
『大丈夫、あなたの負担にならないようにするから』
そうして俺と神子は繋がった。起きるまでに3人の相手をした。どうやら、月の石の中にある神子が交代で夢に現れるらしい。
ローテーブルに目をやると、月の石が真っ赤に染まり、湯気を出していた。
「自分等が誘ったんだろ? 照れてんじゃねえよ」
その後、グレシャム家の事後処理のために空いた3日間は通っていた。マルグレットさんがいい感じに取り計らってくれたのでひとまずは安心した。
そして俺は3日間、夜になる度に神子の相手をさせられるのだった。




