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裏通りでの戦い

ストック切れるまで1日1話頑張ります。尽きたら週2更新に落とします。

感想を閉じてるのはコメントでブレるのが嫌だからです。

 先程からパルデンスの外で炎の柱や光の柱が上がっている。ロルフとマルグレットが"尖兵"と交戦を始めたようだ。


 拓真の役割は突如都市内に現れた"ブラッド種"が他にいないかの確認とその調査だ。まだパルデンスを守る魔道障壁は突破されていない、故にブラッド種がエードルンド邸を襲うと言うことは明らかに人為的な事件だ。


 ブラッド種は行動すると血が固まったような結晶が痕跡となって残る。通常の魔物よりワンランク上だから対処も慎重にならざる得ない。


 拓真はティアを抱えて屋根の上を跳びながら目を凝らす。


「お兄ちゃん!今一瞬だけどあっちの方から気配がした!」


「わかった!一応、月光魔術の準備頼む」


「うん!」


 ティアに言われた方向は数ある裏通りの中でも一番道幅の狭い通りだった。そしてティアの言葉を信じてその道を辿るようにジグザクに跳ぶ。


「た、助けてくれ!」


 男の声が聞こえた方に視線を向けると今まさにブラッド・オーガが戦斧を天に掲げて振り下ろそうとしていた。拓真はエリアルステップで近付くと、ティアに指示を出しつつブラッド・オーガと交戦を開始する。


「ティアは首を頼む、初級土魔術"石弾"!」

「はい!月光魔術"翠月刃"!」


 "石弾"を無詠唱で放つと、鉄を打つような音と共にブラッド・オーガが後ろによろける。

 そして拓真へ向き直る前に首に三日月のような刃が食い込んだ。


「グァァァァァァァァッ!!!」



「大丈夫か?」


 拓真は腰を抜かした男へ手を差しのべる。男は拓真の手を取って立ち上がりお礼を述べた。


「あ、ありがとう……死ぬところだった……」


「アンタが無事で良かった。アンタは……魔術師だろ?他の連中は大通りから正門に向かったぞ?───っと!」


 拓真は会話の間も待ってくれないブラッド・オーガの戦斧を避け、印を待機状態にして次に備える。


 すると、魔術師の男が共闘を申し出てきた。


「私も加勢しよう!」


「わかった、俺が奴の足を止めるからアンタとティアは全力で魔術を叩き込んでくれ」


「了解した」「うん!」


 ティアと魔術師の男は両手を前にかざして魔方陣を展開する。拓真は嵐の如く振り回される戦斧を紙一重で避けながら隙を窺う。


 ブラッド・オーガが先程の様に上段の大振りで力を溜めた所で拓真もそれを受ける体勢に入る。このまま受けたら力負けするので闘気を右足より少し前まで流して土属性を付与する。


 付与とは一種の支配に他ならない。右足付近の地面が隆起し、無防備なブラッド・オーガの顎にクリティカルヒットする。


 すでに振り下ろしに入っていた戦斧は勢いを殺しつつも魔力で出来た緑の大剣(機械剣・壊)に触れてしまう。


 ガンッ!


 その瞬間、ブラッド・オーガは爆風に飲み込まれた。


 "反撃剣リベンジソード"


 そしてすかさず拓真は行動を起こす。初級風魔術"暴風"で煙を消しつつ敵を仰け反らせて身体強化の印を外し、ジャンプした。


 すると、拓真は"暴風"を使用しているために後ろへ飛んでいき、射線上から拓真が消えたことでティアと魔術師の男が一斉掃射を始めた。


「"翠月刃"!」「"イグニッション"!」


 炎の竜巻と月の刃がミックスされてブラッド・オーガを飲み込む。そして衝撃波の後、残されたのは真っ赤な魔石だけだった。


 ティアと拓真がガッツポーズをして勝利の余韻に浸っていると、魔術師の男が近付いてきた。


「君、強いな!そちらの神子さんも見事な魔術だ」


 ティアはハッとして拓真の後ろに隠れる。恐らく他の都市で迫害に近い扱いを受けていたから条件反射が起きたのだろう。


 そして男は何かを思い出したかのように厳しい顔付きになる。


「神子さんを連れてるって事は……君は研究所の人間か?」


「いや、違う。この娘は俺の義妹だ。……その言い方、もしかして研究所とやらは神子と何か関係があるのか?」


 男は話すべきか迷ってるような顔をして少し沈黙する。そして意を決したのか顔を上げて拓真の手を握り始めた。


「義妹さんが大切なら君はこの都市を去った方がいい!友人の話しではもう充分な数は集め終えたらしいが、研究者と言うのは予備の予備まで用意する人種だ、早く去った方がいい!」


「おい、ティアが怯えてるぞ!ゆっくりわかるように話してくれ」


「あ、ああ。実は私は魔道研究所の元研究者なんだ。1年前にパトリック=エードルンド所長が事故で亡くなられてから方針が変わってな……着いていけなくなったんだ。さっきの話しは今もそこで働いてる友人から聞いたんだよ」


「今のところ狙われた形跡もないしな。アンタの言うとおり警戒はするよ。ティアは俺が守る、だから問題ない。問題があるとすれば、非人道的な研究をする研究所とブラッド種だ……クソッ!どこから出てきたんだ」


「それも研究所かもしれない、人為的にあれを保護できる規模の研究所はエードルンド研究所しかありないよ」


 拓真はティアへ向き直り、諭すように話す。


「ティア、これからその研究所に行く。先にお前を雪奈の所に──」


「嫌ッ!お兄ちゃん、時間ないでしょ?こうしてる間にも新しいブラッド種が出ないとも限らないじゃない?だったら、さっさと行ってさっさと解決した方がいいよ!」


「わかった。どうせ言っても聞かないんだろ?……なぁ、研究所まで案内頼めるか?」


「君には命を助けられたからな。案内ぐらいわけないさ」

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