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リタと拓真

 服全てに風属性を付与して、上空にいるリタの所へ向かう。


 "アポカリプス"


 リタの作り上げた灰色の巨大な球体、それの完成を遅らせるためにライラはヴァルキリーのスキルで攻撃を加えていた。


 だが、それはあくまでアポカリプスの完成を遅らせることしかできず、結局時間稼ぎにしかならない。


 だから俺が直接本体を叩くしかないんだ。


 そしてリタの近くまで来た俺はDeM II(デムツー)を大きく振る。


 ──ブンッ!


「タクマさん! か弱い私にそんな大きな剣を振るなんて、酷いですぅ!」


 腕を落とそうと振り下ろした剣はギリギリで避けられしまった。


「タクマさーん、足場に使って下さい!」


 ワンの偽者と交戦中のサチが氷の塊を空に打ち上げてくれた。俺はそれを足場に再度リタへ攻撃を仕掛ける。


「リタ、もう終わりにしよう!」


「あなただけが終わるのよ!」


 俺を迎撃しようと灰色の炎が迫ってくる。これに関しては余計な属性付与は魔力の無駄だ。

 単純に"闘気"だけを纏わせて斬った方が、有効打を与えれるはず!


 ────ザンッ!


 真っ二つとなった灰色の炎の先では、リタが苦々しい表情を浮かべてこちらを見ていた。


「──くっ! 属性付与の王と言っても過言じゃないわね! 忌々しい!」


「仕方ねぇだろ、これしか取り柄がないんだから!」


 片手でアポカリプスを作り、片手でこちらを迎撃する。いかに強化されたリタと言えども、魔力出力がギリギリの状態だ。


 だから、ここで紋章術でその均衡を崩すことにした。


 あらかじめストックしていた紋章術のイメージをここで解放する。いちいち描いてたらいざというときに間に合わないからだ。


 用いる属性は光、描かれる紋章は『祝福の鐘』──。


 ダグラスを助けた時の極大回復スキル、それをリタに使う。


「はは、回復スキルを剣に纏わせて斬りつける奴なんて、創作ですら見たことねぇな。でもお前を無力化させた上で助ける方法なんざ、これしかないだろ」


「た、助けなんて必要ない! 来るな、来るなぁっ!!!」


 体にバシバシと小さな灰色の炎が 当たってるけど、俺の周囲はリタの苦手属性である闘気に守られてるためジャブくらいの衝撃しか伝わってこない。


 最後の氷を踏みしめて上段の構えをとる。


「うおおおおおおおおお! 自作奥義"大天使の抱擁レフェクティオ・アンゲルス"!!」


「いやぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 光の剣がリタを貫いた。そしてそのまま一気に闘気を彼女の体内に流し込む。


「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 目から、鼻から、あらゆるところから灰色の障気が吹き出てきた。恐らく彼女の半分は悪神の障気で構成されてるはずだ。


 だから障気を闘気で相殺して、空いた部分に紋章術の極大回復で埋め合わせをしている。


 気を失ったリタを抱き締めて地上へと向かった。


「タクマさん! こっちは任せて下さい! リタは頼みます!」


「ライラ、頼んだぞ!」


 ライラは頷いて、アポカリプスをヴァルキリースキルで切削し始めた。魔力供給が断たれた今、アポカリプスはそれほど脅威ではなくなった。ライラ1人に任せても大丈夫だろう。


 そして地上に降りるとルーク達が側に寄ってきた。


「紫のアレはどうなった?」


「君がその子を貫くと同時に消えてなくなったよ。で、その子は助かりそうかい?」


「ああ、俺の考え通りなら助かるはずだ」


「そっか」


 ルークはそう言って俺の横に座り、治療を眺めている。


「ルクスでのこと、本当にすまなかった」


「俺を捕らえたことを言ってるのか?」


「うん、僕はこの国がここまで腐ってるなんて思わなかったからさ。正しいことをすれば結果はついてくるって思ってたんだ」


 ルークはどこか遠くを見るような顔で語った。


「俺のことは気にすんな。お前のお陰で新しい妹にも出会えたしな。あ、雪奈には謝罪したのか?」


「したよ……何度も枕で叩かれたし、果てはミスリルの花瓶でも殴打されたね」


 確か雪奈の話しでは一時保護されたあと軍の客分として一室を与えられてたんだっけか。ずっと部屋で泣いてたって言ってたもんな……そこに無理矢理入って謝罪したのか。


 そら叩かれるわな……。


「てかよ、お前年上好きって話しだったよな? なんでそっちの子と婚約してんだよ」


「彼女を保護したあと引き取り手が見つかるまで僕付きのメイド兼部下の扱いにしたんだ。それで一緒に行動するうちに……ね」


 ルーク……お前はまだ世間知らずだな。決定的なことを見落としてるぞ。


「サチ、だっけか。南の武器屋の娘だったよな?」


「え、はい。そうですけど……それが?」


「ルークよぉ、サチの叔父に当たる人物に挨拶したか?」


 俺の言葉に2人は顔を合わせてポカンとしている。どうやらここルクスに親戚がいることすら知らないようだ。


「ルクスの冒険者地区にサチの引き取り手が一応いるからな。きちんと挨拶しとけよな」


「うわぁぁぁぁ! なんてことだ、僕はまた間違えたのか!」


「ルーク様、大丈夫ですよ。あの時のルーク様は独立の為に忙しかったんです! 仕方ありませんよ!」


「うぅ、サチ……ありがとう。落ち着いたら挨拶に行こうか」


「はい!」


 気付いたら俺を置いてきぼりにして2人の世界が出来上がってしまった。仕方ないので咳払いをして引き戻すことにした。


「コホンッ! ルーク、お前に頼みたいことがある」


「あ、ああ! 勿論構わないとも、それで頼み事とは?」


 治療が完了したので、彼女から剣を引き抜いてルーク達の方に向き直った。


「この子のことを見なかったことにして欲しい。お前ならできるだろ?」


「僕に彼女を見過ごせと言ってるのか? 僕に不正を行えと? 彼女はここに来るまでに騎士を殺したかもしれないのに?」


 ──バリンッ!


 上空でアポカリプスを打ち破ったライラは俺の隣に降りて一緒に懇願し始めた。


「私からもお願いします! 彼女は私の友達でもあるんです!」


 ルークは少し考え込んだあと、ふっと笑みを浮かべて言った。


「最初からそのつもりだったし、別に構わないよ。そもそも今のルクスは有力貴族がほとんど殺されて無政府状態に近いからね。裁判なんてとてもできる状態じゃないんだよ」


「そうだな、取り敢えず王都に戻るか」


 リタに吹き飛ばされてから雪奈達はきっと心配してることだろう。


 俺達は王都に帰還することになった。

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