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5、私の生きる意味(メアリー視点)

ブクマ&評価ありがとうございます!

 

 リリィ様と出会ったときのことは、今でも鮮明に覚えている。


 私、メアリー・アイバルーン は、ここ、ルーベル王国の隣国に住む商人の娘だった。母は私が幼い頃に亡くなってしまったから、お父さんと2人暮らしだった。裕福なわけではなかったけど、それなりに幸せに暮らしていた。


 お父さんが仕事を通して、たくさんの人を笑顔にしているのを間近で見ていた私は、彼の娘であることが、とても誇らしく、また、私は商人という仕事に憧れを抱いていた。


 15歳のそんなある日のこと、お父さんがルーベル王国に仕事で行くことになった。


 商人という仕事に同行してみたかった私は、お父さんに連れて行ってほしいとお願いした。

 長旅になるし、危ないから駄目だと断られたが、どうしても行きたかった私は、懲りずにお願いし続けて、無理やり連れて行ってもらった。


 ———そして、悲劇は起こった。


 …盗賊に襲われたのだ。


 お父さんは必死に私を守ってくれた。お前だけは絶対に守ると。


 ・・・そして、私を庇ったお父さんは、死んだ。


 お父さんが、死んだ。私はこれからどうしていけばいい?何のために生きればいい??…もう、今ここで死にたい…お父さんのところへ逝きたい…


 私は生きることを諦めかけていた。


 でも、最期にお父さんが言った言葉を思い出す。


『逃げろ!!そして生きろ!!』


 逃げた。必死に逃げた。抵抗した時に切られた左目から流れてくる血と、右目から出てくる涙が止まらなかった。


 血なのか涙なのか汗なのか、絶えず流れてくる液体を拭いながら、私は森の中の道を走り続けた。




 どこか知らない町へ辿り着いた頃には、私の体は思うように動かなくなっていた。


 もう…無理かも…


「ねぇ!だ、大丈夫!?」


 意識を手放しそうになったその時、私の目の前に現れた、赤い瞳の少女。


 それがリリィ様だった。




 私は、それから彼女のもとで働いている。


 リリィ様は、周りから無口で無表情な冷たいご令嬢だと思われているようだが、全くそんなことはない。


 人見知りではあるけど、話してみるととてもお喋りだし、表情もよく見れば、僅かではあるがコロコロとよく変わっている。


 そして何より、とてもお優しい方だと思う。


 両親を亡くし、もともと親戚もいなかった私に、ここで働くという選択肢をくれた。


 それに、リリィ様の言葉があったから私は救われた。


 お父さんが死んで、私だけが生き残った。彼女はそんな私を助け、居場所まで与えてくれようとしてくれている。私だけ、こんな幸せでいいの…??私も一緒に死ぬべきだっんじゃないの…??


 そんな考えを巡らせる私にリリィ様は言ったのだ。


「私はね、あなたの笑顔を守りたくて、あなたをここに連れてきたの。だから、そんな顔をしないで?あなたには笑顔が似合う。亡くなったお父様も、あなたが幸せに笑顔で居てくれる方が、喜ぶわ。ここで働くことに賛成的でないなら無理はしなくていい。自分の行きたい道を行けばいいと思うわ。」


 私の行きたい道…


 …私は、笑顔を守りたいと、そう言ってくれる彼女の為に生きたい。何があっても、彼女についていきたい。


「是非ここで、貴女のもとで、働かせてください。よろしくお願いします」


 私は笑顔で彼女に言った。



 お父さん、私は今、とても幸せです。

 だから、心配しないでね…



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ある日の夜のこと、


 リリィ様とおやすみの挨拶を交わし、寮館へ戻る。ここで働く使用人達が寝泊まりする場である。


 ふぅ…と溜息をつきながらベットに座る。


 リリィ様がここのお嬢様でないこと。それを知って2日が経っていた。あれからリリィ様には振り回されてばかりだ。


 今日なんて、町に出て仕事見つけたらしいし…


 リリィ様とあの話を聞いてしまったとき、どう慰めたらいいのか、と悩んで悩んで悩みまくっていたというのに、彼女は思いの外とても活き活きとしていた。


 しっかりと前を向いて、生きようとしていた。

 やっぱりリリィ様は素敵な方だなあと、お仕えできて幸せだなあと思うばかりである。


 ふと、鏡に映る私を見る。


 私の左目は何事も無かったかのように使えている。


 リリィ様がここの家の者でないこと、それを聞いた時、今までの謎が解けた。


 まず、どうしてこんなに素晴らしいお嬢様を、旦那様と奥様は放置しておくのか、ということ。


 そして…彼女が使った不思議な力はなんだったのか、ということ。


 私の左目は治らないはずだった。なのに、治ったのだ。リリィ様が眼帯越しの私の左目に手を当て、絶対治るよ、とそう言った時、ほのかに光が漏れ、あとで様子を見てみると、なんと完治していたのだ。


 その時は、貴族のはずである彼女が魔法を使えるはずないし、奇跡でも起きたのだろうと、あまり深く考えないようにしていたが、彼女が貴族でないとするならば、魔法である可能性は100%と言ってもいいだろう。


 まぁ、その魔法を使った張本人は、私の左目を治したのが自分だとは気付いてないけど。


 でも、リリィ様だったら、魔法が使えるっていつか気付きそうだなぁ・・・




 そして、この私の予想は思いの外早く、当たってしまうのであった…


読んでくださりありがとうございます!

よければブクマしてくださると嬉しいです!

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