表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

第6話

タイトルを変えようと思っている

ベランダから顔を覗かせると、そこにはクラスメイトである友神喜一と、帽子を外しているからよく分かります、駅前の留学生殿下が走り抜けていきました。仲良くお手手を繋いでやがる

そして道と言う道からは、何やら黒い服にサングラス?の男たち

絵にかいたような、と思いました


「公女殿下には傷をつけるな!」


インカムをしているとはいえ、それでも聞こえる声量でした

焦っているのでしょう


「殿下! 我々と共に来てください。国民の為を思えばこそです!」

「………」

「おい! こいつは行きたくないって言ってるんだ! そこをどけ!」


友神くんの騎士のような振る舞いを見て、こういうの本当にいるんだと思いました

ですが、この構図、まさにお姫様を守る騎士といって良いでしょう

読者が求める、絵になる、売れる構図です


「ッ! やむを得ん、かかれ!」


リーダー格の男が指示を出すと、待機していた黒服の男たちが一斉に飛び掛かりました

僕は友神喜一がどういう人間か知っています

ありとあらゆるパワードスーツに適応ができる天性の素材

事実、友神くんが解決した事件や、神城島総合大会で1年生ながらに部門優勝を果たした事を知っています。それに、あのロシア人の姉妹

そんな人間に大勢で飛び掛かるとどうなるか、目に見えていますよね?


「ぐ、ぐあああああ!」

「く、くそぅ…」


黒服の男たちがあれよあれよといなされていきます

パワードスーツを身にまとわずにやってるあたり、ここで素の力も凄いことをアピールしているのですね

単眼鏡を取り出してみますと、あの公女殿下の表情といったら、もう言うまでもないでしょう


「ちっ、キリがないな」


そりゃキリのある戦いをしていないからだろうなぁと思うのは野暮ですね

ですが、ああいうセリフを吐くという事は……


「来い! 『牛頭・馬頭』!」


その時目に異様な光線が飛び込んできました

変身シーンでお馴染みのアレです。いや、ちょっとこれ本当にやばいんじゃない?ってぐらい眩しいです

目が慣れてくると、友神くんはパワードスーツを身に着けていました

上は黒、下は白。なんというか細部にこだわりのあるスタイリッシュなデザインで、見ただけで強いって言うのが分かります。

きっと、使い勝手の悪い試作機だとか専用機なんだろうなぁ


「うぉぉおおおおおお!」


腕を一つ振るうだけで黒服が大勢吹き飛ばされます。ドヤ顔代わりに辺りを睨んだのでしょう。まだ控えている黒服たちが後ずさりしています。

流石にリーダー格の男も見かねたのか撤退の指示を出しました。

手薄になったその瞬間、友神くんは公女殿下をお姫様だっこして家々を飛び越えていきました。パワードスーツってああいうこともできるんだ…


さ、ここから僕のやる事は決まっていますし、何が起こっているのかも今の流れで大体把握できました

よくある自由になりたいお姫様と、それを手助けしてあげる騎士のような主人公といった構図でしょう

そうであれば、政治思想の面からして動きやすいものです。

少し、失礼します。ちょっと救助作業をせねばならないので










「…う、ぐ」


そこがホテルでも病院でもない事は一目で分かった。

何やら厚めのシーツをのけて、辺りを見回す。離れた机の所に俺の銃が置いてある。生活感のある部屋だ

本棚には歴史の本や日本のマンガやらが並べられている

とにかく、この部屋から出よう


「あ」

「?」


ちょうど、この家の持ち主であろう人物が食事をしていた

腹が減っていたのか先に料理に目が行ってしまう。多すぎないか?と思ったが、彼の体形を見るとなるほど納得してしまった


「あー、分かりますか?」

「?」


俺は日本語を知らない

何を言っているのか全く分からないが、少なくとも害を与える存在ではないだろう

彼は料理を中断して、テレビを見るよう指差した

デスクトップを捜査して、画面に広がるのは世界地図

どこの生まれかを聞きたいのだろうか

北海を指差した


「ノ、ノルウェー?」

「ノー」


拡大された北欧諸国の地図

ディスプレイに直接指を付けた


「アイスランド!」

「イエス」


お互いの意図が通じ合うという事に、どことなく安心感に包まれた


「あー、どうしよう、これで合ってるかな」


彼は翻訳サイトを開けた

不正確な訳だろうが、コミュニケーションツールとしては最良の選択であった


『Þú getur ekki farið á sjúkrahúsið. Til þess að útlendinga geti farið á spítalann þarftu að fá eyðublaðið og inngönguleyfi.』

「(病院へ行くには、IDとかがいるのか) オーケイ」


彼のデスクトップを少し借り、こちらも入力する

伝われば良いのだが…


『ありがとうございます。でも心配しないで。今のところ体に異常はありません。』

「それは良かった!」


彼の笑顔が答えであった

しかし、長居は無用だ。早くホテルに戻って、合流しないと

契約に関わる問題だ


(以下、翻訳)

「すまない。一晩、止めたくれた事には感謝するのだが、戻らないといけないところがあるんだ」

「友神喜一」

「?」


焦って指を差されるが、何を示した言葉なのか分からないので小首をかしげる

すると、意図が伝わらなかったのか彼は慌てたように携帯端末を取り出した


「これ」

「うん? お前……これは」


端末に保存されていたのは昨日の戦闘の一部始終であった

ご丁寧に俺が吹き飛ばされた所まで撮影されてあった


「何が言いたい?」

「そ、そう凄まないでください! 僕はその…取引を持ち掛けたいんです」

「取引だと?」


この映像で何か脅迫するのかと思ったが、どうも下手に出てくるので変な裏も無いように思える

いや、馬鹿馬鹿しい、何が取引だ。こんな映像が世間に公開された所で、小国とはいえイルヴァンド、ひいては日本政府という国家権力が揉み消すか、誤魔化して終わりではないか


「僕は、彼と公女殿下の居場所を、知る事ができます」


その言葉に俺は振り向かざるを得なかった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ