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ホイールを買うぞ! ~ホイールを替えれば走りが変わる1~

マサオ「やっと番外編が終わったか」

ハルカ「まったく……まさか四話も続くなんて」

ルナ 「まあ作者も苦労したみたいだし、今回は大目に見てあげましょうよ」

トシヤ「そうですね。では、今回から本編に戻ります。ヒルクライム・ラバーズお楽しみ下さい!」

 梅雨も終盤となり、雨が振る日が減り、蒸し暑くなってきた。オリジナルジャージの完成までに渋山峠を足着き無しで上れる様になるという目標を立てたトシヤとルナに背中を押されたマサオは登校して顔を合わすとすぐにヒルクライムについて話合っていた。もちろんマサオが購入した『ヒルクライムスペシャリストへの道 ~目指せ山神~』を教材にして。


「ホイール替えようかな。ほら、ココに書いてあるじゃん」


 マサオが言い出した。さすがはマサオ、ついこの間プリンスを買ったばかりだというのに。トシヤがマサオの示すページを見ると『ホイールを替えれば走りが変わる!』という見出しと共に数々のホイールが紹介されている。


「やっぱレーゼロか? それともシャマルにするか?」


 マサオは目をギラギラさせながら言った。ちなみに『レーゼロ』とは正式名称を『レーシングゼロ』と言い、イタリアのフルクラム社製の十万円以上するホイールで、『シャマル』は同じくイタリアのカンパニョーロの、やはり十万円以上するホイールだ。


「今度見に行こうぜ」


「良いよな、金持ちは」


 あっさりと言うマサオにトシヤは羨ましそうに言った。それはそうだろう。普通の人はロードバイクを買う為に、ロードバイクを買った後もパーツをグレードアップする為に少ないお小遣いを切り詰めてお金を少しづつ貯めていくものだ。それをマサオは高級ロードバイクのピナレロプリンスを衝動買いし、それからすぐにホイールを替えようと言うのだ。しかもちょっと安め(とは言っても八万円ぐらいする)のレーシング3やゾンダを飛ばしていきなりアルミリムのハイエンドモデルに手を出そうというのだ。羨ましいったらありゃしない。


「いやいや、お前にだって良い話はあるぜ」


 羨ましそうな顔のトシヤにマサオが言った。マサオがホールを替える事がトシヤに何のメリットがあるのか? トシヤの顔が訝しげに変わった時、マサオの口から思いがけない言葉が出た。


「今プリンスが履いてるレーシング5が要らなくなるからよ、リアクトに付けてみたらどうだ?」


「えっ、マジでか?」


「おう。心配すんな、金なんか取らねぇからよ」


 笑いながら言うマサオの背中から後光が差している様に見えたトシヤだったが、その見返りと言うわけでは無いだろうがマサオは一つ要求してきた。


「だから、ハルカちゃんとルナ先輩も誘ってくれよな」


 出会ってから結構経つというのにマサオはルナと連絡先の交換をしていないのだろうか? そう思ったトシヤだったが、よく考えればトシヤもハルカのメールアドレスは知っているがルナのメールアドレスは知らない。


「わかった。ハルカちゃんにメール送っとくわ」


 トシヤがハルカにメールを送信したのと同時に授業開始を知らせるチャイムが鳴った。

 授業中、トシヤはハルカからの返信が来ないかとスマホばかり気にし、休み時間の度にマサオが「返信はまだか?」と煩く聞いてきたが、結局ハルカからかの返信が来ないまま昼休みとなってしまった。


「今回はやけに返信が遅いな」


「お前が調子コイてホイール替えるなんて言い出すから呆れてるんじゃないか?」


 不毛な言い合いをしながら学食に向かうトシヤとマサオは不意に後ろからポンっと肩を叩かれた。


「誰だよ? こんな時に」


 振り帰ったトシヤとマサオの目に飛び込んできたのは言うまでも無いだろう。ハルカとルナの姿だった。


「マサオ君、ホイール替えるんですって?」


「プリンス、買ったばっかりなんでしょ? 良いわねー、お金持ちは」


 ルナが言うと、ハルカも羨ましそうに言った。それはそうだろう。ハルカもルナもトシヤもアルミフレームのロードバイクに乗っているのにマサオだけはカーボンフレームだ。それだけでもマサオには大きなアドバンテージがあるのにホイールを替えればプリンスの戦闘力は跳ね上がり、そのアドバンテージは更に大きくなる。もちろんロードバイクの動力が人力のみである以上は乗り手次第でどうにか出来る(何しろ乗り手がマサオなのだから)だろうが、やはり羨ましいものは羨ましい。


「ああ。だから次の日曜にショップ行くんだけど、付き合ってくれないかな? って」


 マサオの言葉にハルカは考える様な素振りを見せた。ロードバイク仲間がホイールを買おうと言うのだ、もちろんそれに付き合うのに依存は無い。と言うか、マサオがどんなホイールを買うのか興味津々だ。だが即座に頷いてしまうのも面白く無いとただ勿体を付けているだけだ。


「次の日曜でしょ? どーしよっかなー? 久し振りに晴れるみたいだから、渋山峠上ろうと思ってたんだけどなー」


 意地悪な事を言うハルカ。正直言ってマサオの狙いはルナなのだからハルカが来ない事はさしたる問題では無い。だがハルカが来ないとなると、ルナも来ない可能性が一気に跳ね上がる。マサオは猫撫で声でハルカの説得を始めた。


「そんな事言わないでさ。ほら、俺もトシヤもまだ初心者じゃん。やっぱロード歴の長いハルカちゃんにも意見を聞きたいんだよ」


 よくもまあ口から出まかせ、いや、こんな調子の良い事を言えるもんだとトシヤは呆れるのを通り越して感心するばかりだったが、ハルカは単純にもすっかり気を良くしてしまった。


「そうまで言われたらしょうがないわね、付き合ってあげるわよ」


 ハルカが来るとなればルナも来てくれるであろう事はまず間違い無い。マサオは心の中でガッツポーズを決めた。するとルナも微笑みながら口を開いた。


「そうね、いくらマサオ君がお金持ちでも大きな買い物だものね。皆で行きましょうか」


 見事にマサオの思惑通りに事が運んだ。マサオはお金だけでは無く、ツキも持っているのだろうか? いや、コレはマサオの努力が実を結んだのだ! ……ただ一緒にロードバイクのショップに行く事になっただけなのだけれども。




 お読みいただきましてありがとうございます。

 四回に渡って自分の恥を晒してしまって申し訳ありませんでした。前書きでトシヤ達が言ってました通り、今回から本編再開します。今後もよろしくお願いします。

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