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ランチ一つにも様々な思惑が……

 一方マサオは予期せぬルナの合流に胸を弾ませた。当初はマサオが一人で食べ物と飲み物を適当に見繕ってルナ・ハルカ・トシヤの待つテーブルへ運ぶつもりだったのだが、ルナが買い物に加わってくれたのだ、これはもう千載一遇のチャンスだとやる気満々だ。


「ルナ先輩、何食べます?」


「何でも良いわ。マサオ君に任せるわよ」


 マサオがご機嫌な顔で尋ねるとルナは目映いばかりの笑顔で答えた。しかし女の子の「何でも良い」を額面通りに受け取るのは愚の骨頂だ。マサオはトシヤと違ってそれぐらいの事は心得ている。


「まあそう言わずに。何かリクエストとか無いっすか?」


 食い下がる様に尚も尋ねるマサオにルナは穏やかに微笑んで言った。


「そうね……じゃあ、マサオ君は何が食べたい?」


 質問を質問で返すというルナのまさかの掟破りにマサオは一瞬たじろいだが、すぐに少しでも好感度が高いであろう答えを導き出そうと頭をフル回転させた。その結果、出した答えは……


「ルナ先輩が食べたいモノっすね」


 はっきり言って微妙な答えだ。いや、正直気持ち悪いと言われても仕方が無いかもしれない。だがしかし、ルナがそんな酷いことを言うワケが無い。


「そう……じゃあ二人で選びましょうか」


 ルナの口から出たのは『酷い』どころかマサオにとって素晴らしい言葉だった。マサオはそれはもう嬉しそうな顔でルナをショーケースの前へと誘い、並んで品定めを始めた。


「何にしますかねー? ハンバーガー? いやいや、プールと言えば定番の焼きそばっすかねー? どっちにしても、ポテトは欠かせませんよね」


「そうね。あっ、アメリカンドッグなんかも良いんじゃないかしら?」


 ショーケースを覗き込みながら高いテンションで言うマサオに笑顔で答えるルナ。傍から見れば仲の良い恋人同士に見えるんじゃないかと密かに喜んだマサオだが、他人からどう見えるかなんてどうでも良い。大事なのはルナがマサオをどう見ているかだ。

 もちろんマサオもそんな事はわかっている。いつか本当にルナと仲の良い恋人同士になる日を思い描きながらマサオは大盛りの焼きそば二つとピザを二枚と山盛りのポテトフライ、そしてアメリカンドッグを四本注文した。


 食べ物が決まったら次は飲み物だ。と言ってもこっちは考える程のものではない。なぜなら選択肢がそれほど無いからだ。ルナとハルカにオレンジジュースを、トシヤと自分にはコーラを注文し、支払を済ませたマサオはルナとトレイを一枚ずつ手にして、トシヤとハルカの待つ席へと向かった。


「よう、お待たせ」


 テーブル席のトシヤとハルカに合流したマサオはルナと並んで満面の笑みを浮かべて言うが、トシヤはマサオが手にしているトレイを見て目眩がしそうになった。正直「なんだよ、そのセンスが微塵たりとも感じられない品選びは」と喉まで出たが、もしこのラインナップを選んだのがルナだったら……と考えると寒いものがある。トシヤはその言葉を慌てて飲み込み、「おう、お疲れ」と無難な言葉でお茶を濁した。しかしハルカは身も蓋もないことを言い出した。


「あっ、アメリカンドッグだ。ルナ先輩、本っ当にコレ好きですねぇ」


 どうやらルナはかなりのアメリカンドッグ好きみたいだ。さっきマサオに「アメリカンドッグなんかも良いんじゃないかしら」と軽い感じで言ったのは、その事が少しばかり恥ずかしかったのだろう。

それを裏付ける様にルナはハルカの言葉に顔を赤らめ、マサオはルナが初めて見せた可愛らしいところにすっかり見惚れてしまった。


 ルナは気を取り直すかの様に咳払いを一つしてハルカの横の椅子に座り、マサオはトシヤの隣の椅子に座った。とは言ってもテーブルは丸い。座った位置関係を時計の針で表せば、トシヤを六時とすると隣に座ったハルカは九時、ハルカの隣のルナは十二時だ。そしてトシヤの隣(ハルカの反対側)に座ったマサオは三時。つまりマサオはルナの隣に座ったとも言えるわけだ。


 四人がテーブルに揃ったところでマサオがレディファーストとばかりにルナとハルカに好きなものを食べる様に促した。


「わーい、ありがとう」


 ハルカはポテトフライに手を伸ばした。


「ありがとう。いただきます」


 ルナが手に取ったのは、もちろんアメリカンドッグだ。


「さて、そんじゃ俺もいただくとするかな」


 そう言ってトシヤが手を伸ばした先にマサオは注目した。

 トシヤはいったい何を手に取るのか? マサオとしては焼きそばを取り、出来ればハルカと仲良くシェアして食べて欲しいところだ。そうすればマサオもルナと一つの焼きそばを分け合って食べる事が出来る……そう、仲の良い恋人同士の様に。


 マサオが焼きそばを人数分では無く二つにし、それにピザを二枚追加したのも実はそれを狙っての事だったりするのだった。




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