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私を支える両腕は、騎士服の上からではわからなかったが評判どおりの細マッチョ。見上げた先には、恐ろしく整った男性の顔。うん、睫毛が無駄に長くてむかつく。




「エルナ嬢?」





抱きとめるのは慣れていても、返事が返ってこなくて心配になったのか先ほどより不安気にアーデルベルト様に声をかけられた。

現実逃避も虚しく、残念ながら私はアーデルベルト様に助けられたらしい。怪我しなくて良かったけど、イケメンの顔をドアップで見せられて精神的ダメージが・・・。やっぱり遠くから見るのが1番だね。







「ーーー聞こえてますか?」








ーーーもう1度言う。遠くから見るのが1番だ。

私が、あんまりにも返事をしないから気づけばイケメンのお顔が先程よりズームされていた。





「も、申し訳ありません!大丈夫ですっっ」



ようやく、脳が正常に機能しだし今までずっと全体重をアーデルベルト様にかけていたことに思い立った私は、慌てて起きようとしたのだが



パニック続きだった私の脳が良いアイディアを思いついた。いや、そんな脳が良いアイディアを思いつくはずはない。もし、正常だったならおとなしく起きておけと言っただろうが。


起き上がろうとした体勢を先程以上にアーデルベルト様に傾け、勢いよく抱きつきあろうことかこう言い放ったのだ。







「だ、男性に触れられてはもう他所にお嫁に行けないわあああ・・・」




アーデルベルト様のお見合い相手その5の真似である。

抱きつくことで、アーデルベルト様からは私の顔が見えず、かつ嫌な女の演技もできるという一石二鳥である!

そのときのアーデルベルト様は、一瞬呆然としていたがすぐお顔に蔑む色が浮かび、優雅だが有無を言わさずご令嬢を自分から離して「あなたのような魅力的な方なら、引く手数多ですから大丈夫です」と言ってさっさとご令嬢をそのご両親に引き渡していた。



さあ!

どうぞ私も蔑んでください!


※そういう趣味はありません。






が、いくら待ってもアーデルベルト様からの蔑む目や暇乞いの台詞は聞こえない。



・・・あ



嫁き遅れの私に、”引く手数多”とも言えず本気で困らせてしまったのかも。



うわ〜やらかしたー



さすがに、助けてもらったのにこの仕打ちは気の毒になり、「冗談ですー、ハハ」とごまかそうとアーデルベルト様から離れると





耳まで真っ赤に染まったアーデルベルト様が、何とも言えない顔をしながら、






「・・・すみませんでした///」




とおっしゃった。



本当にすみませんでした〜〜〜〜〜



怒りで顔が真っ赤になるほど、怒らせてしまった。

何とも言えない顔なのは、怒りを堪えてるんですね。

本当にすみません!!


土下座しようか真剣に考えだしたが、実行する前にアーデルベルト様が急に素早い動きで落ちていた扇子を拾い上げ、私に差し出すと



「すみませんが、今日はこれで失礼いたします。」




と言って、両親のもとまで私を連れて行きすぐに帰っていってしまった。







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