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決戦!お見合い1

「初めまして、アーデルベルト・ミュラーです。騎士団で副長をしております。」


「アンダーソン男爵家が長女、エルナと申します。本日は、よろしくお願い致します。」



よろしくないけども。


病弱という表向きの設定のため(本当は、バレるリスクを減らすため)、お見合いは我が家の応接室で行われた。

公爵様は、お仕事のためいらっしゃらなかった。普段、息子の嫁探しにあくせくしていて忘れてしまうが、あれでもこの国の財務大臣なのである。



「本日は、我が家の都合で出向いて頂いて申し訳ありません。」

「いえ、エルナ嬢は病弱なのですから当然ですよ」

「そう言って頂けるとありがたいです、ハハ・・・ゴホッゴホッ!!」



ちょっと、父その怪しい笑いと咳やめて!

病弱設定は、私だけだから!


アーデルベルト様は、白地に金刺の騎士服姿。公爵家で見慣れていてもやっぱり格好いいなぁ。あ、でも正面から見たの初めてかも。よく見たら胸元に綺麗な刺繍が



「コホッコホッ」



アーデルベルト様の胸元を凝視していると、隣から可愛いらしい咳が聞こえてきた。



「ごめんなさいね、エルナったらアーデルベルト様が格好いいから見惚れてしまって(笑)」



私よりよっぽど咳が似合う母はそう言って、アーデルベルト様に微笑みかけた。



美男美女だなー

私なんかよりよっぽどお似合いだなー

お父様もまあまあお似合いだけど



「コホッ」








「本当にごめんなさいね。エルナったら緊張してるのかしら(笑)」




やばい、お母様あいかわらず綺麗な笑顔だけど目が笑ってない。現実逃避してる場合じゃなかったわ。





「そろそろ2人にしてあげましょう?私たちはいくからあとはお願いね、エルナ?」





いつまでたっても、ろくに反応しない私を見かねた母は優雅に父の腕を引き颯爽と部屋をでていってしまった。助けを求めるように母を見たが、いい笑顔で口元が ”ス・テ・イ” と動くのを見て諦めた。



やるしかないわ、エルナ


公爵家での7年間を活かす時がきたのよ!!


決してこの日のために働いてきた訳ではないのだが。




手始めに、口元は念のため扇子で隠しつつアーデルベルト様にひっつくご令嬢方の真似をして、もじもじしながら、上目遣いで見あげる。



お?

アーデルベルト様の完璧な笑顔がくずれ、一瞬目を見張った気がした。



「アーデルベルト様は、何かお好きなお菓子ありますかぁ?私お菓子作りが趣味なんですよぉ。」



語尾は甘ったるく伸ばして、お菓子がつくれる可愛いご令嬢アピール。あわよくば騎士団に差し入れまでを狙うこの戦法をもちろんアーデルベルト様は学習済みなので



「すみません、私は甘いものはあまり得意ではないので。」




うんうん、いつもご令嬢方に言ってますよねー。本当は甘いものめっちゃ好きだけど。よし、じゃあまずはしつこい女からね。




「そんなこと言わないでくださぃー。好き嫌いはよくないですよ!私の作ったお菓子なら、絶対食べれます!だって、私のお菓子には〜リズの愛ゴホッゴホッ・・・隠し調味料がいっぱい入ってますから!!」




危なかった。本物の真似しすぎて全く同じ台詞を言うところだった。ちなみにこれは、アーデルベルト様の1人目のお見合い相手である伯爵令嬢の真似である。




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