失敗
次からアーデルベルト様だします!
結論からいうと、ダメでした。
手紙を出そうとしたその日のうちに、実家からの手紙が届いた。2枚あるうちの1枚目には、父から
1.お見合いが決まったこと
2.公爵家で侍女として働いていることは伏せ病弱で社
交界にでられないということにしているということ(そんな無茶な!)
3.お見合いの日程
などなどが書いてあった。1と3はもう知ってたけども。そして、2枚目の手紙には母から一言
病欠不可
1枚目の病弱設定はどうした!!
見た目儚げ美人でも、中身は強い母である。
仕方なく、私はお見合いの前日から休暇をとり実家に戻ることに決めた。せめて、私であることがバレないよう化粧とドレスを侍女と相談し、完璧なアーデルベルト様の嫌な女を演じるべく備えたのだ。
「お嬢様の御髪を整えるなんて何年ぶりでしょう!」
「もう、お嬢様って歳じゃないでしょ」
「そうですねぇ、お子様がいてもいい頃ですねぇ」
「ぐふっ」
シーラは、私と同じくらいの息子を3人もつ母親で、私が小さい頃から娘がいないからと私を飾り立てることに全力を尽くしている。
「別に断らなくても、アーデルベルト様と結婚すればいいじゃないですか」
「え〜嫌よ」
「イケメンだし、別に悪い人ではないんでしょう?」
「確かにそうかもしれないけど、お一人様を満喫してきた私に今更女の戦なんて無理よ」
「はぁ・・・もったいない。せっかく綺麗なお顔をなさっているのに」
「シーラの化粧のおかげでしょ」
落ち着いた若草色のマーメイドドレスに、代わり映えしない茶色の髪をアップにしてシーラの手で化粧を施された私は普段が中の中なら、今日は上の下くらい綺麗になっている。
まあ、ブサイクな顔で嫌われにいくって選択肢もあったけど流石にそれはね。
とにかく、これで私が歴代アーデルベルト様に嫌われた女たちの真似をすれば、晴れて向こうからお断りされて再び平和な侍女ライフに戻れる!頑張って嫌われよう!!