優しき兄弟
ヒンデイールに行く準備をした。自分の故郷だ。アステルはもっとウキウキしてもいいはずだ。でもアステルの表情は暗く冴えない。どうしたんだろう。スバルもどこか、冴えなかった。どこか仲間がバラバラになってしまった様な気がして寂しく、なぜか辛さを感じていた。仲間達とは上手くやっていた。でもなぜこんな空虚な気持ちなのだろう。
そんな暗い気持ちを何とか明るくしようとする男がいた。
フウマだ。優しく面倒見のいいフウマ何にも喋ることができなくなった、妹のフブキの面倒を見た。
フブキがキョトンしてフウマを見つめている。
「わははははっ拙者、フブキに、何も妹らしいことしてやれんかったからのう。
兄として仲間としてこの閉塞した空気を何とかしたいでござるよ」
その言葉を聞き、ツキハが
「俺もそう思う。俺も明るかった頃のフブキに戻ってほしいよ。俺も苦しいよ・・すごく・・でもしょうがないことなんだな」
薔薇の花を噛みながら、ツキハがため息をついた。
みんな苦しいのは、間違いないいんだ・・でも乗り越えなくてはならない。多分それがみんなに課せられた運命なのだから。
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