一進一退の攻防戦
2019年9月。
定期検査で癌の転移が見つかりました。
転移したのは頸椎のリンパ腺、そして肺。
肺への転移は小さく目立たないレベルだったので、
先にリンパ腺に転移した癌を放射線治療する事になりました。
二週間入院し放射線治療をした結果、CT検査でチェックできないサイズになり、
「根治したと判断できるレベル」
と担当医からの診断がありました。
放射線治療で首元にケロイド状の火傷痕が残りました。
妻は摘出手術の縫合痕に加えて、火傷痕が増えたことにショックを受けていました。
一方で癌細胞が無くなりホッとしました。
担当医は診断結果を続けて話しました。
「リンパ腺の癌細胞は放射線治療で根治できましたが、肺に小さな点が2~3つくらい見つかってます。
すぐに治療が必要なレベルではありませんが、もう少し目立つようになったら抑制剤投与をして様子をみましょう。」
という内容でした。
2021年10月。
放射線治療から二年後の定期検査で肺に転移した癌の拡大が顕著になってきたと診断されました。
翌月から定期入院による薬剤投与を開始。
この薬剤は二泊三日の入院で点滴投与されるのですが、投与時の痛みや投与後の倦怠感が強く、ガマン強い妻でも弱音を出すレベルでした。
癌の進行の抑制効果が期待できるということで、入院による投与を続けました。
四回目からは、通院で投与が可能となり、精神的な負担は軽減しましたが、帰宅後に痛みと倦怠感が出るために、身体的に辛いこと自体は変わりありませんでした。
それでも妻は
「自宅で過ごす方が楽。」
と言っていました。
薬剤投与開始から一年
肺に転移した癌細胞は数が増え、更にはサイズも大きくなり、抗癌剤治療可能なリミットに近づいたため、医師から抗癌剤治療をするか、決断を求められました。
妻が蝕まれた「腺様嚢胞癌」は稀な種類で症例が少なく特効薬はありません。
その為に一般的な抗癌剤を適用するしかなく、効果の保証がありませんでした。
それでも一定の効果が期待できるため、抗癌剤治療をする事を勧められました。
デメリットは激しい副作用です。
途中で治療も断念する人も多い事も説明されました。
結果、副作用が辛かったら途中で治療中止することも視野に入れて、我慢できる限界まで治療にチャレンジする事を決めました。
「できる事があるなら最後までやりきる。」
妻の強い意志でした。




