ひとめぼれが突き抜けて国境を越えた件
ひとめぼれで始まった国際結婚。
お互いの心は語られずも結びつき
未来が過去に繋がる不思議な物語。
人生のパートナーを尋ねられたら
あなたは誰を思い浮かべますか?
*闘病記のため後半に重い描写あり
*朝日新聞×文芸社
「第4回Reライフ文学賞 長編部門 最終選考作品」
*本作はアメブロにて公開していた作品の
セルフコピー(自己転載)です。
「ひとめぼれ」なんて、漫画かドラマの中だけの出来事だと思っていました。
そう、彼女と出逢うその時までは…
時を遡る事19年前…2006年の6月、ワタシの目の前に天使が舞い降りました。
天使との出逢いはワタシにとって運命以外のなにものでもありませんでした。
当時のワタシは所属会社の中国法人で駐在員として働いていました。
中国での住まいも決まり、自宅近くの日本食レストランで「常連」と認知された頃の事です。
ある日の食事後、人懐っこい店員さん(女性)に市内観光ガイドを頼んでみました。
店員さんの返事は「OK」で、週末に一緒に出掛けることになりました。
そして当日、待ち合わせ場所に向かっていると
「友だちも一緒で良いか?」
店員さんからメッセージが届きました。
デートでもないし、友だちが一緒の方が場も和むと思い「OK」と即答。
「OK」と即答した自分を自分で褒めてあげたいと思ったのは、店員さんが友だちを紹介した瞬間でした。
彼女を一目見た瞬間、
全身を電気が走り抜けました…
冗談ではなくてマジで。
その瞬間に「絶対にこの娘と結婚する」
と決意しました…これもマジで。
陳腐な表現ですが「天使の降臨」に見えました…
本気と書いて「マジ」で。
中国語だと「一見鐘情」、
日本語だと「ひとめぼれ」というやつです。
それほどに目の前に現れた女性は衝撃的でした…
美人…違う、可愛い…ちょっと違う。
清楚で可憐…この表現が一番しっくりしました。
この世に天使が存在するのであれば、ワタシの目の前に俯きがちに立っている女性の事を言うのでしょう。
白いワンピースを身にまとった小柄な彼女は、
儚げなのに輝いて見えました…
この時の衝撃は19年経った今でも色褪せていません。
童顔で小柄な彼女に年齢を聞くと、
「24歳」と答えました。
当時ワタシは35歳だったので、年齢は11歳差。
ワタシが20歳の時に、彼女は9歳…ランドセルを背負った小学生ですから、世が世なら犯罪です。
それほどの年の差があるのに、ひとめぼれしてしまったのです。
見た目は少女の様な彼女に手を出したらバチが当たりそうでしたが、溢れ出る(?)結婚願望(??)を滲ませながら(???)、猛アプローチを開始したのです。
彼女は日本のアニメが好きだった事で、日本語に聞き馴染みがありましたが、日本語での会話はできませんでした。
従って日常のコミュニケーションは基本的に中国語でした。
ワタシは駐在前に中国語を独学で勉強しており、片言の日常会話はできましたが、気持ちを伝えるには圧倒的に能力不足でした。
彼女にアプローチするために必死で勉強しました。今までの人生で、ここまで必死に勉強した事はありませんでした。
当時、翻訳アプリはおろか中国語の電子辞書もなかったので、会話集と日常単語辞典での勉強はとても大変でした…が、彼女との会話が楽しくて、全く苦に感じませんでした。
ある日の事です。
奇跡が起きました。
「耳から入る中国語の音」が
脳内で「自動的に漢字変換」されたのです。
それと同時に「中国語で理解し日本語を介せずに中国語で答える」事も出来る様になりました。
これは「愛の為せる業」と言っても過言ではないと思います。
とにもかくにも、週末には必ず彼女をデートに誘い、日本語では言えない歯の浮く様なセリフを中国語に直訳して、なりふり構わず口説き続けた事を覚えています。
それほどまでに彼女と結婚したかったのです。




