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分かれ道

パンドラの箱

作者: ぺんきっき
掲載日:2025/10/17

2008年に作った話

沈丁花の苗を植えようと彼女は庭の片隅を掘り起こした。


するとスコップが何かに「カツン!」と当たる。


さらに掘り起こしてみると・・・お茶の缶が出てきた。

ガムテープで密封してあり、蓋には

「希望が入ってます」と書いてある。

幼稚な字で書かれてありどうやら彼女の娘が昔書いて埋めたようだ。


彼女は彼女の娘の事に思いをはせる。

大事に大事に育てたはずなのに16歳の時にぐれてある日プイっと出て行ってしまった。

必死に捜索をしたが見つからず、10年たってしまった。


こんなかわいい事をしていた時期もあったのか・・・とため息をつく。


娘はこの缶にどんな希望を入れたのだろうか。

開けてみようと思ったときに、パンドラの箱の事が思い出された。

プロメテウスに開けてはいけないと言われた箱を妻のパンドラが宝物が入っていると思い込んでねだられ開けてしまったエピメテウス。

中からは人間にとってのありとあらゆる厄災が閉じ込められてあけた途端に飛び出してしまう。

ただ、賢いプロメテウスが人間のために最後に「希望」も閉じ込めてあり、人間はどんな事にあっても希望だけが残される・・・と言うような話だった。


厄災か・・・。

もう私にとっての厄災はすべて出尽くしてしまった。

夫も数年前に亡くなり、今は質素に毎日を暮らしている。

これ以上、よくもならず悪くもなることもないだろう。


缶を密封しているガムテープを剥がす。年数がたっているため綺麗にはがれず苦労する。

フタを恐る恐る開けてみる。


・・・何も入ってなかった。


こんなものよね・・・と彼女はため息をついた。


ふいに後から誰かに背中をポンと叩かれた。

びっくりして振り向くと


「お母さん、ただいま」


なんと娘が立っていた。派手な服装で派手なかばんを提げている。


びっくりして声も出ない彼女に娘が言う。


「あたし、帰ってきたんだ。すぐに出て行かないと駄目だけど。やだ!何?懐かしい~!私それに将来になりたっかった夢を大声で叫んでふたしたんだ。荷物置いてくるわ」

と娘は家に入ろうとした。


娘を見たとたん、うれしいと言うよりやはりこの缶の中には厄災が入っていたような気持ちに彼女は襲われた。

慎ましやかに暮らしている彼女にとってあの派手な娘はどう見ても彼女の生活を脅かす存在に思えてならなかった。


娘が家に入ろうと何歩か下がった時、娘の後ろから小さな女の子が出てきた。

派手な娘に比べ地味な格好で顔も汚れている。


「おばあちゃん、こんにちは」


小さな汚れた手を差し出した。


「その子、私の娘。【のぞみ】って言うの。私、仕事で遠くに行かないと駄目なんだ。何年か預かってくれないかな」

娘はそういい残しさっさと家の中に入っていった。


彼女は小さな手を取った。

あたたかい手だった。


この子がパンドラの箱から最後に出てきた【希望】なのかもしれない。

それとも厄災なのか・・・。

栄養状態も良くないように見受けれる。

・・・でも、娘の小さい頃に面差しが似ている


彼女は手を握ったまま言った。

「おばあちゃんと一緒に暮らしましょう。でも取り合えずその前に何か食べてお風呂に入ろうね」


女の子の目から涙がこぼれた。


やはり、この子は希望なのだ。


手を繋ぎ急に出来た孫と一緒に彼女は家の中に入って行った。

<当時のあとがき>

この後どうなるのかは想像しだい。

孫と一緒に幸せに暮らしました・・・なのか。

娘が数年後帰ってきて一波乱あるのか。

それとも娘が改心して皆で一緒に幸せに暮らしましたか・・・。

ただ、最後のはあまり期待できないような気もする。

最悪なのは孫がまたぐれるわけだが、これも作品としては嫌な感じなので・・・。

やはり【パンドラの箱】だから一番最初のパターンかな。


年老いた彼女の世話を大きくなった孫が見て、孫の結婚する幸せそうな姿を見て

彼女が涙を残すと言うエンディングが一番よさそうだ。


ただ、ここまで書いてしまうとショート・ショートにはならないのでやはり作品としては上記のままで・・・。


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