2節 アンチデモンズ ①
倉庫の奥で怯え、縮こまっていたミラ。彼女を宥め、チンピラを蹴散らしたことを伝え安心させると、手を引き連れて帰る。奥に人はおらず、どうやら暴行なども加えられていなかったようだ。周りのチンピラ共は兎も角として頭領、ガデッサといったか、は見どころがある。
明後日、行くことはもうほぼ確定したようなものだが、どのように演出したものか。そう考えながらミラを抱き上げているエイジは、辛うじて残っている氷塊を頼りに、ミラの自宅への帰途についていた。壊された扉、その横の壁を軽くノックし、ミラを下ろして中に入る。
「どうも、無事連れ帰ってきましたよ」
「み、ミラッ!」
「おばあちゃん…グスッ……うええええん!!」
先程までは気丈に振る舞っていた。しかし、家に着いて祖母を見て安心したのだろう。堪えていた不安と恐怖から、堰を切ったように泣きじゃくった。
それから、二人が落ち着くまで待つこと数分。
「ありがとうございます。なんと礼を言ったらいいか……」
「いえいえ、先も言った通り、私が持ち込んだ厄介ごとですから」
ミラの祖母が身を震わせながら頭を下げてきたが、それを制して身を翻す。
「では、私はここを去りましょう。もう見たいものは見れた」
「ええ⁉︎ もう行っちゃうの?」
「ああ。今度は上に用があるからな、近くの階段かエレベーターで上に行く」
「じゃあミラ、お見送りする!」
「……強い子だ」
早くも立ち直ったミラとアヤに道案内され、一番近くのエレベーターに搭乗する。エレベーターは錘式、巨大な石柱に二箇所中継地点があり、それを乗り継いで上へと上がっていく。この二人に限ったことではないだろうが、エレベーターに乗るどころか上に行くのも初めてだろう。目を爛々と輝かせていた。
逆にエイジは、エレベータの色々な粗に目が行ってしまい、高所恐怖症を発症していた。翼があり、体が丈夫だとしても、怖いものは怖いのだ。
と、震えながら二つ目のエレベータに乗ろうとするエイジの下に__
「ん、シルヴァか。そっちの様子はどう?」
一件の着信が入る。一足先に上に行っていたシルヴァからだ。
「今貴方はどちらに?」
「王都東部のメインエレベーターで上に上がろうとしてる」
「……気をつけて下さい。地下での大きな爆発に気づいた王国兵達の動きが活発になっています。特に東部。今私は南東部に居りますので、そちらへ急行致しますが、直ぐには参れません。申し訳ございません……」
「大丈夫だ、気にするな」
__……やっちまった。つい派手にサービスしたつもりが……また厄介ごとを招いたか__
しかし、シルヴァが此方に着くまでの時間を、ミラ達は稼がせてくれなかった。彼の腕をグイグイ引っ張り、直ぐ次のエレベータに乗ってしまった。




