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代表作 エッセイ

長い文章は読みにくく、面白くないのか?

 ネットで『小説の書き方』みたいなのを拾い読みすると、必ず次のように書かれています。


『一文はなるべく短くする』


 確かに文章を書く上での基本ですよね。



 たとえば、


 『私は小説の文章はなるべく短くしたほうがよいと聞いたので、小説家になろうに初めて小説作品を投稿したのだが、その際にそのことに気をつけて、それに忠実に小説を書いたのだが、それがよかったのか、多くの人に読まれ、ポイントを50もつけてもらい、とっても嬉しかった』


 よりも


 『【小説の文章はなるべく短くしたほうがよい】と聞いていた。先日、私は【小説家になろう】に初めて作品を投稿したのだが、その知識はとても役立った。【読みやすい】という感想をもらい、多くの人に読まれ、50ポイントもいただいた。大変嬉しいことである。やはり【文章は短く】というのは本当なようだ』


 のほうが、一段落は少し長くなるけど、後者のほうが読みやすく、言いたいこともポイントが絞られて、いいように思います。



 あるいは



『公園に行くと首輪のついてる犬がいたので一緒に遊んでいるうちに日が暮れ始めてお母さんがぼくを呼ぶ声が遠くから聞こえたので犬にバイバイして走って行くと【今日はカレーよ】と言われてぼくはカレーが大好物なのでとっても喜んだ』


 よりも


 『公園に行くと犬がいた。とっても人懐っこくてかわいい白い犬だった。近くに落ちてたロープをぼくが拾うと、片方を犬がくわえたので、綱引きをして遊んだ。


 【あっはっはっは】


 【ワン! ワン! ワン!】


  犬のあかるい声が響く空が、あっという間に夕焼け色になった。


 お母さんがぼくの名前を呼んでるのが、遠くから聞こえてきた。


 【あっ、お母さんだ! ぼく、帰らなきゃ】


  犬は後をついて来たけど、首輪がついてるのでどこかの飼い犬だ。ぼくが犬にバイバイすると、お母さんは嬉しいことを言った。


 【今日はカレーよ】


  やった! ぼくはカレーが大好物なんだ』


 のほうが、文章はかなり長くなるけど、一文は短くなって、しかも具体的になるから面白いと私は思うんですけど、どうでしょうか?




 ただ、長い文章は、ほんとうに、読みにくくて、面白くないのか? というと、これはまた別の話のような気がします。




『火垂るの墓』の原作者で有名な野坂昭如さんの小説は、一文がとても長いことで有名です。


 手元にないので確かではありませんが、文庫本のページでいうと5行ぐらい、延々と句点がひとつもないなんてこと当たり前だったように記憶しています。


 そしてそれが読みにくいどころか、むしろそのために情景が頭によく浮かび、独特の情緒みたいなものを醸し出す効果を産んでいました。


 もちろんそれはプロの技です。基本が出来ているからに他なりません。

 素人が真似してもただの読みにくい文章になってしまうことでしょう。


 ただ、長い文章でも読みやすく面白くすることは可能だということです。



 また、



 一文が短ければ読みやすくて面白いのかというと、これも私は疑問です。

 文章はあまり情報が多すぎると苦痛になります。

 たとえば次のような例はどうでしょうか。



 『白い家だった。屋根は赤い。ポップな感じの赤だ。つまりは明るい赤だ。玄関のドアは木目調。ドアノブはレバー式になっていた。私はそれを握る。冷たかった。ひねるとドアが開いた。鍵はかかっていなかったのだ。中も明るい感じ。壁は清楚な感じの白。女の子が2人いた。私を待っていたようだ。一人はピンク色の髪に青い瞳。髪型はロングストレート。背は低い。かわいい感じだ。妹かな。オドオドしてる。もう一人は緑色の髪に赤い瞳。髪は肩までのふんわり外ハネ。キャリアウーマンっぽい。姉かな。しっかりしたイメージだ。二人は私に微笑んだ。声を揃えた。【いらっしゃい】と言った』


 よりも


 『明るくポップな感じの赤い屋根の、白い家だった。木目調のドアについたレバー式の冷たいドアノブをひねると、鍵はかかっていかなかった。ドアを開くと、清楚な感じの白い壁の内装が目の前に広がり、2人の女の子の姿が現れた。私を待っていたらしい。ピンク色のロングストレートの娘は背が低く、かわいい妹タイプに見えた。青い瞳がオドオドと軽く警戒を浮かべている。もう一人の娘のほうがしっかりしていそうに見えるので、二人は姉妹で、彼女が姉なのだろうか。こちらは緑色のふんわり外ハネの、仕事が出来そうなタイプに見える。赤い瞳がキツそうなイメージだ。二人は私を迎えるように微笑むと、声を揃えて【いらっしゃい】と言った』


 のほうが、一文は多少長いけど、読みやすくてイメージもしやすいと私は思うんですけど、どうでしょうか?


 あんまり一文を短くしすぎて情報の小出しみたいになっちゃうと、かえって読みにくいと思うんですよね。


 まぁ、上の文章はどちらも情報量が多すぎたかなと思いますけど……。




 要は一文が長くてもわかりやすければいいし、

 一文が短くても情報量が多すぎたら読者さんにかえって負担を強いてしまうように思うんですよね。



 市販されている文章でも、なろうでも、たまにめちゃめちゃ長くて面白い文章に出会うこと、あります。

 真似して『人生は一文あれば表現できる』という作品をさっき書いてみたんですが、難しい……。




 とりあえず、『こういうのはダメ』みたいに言われていることがあると、私は積極的にそれをしてみたくなります。


 そのほうが面白くないですか?(^o^;


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― 新着の感想 ―
[一言] 何が言いたいかわからない文がだらだら続くと面白くないから一理ある。それが味の人もいるから一概には言えないがそんなこと言いだすとキリ無いし、傾向としては短くまとめるで良い。
[一言] 確か描写する対象が変わったら句点付けて区切ろうくらいの話だった気がする? なので一番最初の例は確かにアウトで、次のはナイスだと思う。 Webではその上で句点打ったら改行しよう見たいなのはある…
[一言] 短い文章がいいというよりも、長い文章が良くないのだと思います。 最近、橘玲という方の『バカと無知』という本を読んだのですが、ツイッター程度の長さである140字の文章を理解できる人は成年日本人…
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