風の待ちびと
ビルの谷間に
入り込んだ風が
心地良く頬を
かすめていく
遠くに見える夕陽
飛び交う影は
茜色の蜻蛉
気づけばかすかに
秋めく風の色
何かを迎えるために
何かが通り過ぎていく
風を、待ちながら
季節は風に吹かれて
出逢いとサヨナラを
繰り返しながら
始まりがあれば
終わりがある
でも何かが終わるから
新しい何かが始まる
めいっぱい
手を振り見送り
めいっぱい
笑顔で迎えよう
晴れ渡る朝とともに
心は風に吹かれて
強さに憧れるほど
気づくのは自分の弱さ
できることと
できないことを数えるよりも
昨日より少しでも
今日を輝かせられたら
越えゆく今年の夏
強くなれたかは
分からないけれど
弱さを受け止めて
それでも前を向くことも
また強さだと知った
陽射しの強い午後
時は風に吹かれて
命の輝きが今日も
また一つ時を刻んでいく
今日も明日には昨日になる
でも大切な瞬間は
いつも胸の中にあるから
はじめから命に宿るものを
宿命というのなら
命を運んでいくものを
運命というのなら
命をこれからどう使うかは
自分が選ぶ使命
そう信じて見上げた
黄金色の夕焼け雲
風を待ちわびた夏が
通り過ぎていく
季節も、心も、時も
新しい風を待っている
その季節に吹く風を
その心に吹く風を
その時に吹く風を
この胸に抱きしめて
まだ見ぬ新しい
季節を、心を、時を
今度は迎えに行こう
そしてそこにいる
新しい、自分も