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無敵探偵活劇 アケチ大戦争  作者: anurito
玉村一族編
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暗黒星の思惑

 その日も、暗黒星のアジトであるプラネタリウム会場では、秘密の集会が行われていた。しかし、今回は、メンバーが勢揃いしていたにも関わらず、いささか殺伐とした雰囲気なのであった。

「ニジュウ面相!一体、どうするつもりなのかね?黒トカゲのスパイ活動がバレてしまった事で、またしても、玉村家との接触ルートが切れてしまった。運命の11月20日は、もう間近なのだよ。このままでは、この日の大イベントまで失敗しかねないではないか!」魔術師が、荒々しく、怒鳴った。

「落ち着いて下さい、魔術師くん。確かに、これほど早く、黒トカゲくんの暗躍が見つかってしまったのは、想定外ではありました。しかし、それならそれで、すぐに次の手を打てば良いだけの話です」ニジュウ面相が、冷静な態度で、答えた。

「さて、その言葉を信じていいのやら。何をやったって、片っぱしから、阻止されてしまうんじゃないのかね?それと言うのも、あのアケチと言う探偵がクセモノなのだ。いつだって、あとちょっとのいい段階で、あの探偵に妨害されてしまう」魔術師が、悔しげに毒づいた。

「全く、その通りだ。アケチの奴め。いつも、我々の邪魔をしやがるのだ。オレだって、作ったばかりのナイフ銃を没収されてしまった。あいつだけは、絶対に許さんぞ」と、クモ男も怒鳴った。

「それを言うんだったら、ボクだって、右手を失ってしまったのよ。今の姿では、とても表は歩けないよ。ねえ、ニジュウ面相、何とかしてよ」

 そう訴えたのは、女賊の黒トカゲだ。

 確かに、今の彼女は、洋服の右手の部分が、ペッチャンコの状態で、ブラブラしているのだった。本当に、片腕が無いらしいのだ。と言う事は、ナカムラのもとに置き去りになった右手は、本物の彼女の片腕だったのだろうか。

「あの腕はね、ボクを愛してくれた、ある人からの大切なプレゼントなのよ。絶対に手放す訳には行かないわ」

「そのようですね、黒トカゲくん。あなたがそのような格好のままで、行動に参加できないようでしたら、我々の今後の活動にも支障をきたします。検討いたしましょう」ニジュウ面相が告げた。

「へへ。一寸法師なんかを相方に選んだから、こんな事になっちまったんだよ。オレ様を用心棒に使っておけば、そんなブザマな結果にはならなかったのに」人間ヒョウが下品に笑った。

「ざけんじゃねえよ!あんたみたいなケダモノを、誰が、そばに置いとけるか!」黒トカゲの方も、豹変したような凄みをきかせて、言い返したのだった。

 人間ヒョウは、過去の犯罪歴のこともあって、仲間の女性陣からも嫌がられていたらしいのだ。

 本気で叱られた人間ヒョウは、苦笑いを浮かべながら、首をすくめたのだった。そんな彼の横に、相棒の豹が、慰めるように寄り添って、体を擦りつけた。

「ちょっと待った!お前ら、まるで、おいらが無能だったような言い方をしてねえか?おいらだって、もっと伸び伸びと仕事をやらせてもらえたら、腕の1本や2本、すぐに取り返してやったんだぜ」そう怒鳴って、唐突に、会話に混じってきたのは一寸法師だった。「だけど、今回の仕事は、ずっと『人は殺すな』と言われてきた。手加減しながら、仕事をこなすのって、けっこう大変なのさ」

 ここで、一寸法師は、ニジュウ面相の方にと目を向けた。

「なあ、ニジュウ面相さんよ。そろそろ、おいらにも人殺しの仕事をやらせてくれよ。誰かを殺したくって、ウズウズしているんだ」一寸法師は、嬉々としながら、そう主張するのだった。

「そうですね。考えておきましょう」ニジュウ面相が、静かに答えた。

「ふん。人を殺したいだけの奴では、話にならんな。黒トカゲよ。お前は、やはり、オレと組むべきだった。オレとだったら、きっと、ウマも合いそうだったしな」そう述べて、話に割り込んできたのは、クモ男だ。

「クモ男。それって、どう言う意味よ?」と、黒トカゲ。

「ふふふ。隠さんでもよい。噂では聞いとるよ。君も、犠牲者の体に色々と手を加えて、死の芸術を楽しんでおったのだろう?」

「あら。何の事かしら?」

「聞いた話によると、君のアジトには、人間の剥製が飾っておるそうじゃないか。可愛い顔をしていながら、とんでもない猟奇ぶりだ。オレの趣味にだって匹敵するかもしれない。ただの女泥棒だとばかり思っていたのに、全く、恐れ入ったよ。ぜひ、オレにも、今度、君のそのコレクションを拝ませてもらいたいものだね」クモ男は、ニヤニヤ笑いながら、黒トカゲへと言い寄ったのだった。

「バーカ!あんたとは違うわよ。そんな気持ち悪いもの、ボクのアジトには無いわ。置いているはずないじゃない。もう!失礼しちゃうわ!」黒トカゲは、顔をしかめて、クモ男を突き放したのであった。

 その直後。

「おぬしら!くだらない会話は、そろそろ謹んでもらえないかね!」魔術師が、いきなり、声を張り上げて、そう怒鳴った。

 その効果はてき面で、他のメンバーは、一瞬で静かになったのだった。

「我々は、今、玉村家にいかなる攻撃を仕掛けるかの相談をしているのだ。そうだろう、ニジュウ面相?」

「その通りです。魔術師くん」ニジュウ面相は、相変わらず、冷静に応じた。

「だったら、もっと真剣に知恵を出し合ってくれないかね?」

 魔術師はそう苦言を呈したものの、そもそもが、ここに集まっているメンバーは、一人一人が超大物の犯罪者ばかりなのである。個性が強く、それぞれが我が道を行く彼らが、そう簡単に、一つにまとまるはずもないのだ。そんな彼らが、こうして一堂に会して、己の能力を提供し合っている事自体が、すでに十分に奇跡だったのである。

「問題なのは、アケチ探偵だけだ。あいつさえ何とかしてしまえば、他に苦労はしないのだ」魔術師は、憤怒しながら、呟いた。

「だからこそ、私たちが力を貸そうと言っているのです」と、ニジュウ面相。

「いいや。おぬしらの事は、もはや、信用できん。これからは、私の忠実なる配下である『魔術団』も、作戦にと導入させていただく。アケチの奴は、私自らの手で始末する。よいな?ダメだとは言わせぬぞ」

「そこまで言うのでしたら、あなたの意思も尊重しましょう」ニジュウ面相は、冷ややかに笑ったのだった。


 大トーキョー・シティの片隅のT埋立地の敷地内に、女賊・黒トカゲの秘密のアジトはあった。

 その根城アジトは、外見は廃工場のように装っていたが、一たび、その中へと足を踏み入れると、その内装は、まるで億万長者の豪邸のように、華やかに飾り立てられていたのだ。

 そうした煌びやかなアジトの内部の中でも、黒トカゲの休息場所である一番奥の寝室は、特に美しいインテリアが施されていた。その部屋には、黒トカゲ本来のどす黒い犯罪のイメージは、つゆほども見出せなかったのである。

 だが、それこそが、とんだ恐るべき偽りでもあったのだ。

 この寝室に戻ってきた時、黒トカゲは、まずは、部屋の奥にある大きなカーテンをサーッと開いて、その向こう側にあるものをウットリと眺めるのを習慣にしていた。それは、このアジトの他の同居者は、誰も覗く事が許されていない、黒トカゲだけの大いなる秘密なのでもあった。

 そのカーテンの奥は、ちょっとした大きさの物置になっていたのだ。

 そして、その物置には、人間の女性の、肩から先の腕だけが、いずれも本当の人間のものが、右手もあれば左手もあって、それが10本以上も、ずらりと並べて、さながら陳列するように、保管されていたのであった。

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