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無敵探偵活劇 アケチ大戦争  作者: anurito
玉村一族編
31/169

見つかった隠し部屋

 一方、玉村邸の時計塔は、コゴローが、二度に渡って、派手にぶち壊したものだから、すっかり崩れてしまい、もはや完全に損壊しきっていた。自慢の大時計の文字盤は、長針や丸窓がひしゃげて、動かなくなってしまったし、その近くの壁にも大きな穴が貫通して、見るも無残な外観と化してしまったのである。

 だが、それだけではなかった。

 壁が外まで叩き破られて、機械室の壁の中の空間が明け透けになったものだから、これまでは人目に触れなかった隠し部屋も、全て露出して、むき出しとなってしまったのだ。

 アケチの推理は、何もかも当たっていた。

 時計塔の機械室の壁の奥には、確かに、幅が50センチほどの狭い隠し部屋が設けられていたのである。それも、壁の一面が丸ごと隠し部屋への扉になっていたのだった。壁と扉の境目が無い訳だから、これじゃ、隠し扉の存在も、普通に観察しただけでは、まず見つけられるはずもないのだ。

 なおかつ、この扉を押し開くには、そばにあった歯車に偽装したスイッチをひねって、扉の留め金を外す必要もあった。ここまでくると、さすがに、この仕掛けを知らない人では、この隠し部屋を探し出すのは、絶対に、不可能なのである。

 恐らくは、この時計塔の前の持ち主である丸伝時計店の主人が、ちょっとユーモアの分かる人物で、自分の時計塔にと、遊び半分に、こんなカラクリを施しておいたのであろう。それを、今の持ち主である善太郎が、そのまんま、自分の邸宅へと持ち込んだのだ。

 さらに、のちに、警察の鑑識が、この隠し部屋を丁寧に調べたところ、そこからは、食べかけの食料や汚れた毛布など、人が住み着いていたらしい残留物も、色々と発見されたのだった。

 これで、ほぼ、推測は間違いないものとなった。

 時計塔の頂上に現われた賊どもは、どいつも、明らかに、この隠し部屋の中にと潜んで、出番を待ったり、あるいは、逃げ隠れたのである。だから、これらの不審者を急いで追い詰めてみても、いつだって、捕まえる事はできなかったのだ。

 コゴローと青銅の魔人の時計塔での乱闘は、実に危険で、傍迷惑な出来事ではあったかもしれないが、でも、そのおかげで、隠し部屋の存在の方も、思う存分に探し当てる事ができたのだった。

 こうして、塔上の奇術師たちを巡る謎の一つは、ようやく、はっきりと解けた事になる。だが、賊が、屋敷の外から、一体どうやって、この隠し部屋のある場所にまで忍び込んでみせたかの謎は、まだ残っているのだ。

 破損した時計塔に関して言えば、今度こそ、完全に出入り禁止になってしまったのであった。そもそも、大時計のある階がボロボロで、いつ崩れ落ちるかも分からないような状態なのだ。危ないから、安易に人を入館させられないのであり、そんな事は見ただけでも明白なので、時計塔の入り口には、わざわざ、厳重なバリケードが張られる事もなかったし、常駐の見張りだって置かれはしなかったのだった。


 青銅の魔人と大いに決闘したあと、アケチ探偵は、ざっと30時間は眠り続けていた。つまり、翌日の夕方ごろまで、気持ちよく、ぐっすりと寝込んでいたのである。

 アケチは、野外で眠りこけて、バッタリ倒れてしまってから、その体を、玉村邸内の自分の部屋へと運んでもらっていた。彼が目覚めたのは、自分のベッドの上でであった。すぐそばでは、助手のコバヤシ青年が、ずっと見守ってくれていたのだ。

「おや、ここは?さては、僕は、また眠っちゃったのかな」

 目を開けたばかりのアケチの第一声が、これだった。うろたえた様子もなく、実に呑気なのである。あの粗暴なコゴローではなく、いつものアケチに戻っていた事が、その物腰からも、すぐに分かった。

「先生、お疲れ様です。今回は、一日以上、寝てたんですよ。さすがに、青銅の魔人を相手にした大立ち回りは、そうとう体力を消耗したのではありませんか」アケチの目覚めを見届けると、コバヤシも、優しく、アケチへと話しかけたのだった。

 どうやら、コゴローが、このように唐突に眠ってしまうのは、今回が初めてではないようなのだ。恐らくは、コゴローに変身すると、普段はヒ弱なインテリ青年のアケチでは、かなり疲労してしまうらしくて、コゴローで活躍した後は、きっと、睡眠での十分な体力回復とか栄養補充などが必要なのである。

「そうか。じゃあ、一日の間に、状況もだいぶ変わったのだろうね。コバヤシくん、悪いけど、あのあと、何が起きたのかを教えてくれないかい」と、アケチ。

 すると、コバヤシは、アケチへと、詳しく、その後の出来事を報告したのだった。塀の上で爆発した青銅の魔人は、ただのオトリの人形で、本物のニジュウ面相には、どうやら逃げられてしまったらしい事、あるいは、崩壊した時計塔の跡からは隠し部屋が見つかった事、などをだ。

 それらの結果は、恐らく、アケチにとっては、想定していた話ばかりだったらしく、彼は、特に驚く様子もなく、ニコニコと傾聴していたのだった。

「そう言えば、ニジュウ面相のやつは、今回、どこかにカウントダウンは残していたのかい?」ふと思いついて、アケチは、コバヤシに尋ねた。

「いえ。いつものカウントダウンは、屋敷内のどこからも見つからなかったようです」と、コバヤシ。

「やれやれ。僕は、玉村家とは無関係の人間だから、カウントしてもらえないのかい。この屋敷の中で、あんなに危うい目にあったと言うのにさ」アケチは、苦笑したのだった。

「ところで、先生。次は、どうしますか」

「そうだね。まずは、食事だな。一日食べないと、すっかり、腹が減っちゃったからね。そのあと、玉村家の主だった人間を、また、食堂の方へと集める事にしよう。いよいよ、全てのトリックを暴いてやる事にするよ」

 そう言うと、アケチは、ベッドの横に用意されていた食事にと、元気に、かじりついたのだった。

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