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反少年主義 第三幕  作者: 椎家 友妻
其の一 カバトン改造計画
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6 カバトンは挟まっていた

 「おいおいマジかよカバトン⁉」

 オレは思わずそう叫んだ。

・・・・・・え~と、改めて状況を説明しよう。

 カバトンが、挟まっている。

 確かに、そこはかなり狭い路地や。

ガタイのごっつい大人では、到底入る事はでけへんやろう。

しかしカバトンの場合はガタイがどうこうより、

そのデップリ(ふく)らんだドテッ腹が完全に塀と塀の間につっかえていた。

それはもう見事なまでにギッチリつっかえていて、どう見ても自力で外に出るのは無理そうやった。

 そんなカバトンに、オレはとりあえずこう叫んだ。

 「お前はサンドウィッチの具か!」

 それに対するカバトンの答えはこうやった。

 「ナンドウィッチは大好きだよう・・・・・・」

 こいつ、この状況に置かれても食べる事が一番なんやな。

ある意味たくましいな。

そやけどこのままほっとく訳にもいかへんので、

とりあえず何でこんな事になったのか聞いてみる事にした。

 「お前、何でそんな所に挟まっとんねん?誰か悪い奴にそこに詰め込まれたんか?」

 するとカバトンは苦しそうな声で答える。

 「ニ、ニがうよ。ニつは今日の朝、ナっこうに行く途中にここを通りかかった時、

ニゅうに強い風が吹いて、ノくの帽子がこの路地の奥に飛ばされちゃったんだ。

ノれで帽子を取ろうと路地に入ったら、ノの通りお腹がつっかえちゃって・・・・・・」

 「それで今に至ると・・・・・・」

 「ヌン・・・・・・」

 「それにしてもお前、よくその状態で今まで耐えたな。誰にも助けを求めんかったんか?」

 「ナいしょは助けを求めたんだけど、

ナれもここを通らなくて、ノれで段々眠くなってきて・・・・・・」

 「今までその状態で寝とったんかい⁉」

 「ヌん・・・・・・」

 「そこに挟まってしまうだけでも凄いのに、そのまま寝てしまうとは。

カバトン、お前凄いやっちゃな」

 「ネヘ~、ノれほどでも~」

 「決して()めてる訳ではないけどな。で、どうする?このままずっとそこに挟まっとくか?」

 「ノれは嫌だよ!ナやくここから出たいよ!ノなかすいたよ!ノうちに帰りたいよ!」

 「分かった分かった、そんなに泣き叫ばんでも助けたるがな。ホラ、手ぇ出せや」

 オレがそう言って右手を差し出すと、カバトンもオレよりふたまわりくらい太い右手を差し出した。

オレはその手を掴み、気合いを入れて引っ張った。



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