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反少年主義 第三幕  作者: 椎家 友妻
其の一 カバトン改造計画
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1 夏休みの報告会

 「ヨシオーッ!来たでー!」

 オレが台所で朝飯を食べていると、玄関の方からマサノブの声が聞こえてきた。

 「ほら、マサノブ君来てくれたで。ちゃっちゃと食べてちゃっちゃと学校行きや」

 お母ちゃんが急かすようにオレに言う。

しかしオレは優雅にみそ汁をすすりながらこう返す。

 「ズズゥーッ。そんなに慌てんでも、どうせマサノブやねんから待たしとったらええねん」

 「ええ訳ないやろ!いつも迎えに来てくれるし、しかも今日は新学期の初日やねんからさっさと行き!」

 「うるさいなぁ。そんなに怒鳴らんでも今から行くがな」

 朝飯を食い終えたオレはそう言って立ち上がり、隣の椅子に置いといたランドセルを背負い、

 「そいじゃあ行って来るわ」

 と言って台所を出た。

そして靴を履いて玄関を出ると、門の所にマサノブが立っていた。

 イソモトマサノブ。

隣の家に住むオレと同い年の幼なじみ。

オレよりも少ぉ~しだけ背が高くて男前で女子にモテる、何とも生意気な男や。

家が隣同士やなかったらツレになってないでマッタク。

 そんなマサノブと一緒に、オレは庵地(あんち)小学校へ向かって歩き出した。

 「なあヨシオ、神戸はどうやった?カスミちゃんと何か進展あったか?」

 歩きながらマサノブが、興味津々(きょうみしんしん)な顔でオレに聞いてくる。

それに対してオレは素っ気なくこう返した。

 「まあ、色々大変な事もあったけど楽しかったわ。

ただ、お前が期待するような進展は何もなかったけどな」

 「え~?もったいないなぁ。チュウのひとつもせんかったんかいな」

 「する訳ないやろ!相手は九歳やぞ⁉」

 「恋に歳の差は関係ないよヨシオ君」

 「そういう事やなくてやな!オレは年上の女性が好きやねん!カスミは恋愛対象には入らへん!」

 「うわぁ、それをカスミちゃんが聞いたら悲しむやろうなぁ」

 「何でやねん!カスミかって別にオレの事をそういう風には思うてないわい!」

 「そうかなぁ?」

 「そうやっちゅうに!それよりお前の方はどうやねん⁉」

 「どうって何が?」

 「こないだ()うた時に言うてたやろ!女子高生の彼女ができたって!」

 「ああ、アミちゃんの事かいな」

 「そうや!お前、その人とはどないなってるんや⁉おぉ⁉」

 「そりゃあもうラブラブやで?聞かせたろうか?おれとアミちゃんのラブ(バナ)

 「う・・・・・・やっぱりええわ。聞くと(かえ)ってストレスが溜まりそうやから」

 「いや~しかし、女の子と付き合うっちゅうのは楽しい事もある半面、

結構気を(つか)う事も多いんやで?ホラ、女の子ってデリケートな生き物やろ?」

 「デリケートかどうかは知らんけど、訳が分からんというのは分かる」

 「だから何やかんや言うても、こうしてお前と一緒に()る時が一番楽しいわ」

 マサノブはそう言うと、やにわにオレの肩に手をまわしてくっついてきた。

 「何やねんいきなり⁉気持ち悪いやっちゃなぁ!」 

 「愛してるで、ヨシオ」

 「やめんかい!」

 とか言いながら歩いているうちに、オレ達は庵地小学校にたどり着いた。



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