各話の内容・要点まとめ
※各話最後のまとめを改めてここに抜粋しました。
■表現の自由とは
一、『表現の自由』とは、『"内面の精神作用を外部に出す"自由』の事。問題のあ
る発言や間違った発言をするのも自由であるし、逆にそれらに反論するのも自
由である。
二、元々『表現の自由』は情報を発信する送り手側の権利だった。しかし現在では
情報を発信する送り手側、情報を求める受け手側両方の権利と理解されてい
る。
三、表現の自由の価値は、現在では主に『自己を高める役に立つ(自己実現)』と
『民主主義の大前提(自己統治)』の二つに重点が置かれている。
■優越的地位
一、『表現の自由』は、憲法で認められている全ての人権の中で最も手厚く保護さ
れるべき権利として『優越的地位』を与えられている。
二、人権は『公共の福祉』と言う概念によってある程度の制限がかけられる。
その基準は大きく分けて二つである。
三、その内の一つ『比較衡量論』は、対立する二つの権利
を比べあってより利益の大きい方を優先すると言う考え方である。
四、もう一つ『二重の基準論』は、二つの基準を用いる考え方である。経済的自由
へは緩い基準で規制してもよいが、表現の自由(精神的自由)への規制は厳し
い基準をクリアしなければならない。
■犯罪煽動表現
一、表現の自由と言えども、無制限に認められている訳ではない。
二、犯罪煽動表現も表現の自由として認められている。しかし、『明白かつ現在の
危険の基準』を用いて制限を加える事が許されている。
三、『明白かつ現在の危険の基準』とは、『近い将来に重大な事件(問題)を起こ
す可能性が高く、時間的にも余裕がなく、規制以外では止められそうにない』
ような場合に表現規制が許される、と言う考え方。
四、犯罪煽動表現が規制された事例として、『シェンク対アメリカ合衆国事件』
『食糧緊急措置令違反事件』『渋谷暴動事件』などがある。
■性表現
一、性表現も表現の自由として認められている。しかし『わいせつ三要件』と呼ば
れる基準を用いて制限を加える事が許されている。
二、実は、日本において成人向けコンテンツは『厳密には違法』である。ただし、
『実質的に合法』と言うグレーな状態でもある。これに対して『現状の規制を
続ける必然性・妥当性は薄れつつある』などの指摘がなされている。
三、性表現が有罪判決を受けた例には、『チャタレイ事件』『悪徳の栄え事件』
『四畳半襖の下張事件』などがある。
■名誉毀損表現
一、名誉毀損表現も表現の自由で認められている。しかし、一定の基準を用いて規
制を設ける事が許されている。刑法第231条の『名誉毀損罪』である。
二、『名誉毀損罪』に問われる条件は、
1・発言などが公然の場で行われている(たくさんの人に伝わる状況)
2・何らかの事実を指摘している(『個人的な意見』ではない、具体的な内容
の指摘)
3・その人物の社会的な評価を下げる可能性がある
4・同定可能性が認められる(誰の事を指しているのかはっきり分かる)
……である。
三、一方で『違法性の阻却事由』を満たしている場合、上記"二"の条件を満たして
いても名誉毀損には当たらなくなる。
具体的な条件は、
1・公共の利害が関係している(みんなのためになる)
2・公益性が存在している。公益のための発言である("みんなの役に立つ"と
言う目的で行っている)
3・その発言が真実である、または真実相当性が認められる(本当の事、もし
くは本当の事だと思うだけの理由がある)
……である
■萎縮効果
一、表現の自由が侵害されている状態とは、『発言を行った者が強制的に何らかの
代償を支払わされる』事などが考えられる(今回はそのように定義づける)。
例えば暴力などで強制的に言論を封じられる事である。法律による規制もこの
一形態と言える。
二、あるものを直接規制しなくとも、『危ない、リスクがある』と相手に思わせる
だけで規制と同じ効果をもたらす事ができる。これを"萎縮効果"と呼ぶ。
三、表現の自由は、萎縮効果を非常に受けやすい権利である。そのため、十分に留
意する必要がある。
■イデオロギー的漂流
一、表現の自由の侵害を行いたい存在とは、『あらゆる人物』が該当し得る。"国
家のみが表現の自由の侵害を行う"と言う考え方はステレオタイプ的なものの
見方である。
残念ながら反差別、弱者救済、平等などを訴える人々の一部に、弱者の権利保
護の名目で表現規制を行おうとする人物も存在している。
二、人は、当該表現が自身のイデオロギーに合致する場合は表現の自由を支持し、
合致しない場合は表現の自由を支持しない傾向が見られる。これを『イデオロ
ギー的漂流』と言う。
■ヘイトスピーチ
一、ヘイトスピーチ解消法は、正式名称を『本邦外出身者に対する不当な差別的言
動の解消に向けた取組の推進に関する法律』と言う。
これは理念法であり、実際の罰則は存在しない。
二、この法律は、
『対象が本邦外出身者のみ。日本人は対象外』
『ヘイトスピーチの定義が曖昧。また"ヘイトスピーチでも政治的発言なら問題
ない"と言う意見があるが、その根拠が不明』
『"表現の自由"の侵害や、"法の下の平等"に違反』
……など、複数の問題点が指摘されている。
三、ヘイトスピーチ解消法の理念は立派であるが、現状では憲法に違反し、新たな
差別を生み出す可能性がある。
賛成・反対を問わず広く意見を求め、議論を通じて適切な解消法を模索する必
要がある。




