説得と新しい仕事
浅井家 客間
「お父さん、お母さん、このお兄さんと知り合いなの?」
「あれ?僕はてっきり涼介君のことを知ってるんだと思ったんだけど」
「いや、俺とこの子は初対面ですよ」
「へえ、君が仕事以外で誰かを助けようとするなんて意外だね?」
「いやいや、俺だって人並みにそういう事はしますからね?それになんだか普通じゃない感じがしたんで」
「その辺はさすが涼介君といったところかな」
琴音を置いて2人で盛り上がっている様子を見て、琴音の母が間に入った。
「涼介君、皇大さん、ちゃんと二人の関係から説明しないと、琴音が困ってるわよ?」
「おっと、そうだね。じゃあ今まで教えてこなかったけど、僕の仕事から説明しようか」
「そこから説明して大丈夫?社長」
「まあいつかは知られることだしね」
「まあそれもそうか」
「琴音」
「なに?」
「僕の会社はね?広い定義で言い表すなら警備会社、狭く言うなら要人専門のシークレットサービスをやっているんだ」
「シークレットサービス?」
「身辺警護だね。それでね、涼介君はうちの会社でもトップの実力を持ってるんだよ。だから家にいるSSじゃあこの子を止められないからね」
「お兄さんって実はすごい人だったんですね?」
「いやいや、普通だよ?」
「あなたが普通だなんて言ってしまったら他の社員は普通未満になってしまうわよ?」
「そうですかね?」
「そうだよ。涼介君のおかげでうちの会社はもっていると言っても過言ではないからね」
「それは言い過ぎ……いや、2人の性格を考えたらそうかもしれないですね」
「ははっ、言うねぇ。まあそう言われても仕方ないかもしれないがね。ところで、なぜ涼介君がうちの琴音を助けるような話になったのかな?」
「それは琴音さん自身からとりあえずは聞いてもらったらいいんじゃないですかね?」
そうして、琴音が両親に説明すると両親は案の定怒りを顕にして学校に乗りこみかねない雰囲気を出し始めたので、仕方なく涼介が仲介に入った。
「おっと、やっぱり俺が説明したほうが良かったんですかね?学校内の問題に親が武力で介入するのはさすがにどうかと思いますよ?皇大さん?」
「まあ普通の学校なら若気の至りというのも理解はできるから教師と会話する程度で済ませるんだけどねぇ」
「普通じゃない学校なんてある……もしかしてあそこに通ってるんですか!?」
「さすがに涼介君でも知ってるかー」
「そりゃあ私立帝神学園といえば日本どころか各国の要人や富豪の子息が通うことで有名ですが俺らに入ってくる情報で言えば生徒同士の喧嘩に特殊部隊員が介入してくるとかそういうきな臭い話ばっかですから」
「まあ、正直な話それは事実なんだけどね?でも遂にうちの琴音にまで手を出したってことは日本は我がCSSに宣戦布告をしてきたようなものだからね」
「向こうが琴音さんの正体を知らなかったとかでは?」
「相手が外人ならその線もありうるけどねぇ。なにせやってきたのが日本人ならそれは通用しない」
「じゃあ、皇大さんはフル派遣するつもりですか?」
涼介は、CSSの構成員の総出動を行うものだと思い聞いたが、社長である皇大の答えは予想外なものだった。
「いや…………ここは涼介君、君に琴音の護衛をお願いしたい」
「…………はい?」
「もちろん給与、報酬は弾むよ」
「本気で言ってます?」
「もちろんだよ!……琴音はどうかな?」
「是非お願いしたいです!」
「だそうだ。……どうかな?涼介君」
「そこまで言われちゃNOとは言えないでしょ……わかりました。でもこの問題が解決するまでですからね?」
「もちろんだとも」
こうして、涼介の新しい仕事が始まろうとしていた。
涼介が浅井家を後にしてから数十分後
「お父さん、お母さん、演技ありがとう!」
「いやいや、まあ琴音の頼みだからね。僕もママも琴音の事を応援してるから。ただ、学校が危ないのは事実だ。何かあったら絶対に涼介君の言うことを聞くんだよ?」
「もちろんです!」
涼介の知らないところで浅井琴音の計画は着々と進行していた……
次回より帝神学園編がスタートします!
涼介と琴音、そして個性豊か?な学園の面々に乞うご期待下さいm(_ _)m