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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

にゃにゃにゃん、にゃぉぉぉん

作者: 夢見

初投稿です。

夢で見た内容を夢日記の記録的な感じでなんとなく書き記します。

続きはその気になったら書きますがとりあえずテスト投稿。

 

 年末、冬にしてはまだ何となく暖かさが残っている夕方に、それはなんの前触れもなく起きた。




 どん、と閑静な住宅街に鈍い音が響いた。 

 しかし起こったことに対して特に興味を示す者は、その場にいた人間の中でも半分にも満たない。

 むしろ嫌悪感をあらわにして目を背ける人が大半だ。




 俺はやっとすべての講義が終わり大学も明日から冬休みだ、と若干浮かれながら家へと暗い道のド真ん中を歩いている最中だった。

 普段ならば課題や他の事が頭の半分以上を占めていて、特に目を向けることもなかっただろう。


 しかし今回に至っては冬休み間近で心に変な余裕でもあったためか何故か気になってしまい、交差点の片隅に横たわっている黒いものを凝視してしまった。


 それは車と衝突して下半身が変な方向を向いていることを除けばこぎれいで、しかし腹の部分はまだ上下していて息があることを示していた。まだ立ち上がろうとしているのか、時折身じろぎするたびに首についた鈴がちりんと鳴る。




 ――ふと我に返った。


 どれくらい見ていただろうか。

 実際には2分と経っていないだろうが、俺にはとてつもなく長く感じた。


 しかし見つめていてももうほぼ動かず、帰路に着こうと考えた俺は、いつの間にか外れていたイヤホンを耳にはめなおし、音楽アプリを起動した。




 しかし踵を返す直前それは最後の力を振り絞ったのか、もぞりと体を動かし顔をこちらへ向けた。後から思えば、この時気にせず帰路についていれば何も起こらなかったのだろう。しかし俺は、何も考えず目を合わせてしまった。



 全身が黒く、そのなかでもきらりと覗く両目からはだんだんと光が失われていたが、俺はその深いアンバー色の目に吸い込まれるかのように視線をそらすことができなかった。




 瞳孔はあたりが暗いため開いていたが、それでも一層広がろうとしている。

 しかしその目からは死へ向かおうともなお生きたいという本能をまざまざと感じさせ、ギラギラとしていた。



 俺はぞわり、と畏怖に近い怖気のようなものを感じ、早く家に帰ろうと焦って道を駆けだした――。









                        *

                            

 吾輩は、猫である。

 


 あぁいや、確かにこれを聞けば誰でもかの有名な小説を思い浮かべるかと思うが、違うんだ。

 



 目を覚ましたらおよそ2メートルほどのコンクリート塀の上に横たわってた。

 さすがの俺もチビったね。



 どこのバカがこんなふざけた寝起きドッキリをしかけたのかと。

 寝返りでもうって落ちたらシャレにならんぞと。




 某動画サイトじゃ、外国人が寝ている友人を水に浮かぶマットに乗っけて湖に放流なんぞしていたのを見て俺は馬鹿笑いしていたが、いざ当事者になってみるとてんで笑い事じゃない。





 2メートルの高さに一瞬ビビった俺は、とりあえずコンクリート塀からおりて犯人と思しき友人をぶっとばすべく体を起こした。



 …そこまではよかった。




 「…にゃあ?(…はい?)




 

 

 手を挙げてみる。

 ふわっふわの体毛に包まれた肉球と爪。


 顔と頭をまさぐってみる。

 ぴょこんと生えているおひげとふわふわの耳。


 クリンと首をひねって後ろを見てみる。

 緊張しているためか持ち上がって山形になっているしっぽ。





 ここまで言えばわかったよな?


 …それじゃぁ大事なことなのでもう一度言わせてくれ。





「――にゃにゃにゃん、にゃぉぉぉん…。」 




 ――吾輩は、猫である。


 

ちなみにタイトルは目が覚めた時に1番覚えてた言葉。

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