表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢の双子の兄に転生したので、妹を全力で守って恋を応援します!《旧版》  作者: 桃木壱子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/186

2章・8二人の王子 2

 バレンは小さく息を吐いた。そしてアルを見る。

「アルベール」

 真剣な表情と声にアルも背筋を伸ばす。

「ペソアでは申し訳なかった。お前にはなんの落ち度もない。俺が個人的に嫉妬をしていただけだ」

 そして立ち上がると頭を下げた。

 一瞬目を見張ったアルもすぐさま立ち上がると。

「わかった。謝罪は受け入れる。ペソアでの自分の行いは間違っていなかったと自信を持って言える。だが、帰国してからの態度は大人気なかった。僕こそ申し訳なかった」

 アルも深く頭を下げる。


 急転直下の大大円?

 あたしも立ち上がる。

「よかった、よかった?とりあえず、仲直りの握手をしようか」

 二人の王子は素直に握手する。


 よかったけれど、拍子抜けの感は否めない。

 なんとなくみんなまた元の場所に腰をおろした。


「ムカついたんだよ」と一息ついてから、バレン。「小国とはいえ、お前は次期国王だ。俺は第五王子。国王の椅子どころか、学校卒業後は何をして生きていくかを考えなきゃいけない」


 成人すれば、一代限りとはいえ大公の地位と領地はもらえる。ただ生活費の支給はない。領地からのあがりだけで暮らせるかも不明だ。万が一に備えて仕事は必要だ。

 文官なのか武官なのか。王子としての威信を落とさずに務められる職、他の王子と競合しない地位 …


「俺にとって王立学院は王子としてチヤホヤされる最後の楽園だった。それなのに俺より条件のいい王子が留学してきたんだ。そりゃムカつくってもんだ」

「…そんな理由だったのか?」

 目を丸くしているアル。


「それだけじゃない。…お前は我が物顔で図書室にも出入りできた」

「図書室?」

 あたしが尋ねると、バレンは頷いた。

「王家の秘密の図書室だ。限られた数人しか入れない。王子とはいえ、俺が入室を許されることは生涯ないだろう。それなのに余所者のこいつが許可を得て好きに出入りしていた」

 アルの顔を見る。

「魔法を学ぶ留学だったからね。先の国王陛下が特別に許してくださったんだ」

 アルはちょっとだけ言葉を切った。

 それから。バレンを見て、あたしを見た。

「亡くなった僕の兄上は先の陛下の孫にあたる。だから多分、特別な待遇をしてくれたんだ」

 バレンは頷いた。

「面白くなかった」


「そう考えている者が多いのはわかっていた」とアル。「でも愚かな奴らに関わっている場合ではないと思っていた。僕には一年しかなかったから」

 アルは再び言葉を切って、深く息を吐いた。

「…僕は自分にはそうしてもらえるだけの正統性があると思っていた。だけど今にして思えば、ペソア王家に土足で踏み込んだようなものだったのかもしれない。自分のことに精一杯で、そんなことにも思い至らなかった」

 そういえば。と呟く。最初のうちは忠言を受けた気がする、と。


 アルはバレンを見た。

「済まない、さっきのは撤回させてくれ。ペソアでの僕は傲慢だった」

「…ああ」バレンは頷いてしっかりとアルを見た。「俺も、ガキだった」


「これでほんとにほんとの仲直り、かな?」

 二人の王子はあたしを見た。声を揃えて、そうだなと言った。

 よかった!

「じゃあ夏休みは一緒に遊べるね」

「いいけど…」とバレン。

「そもそもバレンについて、フェルの許可をもらえるのかい?」とアル。

「ぐっ!」

 そこは突っ込まないでほしい。

「い、今絶賛説得中!」


 なんだよそれ、と二人は笑う。

「大丈夫だよ、絶対!学生のうちにたくさん遊べって言ってたし!」

「アンディがだろ」とアル。

「そうだよ。でも最近気がついたんだけど、フェルって実はアンディに甘いんだよ。なんだかんだ、アンディが説得すると折れるもんね」

「…なるほど」とアル。「それはいえてるかも。よし、遊び倒す予定を考えるか」

「そうこなくっちゃ」


「俺はデートで忙しいからな。それほどは遊べないぞ」

 バレンが突然爆弾をぶちこんできた。

「デート!?」

 思わずアルと声が揃う。

「だって俺なんてほんと、遊べるのは学生のうちだ。せっかくペソアを離れているんだから好き勝手やりたいだろ?けっこうクラスの女子から誘われているんだぜ?」

 アルがワナワナと震えている。

「お前、やっぱりムカつく!」

「王子サマはデートもできなくてカワイソウだなー」

 バレンが馬鹿にしたように煽る。


「アルもデートしたいの?」

 好きな子がいると聞いたことがないけど。困ったな。ミリアムをを好きになってほしいんだけど。

「いや」アルは赤面する。「そういう訳じゃないけどさ」

「よければミリアムに頼んでみるよ。僕、他に紹介できる女の子はいないからさ」

 アルはますます赤くなった。

「いや、いいから。そんな、ミリアムだって困るだろ」

「そう?」

 あたしは全然困らないけどね。むしろガンガンデートをしてほしい。

 まあひとつ企画はあるから、がんばってミリアムを推していこう。


 ニヤニヤしているバレンと、まだ真っ赤なアル。

 似ているようで似てないけれど、けっこう仲良くなれそうじゃない?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ