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悪役令嬢の双子の兄に転生したので、妹を全力で守って恋を応援します!《旧版》  作者: 桃木壱子


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2章・5 遠足前夜 1

 早いものでシュシュノン学園に入学してから3ヶ月が近くが過ぎた。あたしとミリアムと友達たちの学校生活は安定している。残念ながら平和ではないけれど。


 もちろん原因はマリアンナ。時々思い出したように、あたし、ミリアム、レティ、ウォルフガングに仕掛けてくる。


 自分から紅茶をかぶっておきながらあたしたちのせいにする、彼女の私物がゴミ箱から見つかりあたしたちを犯人扱いする、配布物を自分だけ配られていないふりをして教師に泣きつく。何もないところで転んで、あたしたちが魔法でやったふりをする。

 全てゲームで悪役令嬢が彼女にしていた虐めだ。


 幸い、クラスメイトのほとんどが、あたしたちの無実を信じていてくれている。マリアンナが何か被害にあっている様子でも、関わらないようにしているみたいだ。


 だけどそんな状況をも彼女は曲解しているようだ。みんな『平民なのに魔力の強い』自分に嫉妬をしている、もしくはヴィーたちが怖い、そんな理由によるものと思っているらしい。

 数人の男子だけが、彼女の無実を信じて仲良くしている。


 だけどマリアンナはゲームの主人公。アルベール、ジョー、バレンに狙いを定めているようだ。彼らの前では可憐で弱い女の子を演じ、なんとか親しくなろうと策を弄している。それがどんなに疎ましがられているか、気付きもしないで。


 どうしてなのだろう。ゲーム補正で彼女がそういう行動をとるように、どこかでプログラムされているのかな。それとも本当に、自分のしていることの愚かさに気づいていないかわいそうな子なのかな。

 見ていて胸が痛くなる。




 マリアンナのことを除けば、あたしの学校生活は充実している。入学前が嘘のように友達がたくさんできた。男子も女子も。まだ外出に制限があるから実現できていないけれど、友達にお茶会や観劇に誘われもしている。

 遊びに行けないあたしのために、放課後中庭でお茶会を開いてくれたこともある。


 委員会の方も楽しくて、特にディアナとはすごく仲良くなった。ディアナは五姉弟の長女で、下四人はみな男兄弟だそう。家は代々騎士の家系。そのせいなのか、あまり令嬢っぽさがない。なんとなく前世の部活友達のようなノリで話せる子だ。


 バレンは相変わらずツンデレ俺様で、意地悪もされる。けど、そこそこ仲良くやっている。


 委員会がなくても、みんなで集まっておしゃべりしたり、おやつを食べたりする。四月に、あたしの誕生会を開いてくれたのが始まりだった。

 本当に委員に立候補してよかった。


 来週には一学期のメインイベント、遠足がある。正式には、郊外学習だけど。都の外の森まで行って、思いっきり魔法を練習するのが目的だ。学園や都の中だと、事故を無意識に恐れて力を出しきれないケースがあるかららしい。


 問題はマリアンナ。ゲームだとここで結構重要なイベントがあるんだよね…。




 ◇◇



「せんせー、お茶が入ったよ」

 おー、と返事をしながらもキンバリー先生は何かの葉っぱをゴリゴリ擦る手を止めない。明日の遠足、もとい郊外学習用に薬を幾つも調合しないといけないんだそうだ。それを魔法で凍らせ新鮮さを保って持っていくらしい。実は先生、高度な魔法の使い手なのだ。


 それでこんな結婚して当然という世界でありながら、アラサーにも関わらず仕事優先で独身を貫いているのだ、と当初は思っていたのだが。残念ながら、そんな理由ではなかった。


 以前ミリアムと二人で『キンバリー先生にアンディと結婚してもらう作戦』を敢行したのだけど、あっさり失敗。そのときに子供を産めない体なのだと教えてくれた。幼少期に槍がお腹に刺さるという大事故に遭い、九死に一生を得たものの…ということらしい。


 だから一人で生きていけるように働き、弟の妻に気を使わせないために寮で暮らしているんだそうだ。


 先生に辛いことを告白させてしまったと申し訳ない気持ちでいると、先生は笑って言った。

「わりと有名な話なんだけど。双子ちゃんは知らなかったかー。私もまだまだだね」

 と。


 この人はきっと、ものすごく優しい人なんだ、と思った。やっぱりアンディにお似合いなのに…


「ま、子供を産める産めないは置いておいて。内緒だけどさ、本気でアンディはないから。やっぱり6コ下はガキすぎた。それが別れた原因。絶対内緒だよ。プライドがズタズタだろうから」


 あたしから見たらアンディもフェルも大人なんだけど。更に年上の先生からすれば子供らしい。


 そんな訳で、二人を結婚させる作戦は失敗したのだった。


 で、キンバリー先生は教師業を邁進している訳なのだが、主に救護医を勤めているのは、この学園の教師を辞めても医師としてやっていけるようにらしい。


「どれどれ、一息つくか」

 ようやく手を止めた先生が、椅子を引きずってあたしたちの元までくる。ひとつのベッドに、レティ、ジョー。もうひとつにアル、ミリアム、あたし。すっかりこの位置が定着している。

 あたしたち5人は放課後ときたま、この医務室に遊びにくるのだ。カップだってみんな自前のものを置いている。


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