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悪役令嬢の双子の兄に転生したので、妹を全力で守って恋を応援します!《旧版》  作者: 桃木壱子


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1章・最終話 帰還 1

 先週あたしは叔父さんになった。エレノアが元気な男の子を生んだのだ。抱っこさせてもらったら、小さいのに暖かくて重くてでも柔らかくて、なんだかわからないけどすごく幸せな気持ちになった。ミリアムもそうだって。きっと生んだ当人のエレノアさんはもっともっと幸せな気持ちなんだろうな。

 フェルなんて顔面崩壊レベルでにやついてしまって、ミリアムに痛烈批判されている。


 名前はレオノールと付けられた。父様母様は気に入らないみたいでちょっとしたケンカになっていたけれど。良い名前だよね。レオはとにかく可愛くて、屋敷中が幸せな空気でいっぱいだよ。


 アンディは親友と妹の結婚式に出られなかっただけでなく、甥っ子の誕生にも間に合わなかった。あのふにゃふにゃの顔で喜びまわるフェルを見せてあげたかったよ。


 でもついに、帰ってくるのだ。今日。アルともアンディとも手紙のやり取りはしていたけれど、会うのは丸一年ぶり。うれしくて、とてもじっとしていられない。普段は落ち着いているミリアムも、さすがにそわそわしている。

 あたしたちは意味もなく張り切って、自分たちが一番かっこよく見える服を選びあった。


 ミリアムはもうヨダレ、いや、ため息が出そうな美少女っぷりだ。どこにも非の打ち所がない。来月には16歳になる。こりゃもう結婚の申し出が殺到するに違いない。

 ウォルフだってついに好きになっちゃうんじゃないの?と思うけど、今日のお出迎えに招待されている子供はミリアムとあたしとジョーだけだから、ウォルフとは会えないのだ。残念。


 ちなみに、王宮に行く前にウォルフに見せに行くことも提案したのだけど、すげなく却下された。


 今回は出立の反対で、アルは街中を一週して国民に挨拶、王宮に到着したら護衛した騎士団に挨拶、最後に議会に挨拶となる。そのあとはきっと国王陛下と王妃陛下に挨拶するだろうから、あたしたちと会えるのはだいぶ遅くなる。でも王宮について馬車から降りるところにはいることができるから、ジョーと三人で早めに庭園にスタンバイ。


 三人の話題はもっぱらレオノールが中心。ちなみにマッケネン家はジョーの下に弟妹が三人いる。一番下の子が3才だから、ジョーはわりかし赤ちゃん事情に詳しいらしい。ついでに。アンディのブルトン家にも3才児がいるので、エレノアは赤ちゃんに慣れているみたい。抱っこも様になっているもんね!


 そうこうしているうちに、先触れがやってきた。後少しでアルとアンディが帰ってくる。

「なんだか緊張してきたよ」

「わたしもよ」

 とあたしたちは、訳もなくバクバクし出した心臓を片手で押さえながら、あいた手を繋いだ。

 ジョーが、また同じかっこうをしていると笑う。いいじゃないか、双子なんだから。

 やがて馬の蹄と車輪の音が聞こえてきた。ついに帰って来た!

 先頭に騎士が独り、そのすぐ後ろに王国旗を掲げた騎士が二人。先頭は当然アンディだ。三人の後ろに多くの騎士が続き、ついにアルの馬車が現れた。その後ろにも騎士、馬車、騎士、荷馬車と続く。あれ、なんだか往きより多いような…。


 なぜか自然と拍手が沸き上がる。あたしも気づけば懸命に手を叩いていた。庭を大きく回って、アンディが目の前を通りすぎる。一年前となにひとつ変わらず。元気そうだ。なんだかわからないけれど、勝手に涙が出る。

 見ればミリアムも涙を浮かべている。

「元気そうだね」

 彼女はうなずく。


 馬車がついに止まり、アルが降りてきた。息を飲む。あたしたちの知っているアルではなかった。

 いや、違う。スチルで見たあのアルだ。一年前とは全く違う。背は伸び、体つきも顔つきもしっかりしている。前はまだ幼さがかいま見える優しい顔だったのに、すっかり精悍な青年になっている。この変化は月日のせいだけなのかな?もしや悪い女に騙されて辛い日々だったのだろうか。やり取りしていた手紙では、そんな様子は微塵も感じられなかったけれど。


 と、アルに続いてもうひとり、何やらきらびやかな青年が降り立った。誰だ?

「あれがペソアの王子かあ」

 という声がそこかしこで聞こえる。そういえば、今朝、ペソアの王子がどうのと聞いたような。

「あれ、誰?」

「誰かしら」

 とミリアム。

「聞いてないか?」とジョー。「ペソアの第五王子だよ。留学だって。オレたちと同じ学年だ」

「あっ!」

 思わず大きな声が出る。攻略対象五人目だ。バレン・ルー・ペソア。そうか、アルと一緒に来たのか。仲良くなったのかな?だから騎士も馬車も多かったんだ。


 アルが騎士団たちに労いと感謝の挨拶をしている。声まで違う。なんだか淋しい。そのまま王宮に向かうアルがこちらを向いた。あたしは大きく、ミリアムは小さく手を振った。それを見てにっこり笑うアル。よかった、笑顔は前のままだ。


 そのまま、騎士団長が今回の護衛団の解散式を行うのを見学した。アンディは小隊長初の任務が重大なものだったのにも関わらず、無事に遂行できたことを認められて、なにかの位だかを貰える予定だと言われていた。こういうとこが、ウォルフのいう『エリート』なとこなのかな。

 解散式が終わると、王宮内に入るよう促されてしまったので、仕方無しに従った。

「待っていたって、今は無理よ」

 とミリアムに見透かされてしまったけど。



 ◇◇


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