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悪役令嬢の双子の兄に転生したので、妹を全力で守って恋を応援します!《旧版》  作者: 桃木壱子


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幕間・王子の大笑

第二王子アルベールの話です。

 ヴィアンカとウォルフガングと別れて、一足先に教室へ向かう。


 ミリアムとレティは、キンバリー先生とゲインズブールについてあれこれ楽しそうに話している。ジョーは、やっぱり付き合っている噂は本当だったんじゃないかと、不満げだ。


「ひとつ聞きたいんだけど」

 と声をあげたのはマリアンナ。少し前までは大嫌いだったけれど、今はそこまでじゃない。何を?と促してやった。


「ジョシュアとレティシアってかなり前から婚約してるんでしょ?めちゃくちゃラブラブなのに、なんで好きって言ってなかったの?」

 もっともな質問だ。僕も知りたい。

 レティは顔を真っ赤にし、ジョーはレティを見ながら首をかしげている。いやいや、僕が首をひねりたいぞ。


「…友達を助けようと思って婚約したから、か?」とジョー。

 なんだそれは。意味がわからない。さすがジョーだ。

 だいたいずいぶん前からお前にとってレティは友達じゃなかっただろうに。相変わらず脳みその作りがおかしい。


「ていうか、今気づいたけど」とジョー。「俺、レティに好きって言われたことがない」

 ますます赤くなるレティ。ミリアムは、あら、との声をこぼしている。

「なんだ、お互い様なんだ」とマリアンナ。

「レティ、俺を好き?」

 と尋ねるジョーは不安そうだ。アンディを間抜けだと思っていたが、こいつも間抜けなのをすっかり忘れていた。レティはずっと昔からお前が大好きだったじゃないか。


 レティは背伸びをして、可愛らしくジョーの耳元に口を寄せ手で覆い、何事かを囁いた。そして。走り去った。ミリアムが慌てて追いかけていく。


「やったぜ!」と子供のように破顔するジョー。「俺のことが大好きだってさ!」

「…よかったよ。ようやくお前が普通っぽくなって」と僕。

「どういう意味だよ」とジョー。

 なんで一番乗りで婚約をしておいて、想いを伝えあうのが一番最後なんだよ。何年かかっているんだ。


「こっちもヴィアンカ並みにバカだったのね」と呆れ顔のマリアンナ。「ああやだやだ。なんでこんな人たちは上手くいって、あたしには彼氏が出来ないんだろう」


 ジョーと僕は顔を見合わせたけれど、何も口に出さなかった。

 彼女の仕出かしたこと全てを許せるわけではないけれど。ヴィアンカとアンディを助けてくれたんだ。彼女自身変わったみたいだし、きっといつかは何かしら良いことがあるだろう。


 なんとはなしに、そのまま三人で歩く。そして教室のある廊下へ出ると。先に行ったミリアムとレティが教室に入らずに揃って首をかしげて立っていた。

 二人の視線の先にはバレンとキース。こちらの二人は二組の前の壁際に、しかめっ面をして並んでに立っている。いや、これは、立たされているんだ。バレンなんて王子なのに!


「どうしたんだ?」

 近寄って声を潜めて尋ねる。

「クラス委員のくせにホームルームをサボったと叱られたんだ!」とバレン。

「僕なんて完全にとばっちり!」とキース。「連帯責任だって。バレンを探しに行ったのに!」


「普段の行いが悪すぎるからだろ」とジョー。「二組のクラス委員は委員失格だって有名じゃないか」

「どこでだよっ!」と噛みつくキース。

 僕もはじめて聞いた。ジョーはいつもいつも、どこから情報を仕入れて来ているんだ?


 三組がざわつき始めた。ホームルームが終わったようだ。


「まずい!」とキース。

「ディアナが出てくる!」とバレン。

「じゃあ僕たちは教室へ戻るよ」と僕。

「おい待て!」と焦るバレン。「さりげなくいろよ。立ち話してる風にしろ!」

「えー、俺たちも戻って通知表をもらわないといけないからムリだよな」と笑っているジョー。


 振り返るといつの間にか、ミリアムもレティもマリアンナもいない。呆れて教室に入ったのだろう。


 そういえば。いつだったか絶対こいつに仕返しをして焦らせてやろうと思ったときがあったな。だけどもう、原因がなんだったかは思い出せない。結局は、それほどたいしたことではなかったのだろう。


「…わかった、いるよ」

「さすが王子!」と僕の言葉に喜ぶキース。

「俺も王子だぞ」とバレン。

「廊下に立たされているけどな」とジョー。


 三組の扉が開いてわらわらと生徒が出てきた。僕たちはいかにも話していますと装う。


 やがてディアナが出てきた。目敏くバレンを見つけたようだ。僕は彼女を手招きした。ヴィアンカ絡みで顔は知っているけれど、話したことはほとんどない。ディアナは戸惑い顔でやってきた。


「申し訳ないけど、頼まれてくれないかな」

 キラッキラの王子様スマイルを向ける。彼女は動じずにはいとうなずいた。

「僕たちは通知表をもらいにクラスに帰らないといけない」

「おい、アルベール!」バレンが焦った声を出す。

「君はここでバレンたちとおしゃべりをしている風にしてあげてほしい」

「アルベール!」

「立たされているのが恥ずかしいみたいなんだ。頼むね」

 彼女の顔がみるみる険しくなっていく。

 僕とジョーはさっさとその場を後にした。


「今度はなにをしたのよ、バレン!キース!」


 背後から可愛い怒り声が聞こえてきた。

「『今度は』だって」とジョー。

「そんなにあいつらは、やらかしているのか」

 僕たちは笑いながら、自分たちの教室に逃げ込んだ。


読んで下さってありがとうございます。


本日は23時にもアップがあります。

それで完結となります。

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