3章・最終話 目覚め
目が覚めた。
なんだろう。すごく長い時間、眠っていた気がする。寝すぎで頭がボウッとしている。体も痛い気がする。
ふと気配を感じて目を向けると、なぜなのか、ミリアムの侍女が片手にカップ、もう片手にスプーンを持って、真ん丸な目であたしを見ている。
夢、かな。
なんだろう。
だけどまだ気配を感じて、侍女がいるのと反対側に視線を転じた。
枕元から、ミリアム、アル、レティ、ジョー、ウォルフ、バレンと並んでいる。
みんな真ん丸な目であたしを見て固まっている。
あれ。
もしかしてあたしまた、フリスビーが直撃したっけ?
うまく頭が働かない。
やっぱり寝すぎたんだ。
半身を起こす。慌てた侍女が体を支えてくれる。掛布がはらりと落ちた。
あたしの胸がささやかに膨らんでいる。
なんで?
あれ?
あたしはみんなを見る。
「ヴィー」
アルが囁くような声で呼び掛けた。
「僕たちのことが、わかるかい?」
アルったら、なにをおかしなことを言っているんだろう。わかるに決まっているじゃない…。
あたしは再び自分の体を見た。
膨らんでいる胸。
あたしは女の子になっている。
その瞬間、思い出した。
血の気が引くのが自分でもわかった。手が震える。
「…アンディは?」
声が掠れて出ない。
「アンディは?ね、アンディは?」
アンディ。
あたしの呪いを解いていた。
どうして。
「大丈夫よ!」
ミリアムがあたしの手を強く握りしめた。
「大丈夫!無事よ。少し前に目を覚ましたの。今は兄さまとエレノアが側についているわ」
あぁ!
良かった!
ポロポロと涙がこぼれる。
あたしは寝台から降りようとするけれど、力が入らない。
「だめよ、ヴィー!」とミリアム。「七日七晩熱にうかされていたのよ!」
イヤ。あたしは声が出なくて首を横に振る。
この目で確かめる。無事な姿を見たい。
と、ふわりと抱き上げられた。
ウォルフだ。
あたしをお姫様抱っこをして無言で部屋を出ていく。シュタイン邸のいつもの廊下をどんどん進み、アンディの寝室の扉を足で蹴り開ける。
そこには寝台の上に半身を起こしたアンディがいた。
本当に無事だった!
ウォルフはあたしを寝台の上に下ろすと、
「泣かすな!」
と怒鳴って出ていった。
あたしはアンディを叩いた。両手で。握りこぶしで。
「ごめんな」
アンディの声だ。
ちゃんとアンディだ。
ひたすら叩くあたしに、アンディはごめんなと何度も繰り返しながら、頭をそっと撫で続けてくれた。
読んで下さり、ありがとうございます。
以前、3章で終わる予定と書いたのですが変更します。
すみません。
4章で確実に終わります。




