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幕間・主人公の惑乱 3
主人公マリアンナの話です。
兄が呪文を読み上げ始めると、ヴィットーリオの周りに金のモヤのようなものが現れた。次第に形づくって魔方陣になる。
やっぱりバッドエンドのあれだ。
大師が両手を兄に翳す。
多分、魔力を送っているのだ。
二人で解呪するのではなくて、大師が兄に力を送って増幅させているようだ。
今まで他人の魔力なんて感じたことはなかった。
だけど今は確かに感じる。
ものすごい量の魔力が兄からヴィットーリオに向かっている。
「やはり」
とゲインズブールが呟いたように聞こえた。
ヤツは足音を立てずに兄たちに近寄った。
なぜなのか、手には分厚い本がある。
そして。
その本を大師の頭に振り下ろした。
大師がくにゃりと床にくずおれる。
兄は気づいてない。
「何をっ!」
キンバリーと騎士が叫ぶとゲインズブールは本を手にしたまま振り向いた。
目が合う。震え上がりそうな鬼の形相だった。




