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第七話 洞窟探検

あれから数日が経った。

やはり空間の五角にあった木にはそれぞれの適性があった。

俺は莅戸芽が見つけた五つの木を食べ、全ての適正魔法が使えるようになった。


魔法を使い、魔力がなくなったら莅戸芽との乱取り、そこで体力がなくなったら、全ての木片を砕いた粉を飲み回復。そしてまた、魔力がなくなるまで魔法を使いなくなったら、莅戸芽との乱取り、粉を飲む。これの繰り返しだ。


そのおかげで、魔力の総量も増え、身体も木の粉の大量摂取でだいぶ肉体が変質していた。筋肉は固くしなやかに魔法はイメージの幅を広げ、現世で培ったことを踏まえながら使う。


そして、俺たちはある深刻な問題に直面しているところだ。


「……飯が無い」


そう初日に狩った、ワーウルフの肉が尽きようとしている。たぶん明日の分はないだろう、もしかしたら今日の夜もないかもしれない。


「新しく魔物を狩る?」

「そうするしかないよな、飯がなくなって飢えるより大怪我してでも肉を手に入れて、木を食べて回復した方がいい」


俺たちは満場一致で魔物を狩ることになった。…二人しかいないけど。


布団に使っていた毛皮で袋を作り、ワーウルフの干し肉と少量の五つの木片を砕いて混ぜた混成粉をその中に入れる。


「じゃあ準備はいいか?」

「うん」


今まで引きこもっていた空間から出て、足音をできるだけ消しながら少しずつ進む。

少し歩くと、ワーウルフが二体いた。

あいつを見ると潰され切断された腕のあった場所が疼く。


「大丈夫?」

「ああ、少し疼くけど問題はない。それに、アレを倒して前に進まないと」

「わかった、じゃあ強化魔法(バフ)をお願い」

「オーケー、少し待ってくれ」


自然魔法を利用して、風の鎧『風鎧(ふうがい)』を自分と莅戸芽に付与する。『風鎧』は、追い風によってスピードが上がり、攻撃が来たら風の抵抗で攻撃を軽減してくれる。

自然魔法で二つ目の強化魔法を付ける。二つ目は自分たちの周りの気温を固定するものだ。


そこまで準備して、次は水魔法でワーウルフ二体の周りの気温を下げる。少しでも動きを阻害するためだ。自然魔法では、気温の固定はできるけど気温の変化はできない。


「よし、大丈夫だ。行くぞ」

「うん」


ワーウルフに向かって突っ込む。最初に攻撃をしたのは莅戸芽だ。『風鎧』の能力を使い、少し飛んで追い風を足に纏わせ凄まじい速度の回し蹴りを一体に当てる。それを受けたワーウルフは、洞窟の壁に当たる。


「よし、ナイスだ。それじゃあ俺の方も」


相手に向かって、水魔法の初級技『水球(すいきゅう)』を放つ。ワーウルフに当たる瞬間に、自分が出せる最高温度の火魔法で『水球』の中に炎を発生させる。


ーーードォオオンーーー


爆発が起きる。今のは、水が非常に高い温度の物質をと接触させることで起きる爆発。いわゆる水蒸気爆発というものだ。


ワーウルフが吹き飛ぶ、いくら防御の硬いワーウルフでも、ほぼゼロ距離で起きた爆発にノーダメージとはいかなかったみたいだ。


胸の辺りが、気化して膨張した高温の爆発によって、火傷で爛れて抉られている。

そのワーウルフはそこで絶命する。


「こっちは倒したぞ!」

「このくらいならすぐ倒せる!」


実は、莅戸芽も火と闇の木の粉を飲んでいた。

筋力はすでに常人からは逸脱しており、ありえない身体能力を持っているのだ。


「はあ!」


莅戸芽は脚と拳に纏っている風に、炎を混ぜる。

炎が渦を巻き、脚と拳にまとわりつく。


「んっ」


後は追い風をうまく使いながら、莅戸芽がワーウルフを一方的に殴るだけになった。


殴り続けること十数秒、完全にワーウルフは動かなくなった。


「初戦にしてはかなりいいんじゃないか?」

「うん、強化魔法も炎を纏うのも上手くできてた」


倒した後にワーウルフから少しの肉を削ぎ、水魔法で水分を取りながら火魔法で軽く熱を通して殺菌する。干し肉をその場で作りお互いの袋に入れてゆく。

余った毛皮で簡易的なローブを作る。


「食料も増えたし、またあの穴に戻るか?」

「上の階に繋がる道を探す。」

「そうだな、いつまでもここにいても何も変わらないしな」


上の階に繋がる道を探すために歩き始める。

途中で、鉱石の塊みたいな甲羅を背負った二足歩行の亀みたいなのがいたり、小さくて硬い石を持って凄まじいスピードで殴りかかってくる猿がいたりしたが、二人で特に問題なく進むことができた。


「なんで、見つからないんだ。」

「ほとんど見たけど下の階に行く道しかない」


かなりの時間歩いたけど、下に行く道は見つかっても上に行く道はなかった。


「たぶん、あの穴からしか繋がってない」

「そう考えるしかないか。一旦、穴に戻ろう」


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