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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
二学期 クラス対抗戦編
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第七十五話 メイの個性

 アタラシス学園、第一訓練場。

 その場所では現在二人の男子生徒がぶつかり合っていた。


 「「オオオォォォォォォォォッ!!」」

 ――ドゴォォォォンッ!!――


 もうすぐ開催されるイベントに向け、代表に選ばれたタクミとマサトの二人がぶつかり合っていたのだ。 互いに拳を、蹴りを休むことなく繰り出し続け、ぶつかり合う二人。その顔には互いに不敵な笑みが浮かんでいた。


 「マサトォッ!お前夏休み中よりも随分と攻撃力が上がっているじゃないか!!」

 「へっ、そういうお前こそ以前よりも随分と強くなっているじゃねえかッ!!」


 この二人は夏休み中に一度手合わせをしている。だが、タクミもマサトも相手の力が明らかに以前よりも上がっていることに打ち合いながら感じていた。二人共、夏休み中に解放しているこの訓練場や人気のない場所で隠れてトレーニングを行っていたのだ。


 「つぅおらぁッ!」

 「だりゃッ!」

 ――ガシィィィィィィィィンッ!!――


 両者の蹴りがぶつかり合い交差する。そのままゆっくりと互いに蹴り上げ重ねている脚を離していく二人。そこで両者の放たれていた魔力は収まって行った。

 タクミとマサトはそこで一度大きくため息を吐く。


 「とりあえず基本の戦闘能力は互角の様だな」

 「ああ、でもお前にはその力に上乗せできる個性魔法があるからな、うちのクラスのリーダーはお前で決まりだなタクミ」

 「よせよ、リーダーなんて言い方。ガラでもないしさ・・・・」


 タクミが頬を掻きながら言う。ちなみに代表として決まった五人はより親睦を深める意味も兼ねて全員が名前で呼び合う事にした。そうする事でより強固な絆が出き、各クラスとの戦いのための事を考えるとチームワークを良くしておくことは重要な事であるからだ。それに、夏休み中のキャンプを通してこの五人の信頼は選手に選ばれる前から深い物となっていたといえるだろう。

 軽い組手が終わり休憩を取っている二人。そこに同じく選手として選ばれたミサキたちもやって来た。


 「お疲れさま二人共。はいこれ」

 「マ、マサト君どうぞ・・・・」


 ミサキとメイはそれぞれの恋人にスポーツ飲料とタオルを手渡す。二人は礼を言ってそれを受け取りタクミはタオルで掻いた汗を拭き、マサトは勢いよくスポーツ飲料を飲む。

 その後ろでメイはにやにや笑いながら四人を見ている。


 「いや~熱い熱い、疲れている恋人にタオルとスポーツ飲料の差し入れ、ベタな光景だけど見ていて口角が緩んじゃうわ~♪」


 マサトとメイの二人が付き合っているという事実はすでにレンに伝わっており、その際メイはレンに色々からかわれていた。

そして今もまたからかわれてしまうメイとそして三人。タクミとミサキ、そしてメイの三人は顔を赤くして照れてしまうが、マサトは・・・・・・。


 「おう、俺もメイからの差し入れはテンション上がるぜ。なんたって彼女がくれた物だからな」

 「えっ、あ・・・・う、うん」


 どうにもマサトはこのような事では全くうろたえない。恋人のメイはマサトの発言で更に顔の赤みを増しているというのに。


 「(やりずらいなぁ~)」


 目の前の男にはどうやら自分お得意の冗談が全く通じないようだ。レンにとってはやりづらい相手であった。レンの冗談が止まると、今度はマサトの方が三人に特訓の成果を聞く。


 「三人はどうだ?そっちもそっちで自分の魔法の特訓をしてたんだろう」

 「うん、ミサキの炎の魔法も以前より火力も上がっているし、私のこの武器も調子良いし」


 レンは≪換装≫を使い≪インパクトハンマー≫と呼ばれる彼女専用の武器を取り出す。魔力を込める事で衝撃を放つハンマーだ。

 彼女達三人もそれぞれ自分の魔法を向上する為に訓練場で特訓をしていた。選手として五人が選ばれ、その日の放課後から一週間特訓に励んでいた。〝クラス別魔法戦闘〟開催まで間もなくとなり、五人の緊張も高まっていた。


 「それにしてまメイさんまで個性使いだったとはね」


 メイを見ながらレンがそう言った。

 彼女が個性魔法の使い手であったという事実はマサトしか知らなかったので、その事実を知った時はタクミ達も驚いていた。

 彼女の持つ個性、それは〝絶対防御〟であった。八神メイは自らの魔力でどれほど凄まじい攻撃でも打ち破れない盾を作り出す事が出来る。それは一般の魔法で作られる結界や障壁以上の強度を誇る。実は訓練の際、メイの個性魔法の力を皆に見せ確認させるためにあることをしていた。






 『・・・・いくぞ、メイ』

 『は、はいっ!』


 訓練場にはタクミとメイの二人が対峙していた。

 その様子を見守る他の三人。メイの防御の個性を見る為、タクミの攻撃をメイの作り出す盾で受け止める現場を披露することになったのだ。それを提案したのは彼女の個性を初めから知っていたマサトからであった。

 ミサキは少し不安そうな顔をしながらマサトのことを見る。


 『マサト君、メイさん本当に大丈夫なのかな?やっぱり止めた方がいいんじゃ・・・・』

 『大丈夫だよ、まあ見とけって』


 メイの身を案じるミサキ。しかしマサトはそんなミサキのことをなだめ黙って見てるように言う。しかし、タクミの強さをよく知っているミサキとしてはやはり不安だ。

 だが、ミサキ同様マサトもまたメイの強さをよく分かっていた。


 『ふうぅぅぅぅぅ』


 息を整えるタクミ。そして手に魔力を集中し、攻撃の体制に入った。


 『・・・・・・いくぞ』

 『は、はいっ!!』


 メイは右腕に魔力を集中し、防御の準備を整える。

 そして、タクミの手から攻撃が解き放たれ、メイへと向かって行く。


 『魔力砲!!』


 魔力による砲撃がメイに向かって行く。彼女は魔力を集中した手を向かって来る砲撃に向かってかざし、そこから盾を生成する。


 『≪絶対防御・イージス≫発動!!』


 メイのかざした手から、メイの体を覆い隠す程の大きさの盾が出現する。白く光り輝く盾が現れ、タクミの砲撃を受け止める。

 

 『っ!、あれがメイの魔法か!!』


 タクミの放たれる砲撃をまともに受け止め続けているにもかかわらず、メイの盾のは傷一つすらつく様子がない。

 さらに魔力を砲撃に込め、威力を上げるが盾はびくともしない。


 『すごいな・・・・・・』


 タクミの口からは思わず賞賛の言葉が出て来た。これ以上攻撃をしても無意味だと悟ったタクミは魔力を押さえ攻撃を止める。そこにはやはり傷一つ付いていないメイの盾が堂々と存在していた。






 「俺の攻撃を受けてもビクともしない圧倒的防御力。すごい魔法使いがうちのクラスに隠れていたものだ」

 

 タクミの言葉にミサキとメイも頷く。タクミの攻撃を受け止めたその防御力を見学していたミサキとメイも大層驚いていた。ただ、マサトだけはその時特に驚いていた様子はなかった。

 ちゃんと知っていたからだ・・・・自分の幼馴染の強さを。

 

 「それにしても・・・・他のクラスはどうしてるんだろうな?」

 「どうしてるって、そりゃ俺たちと同じで特訓してんじゃねえのか?」


 タクミのふとしたそんな疑問にマサトが答える。


 「いやまあそれはそうだろうけど・・・・」


 マサトの言う通り、彼らAクラスの生徒だけが大会に向け訓練を積んでいる訳ではない。他のクラスの生徒達もまた、勝利を目指して動き出していた・・・・・・・・。



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