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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
夏休み 結ばれる二人編
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第六十七話 幻想的な少年

 それぞれが自由な時間を満喫し、時刻はもう夕方となっていた。


 「結構釣れたな」

 「うん、こんなに釣れるとは思わなかったね」


 二人のバケツの中には大量の魚たちが入っていた。カケルが釣った後、他の三人にもヒットして次々と釣れ、全員入れ食い状態となっていた。

 当初の集合予定時間が迫ったため、タクミ達は自分たちのコテージに戻ろうとする。シグレとカケルはもう少し釣りを続けるとの事でその場に残った。その時に釣竿を川に垂らしているカケルの目は未だ獲物を狙う目だった・・・・・・。


 「それにしても神保たちも来ていたとはな」

 「うん、ちょっと予想外の出会いだったね」

 

 タクミの言葉にミサキは苦笑をしながら答える。

 そして自分たちのコテージへと戻ったタクミとミサキ。中に入るとすでにレンとマサト達が戻っており、軽い談笑をしていた。二人が戻って来た事でレンがミサキに収穫の方を聞いて来る。

 

 「お帰り~、どう、釣れた?」

 「うん。すごい釣れたよ、ほらこれ」


 ミサキがバケツの中身をレンに見せる。入れ食い状態のバケツの中を見てレンがはしゃぐ。


 「おおーっ、大量大量♪あ、でもこの魚たち食べれるのかな?」

 「大丈夫だよ。食べれない魚はリリースしておいたから、このバケツのお魚は全部料理できるよ」

 「おおー、それは楽しみ♪」


 ミサキはバケツを置いて辺りを見渡すが、この場にあと一人足りないことに気付く。自分の妹であるユウコがまだ揃っていないのだ。

 ミサキは先に戻っていた四人にユウコのことを尋ねる。


 「みんな、ここにみんなが戻った時にはまだユウコは帰っていなかった?」

 「俺たちが戻った時は居なかったよな?」


 マサトがメイとマナにそう言うと二人は頷いて答える。


 「私が戻った時は津田君達は居たけどほかには誰も・・・・」

 「そう、何してるのかなユウコ。もうすぐ集合時間過ぎそうなのに・・・・」


 現在の時刻は四時五十五分。まだ時間まで五分あるが、他の皆がすでに帰って来てるのに対しまだ帰ってこない妹に少し心配をするミサキ。

 その時――――


 ――がちゃっ――


 コテージの扉の開く音が聞こえ顔を向けるミサキ。そこには妹のユウコの姿が在り、コテージの中へと入って来た。妹が帰ってきたことにとりあえず安堵するミサキ。


 「もうユウコ、時間ぎりぎりで心配したよ」

 「ごめんごめんお姉、ちょっと遠くまで散歩していてさ・・・・」

 「とりあえずこれで全員集合だな」


 タクミがこの場に居る皆を改めて確認してそう言った。

 こうして全員が無事集合し、夕食の準備に取り掛かった。




 タクミとミサキの釣って来た魚が大量だったため、作れた料理の品数も多く、全員満足のいく夕食を取ることが出来た。そして皆は今日一日のそれぞれが過ごした時間を語り合った。


 「えっ!じゃああの堅物風紀委員も来てるの!」

 「うん、他のクラスの人と一緒にね」

 「へ~、なんか意外だなぁ。あいつ友人なんていたんだ」


 メイのその失礼な発言に同じ学園の生徒であるタクミ達は苦笑する。もしも本人がこの場に居てレンのこの発言を聞いていればさすがに激怒していただろう。


 「友人っていうかなんか三年の先輩も来てたぞ」

 「うん、とっても優しそうなおねえちゃんだった!」

 「三年生が来てた?何の繋がりが・・・・」


 レンが不思議がっているとメイがネネについての説明を入れる。

 話を聞く限り風紀委員繋がりであることを予想するレン。だが、そこで一つの疑問が出る。


 「その星野って子も風紀委員なの?」

 「いや、あいつは違うらしいけど」


 実際に話をしたタクミがレンにそう言う。本人から聞いた情報なので、まず間違いはないだろう。


 「じゃああの堅物とどういう関係で?」

 「さあ?同じクラスらしいから気でもあったんじゃないのか?」

 「え~、あんな堅物に気の合う人なんているかな」

 「レ、レン。さっきから言い過ぎ・・・・」


 親友の発言がエスカレートしていくのを感じストップをかけるミサキ。しかしなんだかんだ言っても全員楽しそうに話をし、充実した時間を過ごしている。ただその中で唯一、ユウコだけが会話に参加せずどこか物思いにふけっていた。妹のそんな姿を見てミサキが少し心配そうに声を掛ける。


 「ユウコ、どうかしたの?」

 「え・・ああ、いや・・・・ねえお姉」

 「何?」

 「お姉と同じ学校から来た人たちの中に白髪のおかっぱ頭の男の人っていた?」


 ユウコの質問にミサキは首を傾げる。釣り場で出会った星野カケル君は白色の髪であったがおかっぱではなかった。しかしシグレの話では来ていた人数は全部で三人。自分が会ったカケルとシグレ、そしてマサトたちが出会ったネネで三名になる。ということは今、妹の言った人物に心当たりは少なくとも自分にはない。


 「私は思い当たる節はないけど・・・・」

 「俺もないな」

 「私も散歩中は誰にも会わなかったし・・・・」


 ミサキ以外の他の全員もその様な人物に出会った覚えがない事を告げる。どこか幻想的なあの男の子は誰だったのだろう。そんな事を考えながらユウコは先程の少年の姿を思い浮かべていた。

 白い髪に整った容姿、少し低めの背丈・・・・・・そして、ユウコには何故かそんな少年がどこか自分たち人とはかけ離れた存在に思えた・・・・・・。



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