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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
夏休み 結ばれる二人編
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第四十九話 成長

 「≪エクスプロージョンKB≫!!》」


 レイヤーは左右の手でそれぞれ、追尾型の爆発の力を凝縮させた大玉をミサキとセンナに向かい放つ。

 ミサキとセンナは迫りくる大玉に向かい炎をぶつけ、相殺しようとする。


 「《豪炎黒死砲》!!」

 「《火炎集砲撃》!!」


 センナからは黒炎の砲撃が、そしてミサキからも同じく炎を一点に集中した攻撃が繰り出され、二つの砲撃はそれぞれ爆発の大玉に直撃し、大爆発を起こす。

 爆発の被害から逃れるためにレイヤーは後方へと下がる。

 そこへ爆発を同じく逃れたセンナが彼女の右方向から、そしてミサキが左方向から攻めて来る。


 「チィッ!!」


 レイヤーは小型の爆発玉を左右に連射し、二人の接近を防ごうとする。


 「《火炎連射弾》!」

 

 ミサキは同じく大量の炎の弾丸を連射する。センナもいるため片腕づつでの攻撃に対し、ミサキは両手で攻撃を繰り出している為にミサキの方が手数は上回りレイヤーの体に被弾していく。


 「ぐぅッ!このぉ!!」


 一方センナは片腕のために攻撃の手数が少ないため、紙一重で回避しながら接近する。

 自身へと近づいて来る姉妹に対し、レイヤーは内心で焦りながら対処方法を必死で模索する。


 「(まずい!今の負傷している状態で自爆を使えば、反動で来るダメージの許容量が限界を越え自滅しかねない!!)」

 

 自爆は出来ないと判断したレイヤーは自分の周り、全方位に地雷魔法を設置する。そして再びエクスプロージョンKBを放つ。しかし攻撃速度の遅いその大玉を二人はレイヤーから離れる事で回避する。しかし、接近して詰めた距離が再び開いた事でセンナは先にミサキを標的に選び追撃を加えんとミサキの元へと走る。

 ミサキは迫りくる大玉を先程と同じく技をぶつけ相殺する。再び大玉が大爆発を引き起こした。


 「ミサキッ!?」


 センナは自分に向けられた大玉を捌き、爆発が起こったミサキの方に目を向け、妹の名を呼ぶ。

 近くに居るレイヤーは爆発に隠れたミサキの姿を探す。


 「(どこに居る!?)」


 すると、爆炎の中から何かが飛び出してきた。


 「そこぉッ!!」


 飛び出してきた存在に速攻で攻撃を繰り出すレイヤー。しかし、その顔は攻撃と同時に驚きを表していた。

 飛び出してきた物はミサキの履いている靴だったのだ。

 

 「フェイク!?しまっ・・・・」

 「やあああああああああッ!!」


 叫び声と共にレイヤーが意識を向けた逆方向の爆炎の中からミサキが飛び出してきた。

 飛び出て来た物をよく確認もせず、すぐに攻撃を仕掛けたレイヤー。次の攻撃までは一瞬の間が生じ、ミサキはそのタイミングでレイヤーの至近距離まで迫った。


 「コイツッ!?」

 「《火炎集砲撃》!!!!」

 ――ボシュウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!――

 「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!?」


 ミサキの手から放たれた炎の砲撃は至近距離でレイヤーを捉え、彼女の体全てを炎の中へと誘った。

 遠目で見ていたセンナはミサキの一連の行動に驚きを隠せなかった。


 「(あのミサキが敵の意表を見事に突く作戦を瞬時に判断し、実行するなんて・・・・)」


 自分と違い普通の学生として生きていた高校生の行動とは思えない動きであった。

 

 「ミサキ・・・・貴方、この戦いの中で・・・・・・」


 センナの考えている通りであった。

 彼女もタクミと同じく、この極限の戦いの中で成長をしていたのだ。




 ミサキは炎の砲撃で吹き飛ばしたレイヤーを見ていた。

 吹き飛ばされたレイヤーはしばらく倒れたままであったが、勢いよく立ち上がりミサキを睨み付ける。


 「お・ま・え・・・・お前ぇぇぇぇぇぇぇッ!!殺ず、ごろじでやるぅ~~~~ッ!!??」


 レイヤーは残るすべての魔力を絞りつくし、これまで作り出したことが無い程の巨大なエクスプロージョンKBを上空へと作り出す。大玉、などという言葉では収まらない程にそれは巨大で、未だに少しづつ大きくなっている。

 

 「くっ、撃たせない!!」


 ミサキは連続で炎の魔法をぶつけるが、レイヤーは倒れずに血反吐を吐き散らしながら大声で笑い声を上げ、ミサキとセンナを見る。


 「ははははははははははははっ!死ね、死ね、死ねぇぇぇぇぇッ!!姉妹揃って骨すら残さず塵となり果てろぉッ!?」


 怒りの余り彼女は現在正常な判断が出来ない状態であった。いや、自らそれを放棄したといった方が正しいかもしれない。頭に浮かび上がる様々な考えを浮かんでは捨て、唯一の考え、目の前の女をぶち殺すという考えだけに没頭していた。

 ミサキはレイヤーのただならぬ狂気に近いその様子に怯んでしまう。だが、すぐに現状を打破する方法を必死に考える。


 「どうすれば・・・・あの大きさじゃ私の魔法じゃ・・・・」

 「だったら二人でやればいいわ」

 「お姉ちゃん・・・・」

 

 いつの間にか隣に来ていたセンナがミサキの肩に手を置いて打開策を言う。


 「私たち姉妹の炎をぶつけ、奴の技もろともアイツを燃やし尽くせばいいわ。私たち姉妹なら出来ると思うけど・・・・ミサキはどう思う」


 センナのその言葉にミサキは少し戸惑ったが、すぐに笑って答えた。


 「うん!お姉ちゃんとなら出来る!!」


 ミサキの言葉にセンナは頷き、最後の魔力を振り絞る。

 ミサキも残りの魔力全てを次の技に込める。


 「これが最後のひと踏ん張りよミサキ!!」

 「はいっ、センナお姉ちゃん!!」


 二人は手を繋ぎ、互いの魔力を、炎を、想いを一つにする。

 レイヤーは狂ったように笑いながらミサキたちに最後の攻撃を振りかざす!!


 「《ファイナルエクスプロージョンKB》!!!!」

 「《姉妹双炎炎帝砲》!!!!!!」


 暗き夜の森を炎と爆発で照らす両者。

 そんな両者の最後の攻撃がぶつかり合った。


 

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