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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
夏休み 結ばれる二人編
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第四十五話 開戦

 「オオオオオオオオッッ!!」


 三人の中で真っ先に仕掛けたのはタクミであった。

 彼は全身に大量の魔力を宿し、名も無き男へと向かって行く。


 「シィッ!!」

 「フンッ!!」


 ――ガシィィィィィッ!!――


 両者の拳が激しくぶつかり合い、凄まじい音が周囲に響き渡る。

 すると魔物の一体がタクミへと襲い掛かるが、そうはさせまいとセンナの黒炎の弾丸が魔物の顔面へと直撃する。


 「ギャウンッ!?」


 攻撃を受けた魔物は悲鳴を上げ怯む。

 残り三体の魔物はセンナに走っていく。


 「ミサキ!!」

 「うん、お姉ちゃん!!」


 センナとミサキは魔力を集中し、二人同時に魔物達に攻撃を放つ。


 「「《火炎連射弾!!》」」


 二人の手から大量の炎の弾丸が連射され魔物達に直撃する。

 魔物達は攻撃を受けながらも二人へと突っ込んで行く。

 センナは攻撃をしたまま一番先頭にいる魔物へと走っていき、大きく跳躍する。


 「ガゥアッ!!」


 自分の顔の前まで飛んできたセンナに鋭利な爪を突き刺そうと魔物が攻撃をする。

 センナは空中で体を捻り回避し、魔物の顔面、正確には眼球部分を中心に黒炎の雨を降り注ぐ。


 ――ズドドドドドドドドドドドドドドドッッ!!――

 「ガアァァァァァァァァァァァ!?」


 目を炎で炙られ潰された魔物が絶叫を上げる。

 残り二体の魔物が空中のセンナを襲おうとするが、ミサキから放たれる炎の弾丸の威力、手数が増大し二体の魔物の攻撃を阻止する。


 「やああぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 「グウゥゥゥゥゥゥッ!」

 「ガウァッ!!」


 魔物達は標的をミサキに変更し、ミサキの方へと駆ける。

 だが、今度はセンナが攻撃を繰り出し魔物の注意を引く。


 「ぐるるるるるるッ!?」

 

 姉妹のコンビネーションに翻弄される魔物達。

 戦闘力は確かに高いがこの魔物達はまるで連携が取れておらず、逆に二人の連携は息が整っていた。


 「うがぁッ!!」

 「ふっ!」


 タクミへと襲い掛かりセンナにやられていた魔物がセンナに向かって巨大な顔を持っていき食い殺そうとする。その大口を回避し、再び顔面に黒炎を叩き付ける。


 こちらの戦場では黒川姉妹の戦いが優勢であった。






 「ハアッ!」

 「ぬんッ!」


 タクミと名も無き男の蹴りが交差し、その後両者が高速で拳の打ち合いをする。

 互いの拳が幾度となくぶつかり合い、その度に大きな打撃音が聞こえて来る。

 そして、打ち合いでタクミが勝利し男の頬に強力な一撃が突き刺さる。


 「ちぃッ、つぉらぁッ!!」

 「うぐっ!?」


 しかし男も負けじと拳を受けた後、すぐに反撃に転じる。

 強力な蹴りがタクミのに入る。蹴りの威力で僅かに後退するタクミだが、蹴り飛ばされながらもタクミは魔力弾を男の顔面に放っていた。


 「フンッ!」

 ――バシィッ!――


 魔力弾を弾き、その場で腕組をする名も無き男。

 タクミは蹴られた場所をぱんぱんと払うと男に向かって構えなおす。


 「なるほど、レイヤーでは勝てないわけだ。僅かな打ち合いだけでもお前の強さはよく分かった。そして、まだ底を見せていないこともな」

 「ふん・・・・お互い様だろ。全力を出していないのは」


 名も無き男は一息し、魔力を高める。

 どうやら少しずつ力を見せる様だ。だが、タクミは違った。

 これが試合ならばともかく、自分の今すべき事はミサキのことを全力で死守、それ以上の事などあるはずもない。


 「(奴はまだ力を完全に出す様子はない・・・・好機!!)」


 タクミは一気に決着をつけるべく魔力を最大限解放し、更に――――


 「《スパークル・ガーディアン》!!!」


 タクミの瞳が金色に変わり、瞳の色と同じ金色のオーラが吹き荒れる。

 タクミの変化に名も無き男は驚きの表情をする。


 「この力は・・・・!?」

 「ダアッ!!!!」

 ――ドゴォンッ!!――

 「がぐぅっ!」


 一瞬で距離を詰め、男の顔に拳を叩きこむタクミ。

 そして拳を引くと同時に脚を殴った反対方向の側頭部へと蹴り込む。タクミの蹴りを綺麗に入れられ、男の体は吹き飛ばされる。だが、タクミの攻撃は終わらない。

 吹き飛ばされた男にタクミはすぐに追いつき男の体を空中へと蹴りだす。

 

 「おおおおおッ!!」

 ――どがぁあああんッ!――

 「うぐぅ!!」


 空高く吹き飛ばされた男。

 タクミはその場で力強く地面を蹴り上空へと跳び、両手を強く握りしめ、地面めがけて男を叩き落す。


 ――ズガアァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!――


 辺りに響き渡る激突音と衝撃で舞い上がる土煙。

 タクミは地面に着地し、土煙が巻き起こっている場所を睨み付ける。今の攻撃で終わってくれれば良いのだが、敵の魔力は未だに感じ取れる。つまりあの男は健在という事である。

 タクミの予想通り土煙が晴れ、そこから男が出て来る。


 「今のは中々効いたぞ」

 「ふん・・・・そうは見えないがな」


 名も無き男の頭と口からは僅かな血が垂れていた。だが、ダメージ自体はそこまで与えられているとは思えない。 

 そして・・・・・・・・。


 「オオオオオオオオオッッ!!!!」

 ――ズオオォォォォォォォォォォォッッ!!!!――

 「くっ・・・・」


 様子見はもう終わりと言わんばかりに名も無き男から放たれる魔力が今までの比にならない程大きく、そして力強く変化する。

 名も無き男は口元の血を舌で舐め、タクミに向かって言った。


 「ここからが本当の戦いだ」

 「・・・・上等ッ!!」


 二人の男の戦いは、ついに互いに全力を引き出すものとなった。

 もう何度目になるだろうか・・・・タクミと名も無き男が再びぶつかり合った。

 


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