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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
夏休み 結ばれる二人編
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第三十九話 爆破使いとの再戦!!

 ミサキは自分の前に現れた人物を見て頭が真っ白になった。

 それは当然の反応と言えるだろう。死んだ筈の大好きな姉が目の前に現れたのだ。

 ミサキはセンナの姿を見て、声を聴いて、自身の瞳から涙が零れ落ちるのを感じた。


 「お、姉ちゃん、お姉ちゃん!!」


 ミサキはセンナに向かって勢いよく駆け出し、彼女の胸に抱き着く。

 もう大切な姉がどこにも行かないよう・・・・。そしてセンナはそんなミサキの頭を優しく撫でる。

 

 「ミサキ・・大きくなったわね」

 「うん、・・・・うんッ!!」


 ミサキはセンナの胸に顔を埋めながら返事をする。

 センナはそんなミサキを見て優しく語り掛ける。


 「ミサキ、よく聞いて・・・・大事な話があるの」

 「大事な・・話?・・・・ぐすっ」

 「ええ・・・・」


 センナの顔は真剣そのものであった。

 ミサキもそれを敏感に感じ取り、涙を拭いて姉の話を聞くことに集中する。

 センナはミサキに落ち着いた声で言った。


 「ミサキ、今すぐこのE地区から離れ、しばらく身を隠しなさい」

 「え・・・・どういうこと?」

 「気付いてる筈よ、自分が狙われているということに」

 「!!・・お姉ちゃん、どうしてそのことを・・・・?」


 しかしセンナはミサキの疑問に答える余裕もないといった感じでミサキの質問には答えず、再び同じ事をミサキに言った。

 

 「ミサキ、それらの疑問は今は考えないで。貴方が今取るべき選択は逃げる事なの。もう、脅威はすぐそこまで迫って・・・・・・」



 「何が迫ってると・・・・?」



 「「!?」」


 突然聞こえて来た第三者の声に二人が顔を向ける。

 そこには新たに一人の男が立っていた。外見は体格が良く、見る者を突き刺すかの様な鋭い目つきをしている。ミサキを狙う存在達、それらをまとめるリーダーであった。

 リーダーの存在にセンナは表情をこわばらせ、ミサキは困惑している様な顔をする。


 「やってくれたじゃないか・・・・エクス」

 「・・・・・・」

 「エクス?」


 男の出した名前に疑問を持つミサキ。

 今この場に居るのは自分と姉のセンナだけのはず。ならば目の前の男が言ったエクスと言う人物とは一体誰を指しているのか?ミサキのそんな疑問に答える様、男はミサキに語り掛ける。


 「黒川ミサキ、お前はまだ気づいていないようだな」

 「?・・・・何の事ですか?」


 男は口を開き、信じがたい事実をミサキへと突き付ける。



 「お前には・・・・姉など存在しないんだよ」

 「え・・・・・・」


 男の発言にミサキの脳は理解が出来ず、思わず呆けてしまう。

 隣ではセンナが苦しげな顔をしている。

 三人の居るこの空間は静寂に包まれた・・・・・・・・。






 タクミは全速力である場所へと駆ける。

 彼の胸騒ぎはどんどん強くなっていく。


 「ミサキ!・・・・ッ!!」


 全速力で駆けるタクミであったが、突如として自分に向けられる強烈な殺気を感じ取りその場で急停止し、後ろへと跳ぶ。


 ――ドガアァァァァァァンッ!!――


 タクミが飛び退く直前に居た場所が大爆発を起こしたのだ。

 この攻撃、タクミはよく覚えていた。何しろ死にかける程の経験をこっちはしているのだから。

 タクミは爆発地を一瞬見て、その後視線を魔力を感じる方へと向ける。


 「やっぱり・・・・お前か」

 「久々ね、クソ野郎」


 そこに居たのは予想通りの人物、河川レイヤーであった。

 彼女は凶悪な笑みを顔に張り付けており、その眼は血走っている。

 

 「アンタには随分やられたし、そのお返しを・・・・ここで返してあげるぅッッ!!!!」


 レイヤーは手をかざし、あらかじめ仕掛けた地雷を発動させる。

 タクミの周囲に大量の魔法陣が出現し、それらすべてが光り出す。


 「粉みじんになってはじけ飛べ!全身ぐちゃぐちゃに爆ぜろ!!」


 だが、地雷が爆発する瞬間、タクミは一瞬で地雷原を駆け抜けレイヤーの前に移動する。

 

 「(なっ速・・ッ!?)」


 タクミがレイヤーに拳を振るう。

 レイヤーは腕に魔力を込めタクミの拳を受け止めるが、その威力に体が弾き飛ばされる。


 「ちぃっ!!」


 空中で一回転し、綺麗に着地するレイヤー。

 そこに続けてタクミが攻撃を仕掛ける。


 「魔力砲!!」


 ――ブオオオオオオオオオオォォォォォォォォッッ!!!――


 「ぐうぅぅぅぅぅぅッ!?」


 レイヤーは足に魔力を全力で込め、その場から跳躍しタクミの魔力砲を体スレスレの状態で何とか回避する。攻撃を回避でき、内心ほっとするレイヤーだったが――――


 「はああぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 「(いつの間に!?)」


 一瞬で真正面に接近を許しており、レイヤーの顔に焦りが表れる。

 しかし、レイヤーはタクミとの戦いが始まる前に体内に魔力を溜め続けていた。ここでタクミの攻撃を受けつつも自分の大技、≪肉体ボム≫で大爆発を起こせば致命傷を与えることが出来る。


 「(いいわ、一発は我慢してあげる!!)」

 「オオオオオオオオッッ!!」

 ――ドゴオォォォォォォォンッッ!!――

 「がっぱぁぁぁぁぁぁ!!」


 予想以上の衝撃にレイヤーは口から大量の血を吐き出す。

 痛みの余り、一瞬意識すら途絶えかけた程だ。


 「(コイツ・・・・以前よりはるかに強く、でもッ!!)」


 攻撃を受けた数瞬後、レイヤーの肉体が大爆発を起こした。



 だがその時、ほぼ同時にタクミの姿が変化した・・・・。



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