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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
一学期 銀色の少年編
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第二話 転校生

 第二話投稿しました。

 魔物に襲われ死を覚悟したミサキ。だが、そこに一人の少年が現れる。

 綺麗な銀色の髪、赤と青のオッドアイ。


 「(綺麗・・・・)」


 ミサキは素直にそう思った。その姿はどこか神秘的な雰囲気を晒し出していた。しかも、彼は自分達と同じ学校の制服を着ていた。 


 「(私と同じ1年生・・・・こんな人いたっけ?)」


 少なくとも自分のクラスの生徒ではない。そこへ、少年が話しかけてきた。


 「おい、大丈夫か?」

 「え・・あっ、う、うんっ!」


 少年が心配してミサキに声を掛ける。突然の事態に戸惑いを見せながらも、返事を返すミサキ。それに少年はほっとした様子を見せる。


 「ぐるるるる・・」

 「ぐがぁっ!!」


 そこに魔物達の声が聞こえてくる。特に先程殴り飛ばされた魔物は強い怒りを見せていた。


 「・・・・少し下がってろ。すぐに終わらせる」


 そう言うと少年は魔物達に歩みを進めた。


 「えっ!あ、危ないよ!ここは――――」

  

 ――ドゴォォンッッ!!!――


 「へ・・・・?」


 ミサキが言葉を言い終える前に、少年は一瞬の内に魔物の1体を殴り倒していた。 


 「ガゥウッ!!」


 もう一体がタクミに襲い掛かるが、魔物が振るった腕をタクミは回避し、逆に腹部に拳を叩き付けた。


 ――ドムゥゥゥゥゥッッ!!!――


 「ガ・・・・ウ・・」


 タクミの拳を受けた魔物はその一撃だけで沈んだ。


 「う、うそ・・・・」


 ミサキは目の前の光景に思わず絶句した。


 「(一人でAクラス並の魔物を2体も、しかも一瞬で!!)」


 呆然とするミサキ。そんなミサキに少年が声を掛けようとする。


 「なあ、おま『ミサキィィィィッ!!』うおっ!」


 自分の声が他の声に遮られ、驚きを表す少年。やって来たのは別行動をしていたレンだった。


 「レンッ!」

 「ミサキ大丈夫!?何か大きな音が聞こえ・・・・って!ま、魔物!!?」

 「ちょ、落ち着いてレン!」


 目の前であたふたと驚く親友をなだめ、落ち着かせようとするミサキ。そこへ少年が話しかける。


 「あのよ~、少しいいか?」


 少年の言葉に反応して二人が顔を向ける。


 「その制服ってアタラシス学園のものだよな?だったら聞きたい事があるんだけど」

 「あっ・・う、うん」

 「いや・・てゆーかアンタ誰?」


 ミサキは窮地を救ってもらったが、レンはたった今顔を合したため、少し不信感が顔に宿っていた。


 「あー、俺は久藍タクミってもんなんだが・・・・アタラシス学園ってどこにあるか教えてくれるか」

 「「・・・・・・はい?」」


 彼の質問に二人は間の抜けた声を出した。


 




 「まったく・・・・」


 場所は移りアタラシス学園の学院長室。そこには一人の少年と老人がいた。


 「転校初日に遅刻とは・・前代未聞ですよ。久藍タクミ君」

 「す、すいません」


 タクミは申し訳なさそうな顔をしてアナハイムに謝罪をしていた。


 「慣れない道で、いろいろ回り道してしまったみたいで」

 「それで魔の森に辿り着いたと・・確かに学園からは近い場所にありますが・・(それでも迷い込まないと思いますが)」


 しかし、今はタクミの遅刻よりも重大な問題が発生していた。


 「しかし・・まさか魔の森から魔物の出現・・これはいったい?」


 魔物は討伐され、ここ数年間目撃情報などはなかった。しかも、あの森は学院の監視下にあるのだ。もし、魔物が住み着いていれば、すぐに気付けた筈だ。


 「(学園の監視、森の周辺に貼ってある結界に引っかかることもなくどうやって・・・・)」


 いずれにしても、この問題は放置しておくわけにもいかない。


 「とにかく、あの森は一度くわしく調査する必要がありますね」






 「それにしても災難だったね~」


 学園の廊下でミサキとレンは先程の魔の森の出来事について話し合っていた。あの後、ミサキ達は学園へと戻った。そしてミサキはレンに何があったのかを聞かれたため、詳細の説明をしていた。


 「うん・・・・でもなんで魔物が・・」

 「とりあえず、この1件は先生達が調べてみるらしいけど、物騒だよね」


 レンの言葉に頷くミサキ。すると、レンが話題を変えてきた。


 「ところで、さっきの銀髪の人、私たちのクラスに来る予定の転校生らしいね」

 「うん、事情があって遅れたみたいだけど」

 「事情って、ようは遅刻じゃん」

 「あははは・・」


 レンの言葉に苦笑いを浮かべるミサキ。


 「でも、そのおかげで私は助かったんだけどね」

 「しかし、Aクラスはある魔物を2体も一人で・・何者なのかな?」

 「・・すごかったよ。たった一人で・・・・かっこよかったな」


 そう言ったミサキにレンがうっすら笑みを浮かべて言った。 


 「もしかして・・惚れた?」

 「・・・・はいっ!?」


 レンの言葉に驚きの声を出すミサキ。レンの笑みはさらに深まった。


 「へぇ~、ミサキにも春がきたのかなぁ~」 

 「べつにそんなんじゃないよ!!」

 「でもかっこいいって・・」

 「言ったけどそうゆうことじゃなくて!!」


 顔を赤く染めながら必死に誤解を解こうとするミサキ。そんなミサキをからかうレン。その光景は少し微笑ましかった。

 ・・・・ミサキが少し不便であったが。




 そして、3時間目の授業開始前、担任のチユリからクラスのみんなに発表があった。


 「みなさ~ん!実は今日、このクラスに転校生がやってきます!!」


 チユリの言葉にクラス内は少し騒がしくなった。そこに生徒から疑問の声が上がる。


 「先生、なんで朝のホームルームに言わなかったんですか?」

 「えっ、あ、いや、事情がありまして」

 「(転校初日に遅刻していたからなんて言えませんからね)」


 タクミに気を使い、言葉を濁すチユリ。もっとも、ミサキとレンの二人は知っているが。


 「では、久藍君。入ってきてください」


 チユリの言葉の後、クラスの扉が開き、一人の少年が入って来た。


 「では、自己紹介を」

 「はい、C地区方面から転校してきた久藍タクミだ。これからよろしく頼む」


 1年Aクラスに新たな仲間ができた瞬間だった。

       


 これからもよろしくお願いします。

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