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魔法ができてしまったこの世界で  作者: 銀色の侍
一学期 銀色の少年編
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第一話 銀色の少年

 第一話投稿しました。これからもよろしくお願いします。

 魔法学園アタラシス。そこは、魔法を学ぶ者達が通う学園。魔法をより一層学ぶ為、多くの生徒が在籍していた。

 日本は魔法が誕生したその後、生態系の変化が現れ、そして日本という国はA地区、B地区と合計アルファベットの数、二十六の地区へと括られ別けられた。

 そしてここE地区では――――


 「いってきまーす!」 


 元気な声で一人の少女が家を出た。

 彼女の名前は黒川ミサキ。彼女もまた、アタラシス学園に通う学生の一人だ。学年は1年生、容姿は黒髪のロングヘア-のとても可愛らしい子だ。


 「うーん、今日もいい天気」


 朝の清々しい天気を満喫しながら登校するミサキ。すると、ミサキに声をかけてくる子がいた。


 「オース、ミサキ。おはよーさん」

 「あ、レン。おはよう」


 挨拶をしてきたのは彼女の親友、赤咲レンという少女。赤い髪をした、ショートヘア―の女の子である。とても明るく、元気のある子である。・・・・その元気のよさに、時々振り回されることもあるが。


 「今日は確か・・・感知力を鍛えるための実習があるんだっけ?」

 「うん。一番最初の授業」


 ミサキの言葉にレンが少し嫌そうな顔をした。


 「う~ん、どうにも魔力の感知は苦手なんだよね~。どうせ実習なら体を思いっきり動かせることがしたいな~」

 「仕方ないよ。私たちはまだ1年生なんだから、基本はしっかりおさえなきゃ。」


 そう言ったミサキにレンは口を尖らせて言う。


 「でもミサキ、〝個性魔法〟が使えるじゃん」

 「それはそうだけど・・・基本が全てできてるわけじゃないよ」


 〝個性魔法〟――――人は体内に魔力持つ。だが、さらに奥底に特殊な魔力が眠っているのだ。その特殊な魔力を解放することができた者を〝個性使い〟という。ミサキは、その個性使いなのだ。

 個性の力は人それぞれだ。火、氷、風、その他の特殊な能力など、どのような力に目覚めるかは分からない。いずれにしろ、通常の魔法使いには使えない、特別な魔法が手に入ると考えればいいだろう。


 「あっ、もう学校に着きそう」


 話に少し夢中になり、二人はもうすでに学園の近くまで来ていた。二人共同じクラスのため、クラスまで一緒に歩いていく。二人のクラスは1-A。この学園は全部でAからEまでの5クラスが存在する。

 教室に入ると賑わっており、クラスメイト達は皆、思い思いの時間を過ごしていた。ミサキやレンもクラスメイト達と軽い小話をして先生が来るまで、時間を過ごす。

 それからしばらくして、担任の教師がクラスへとやって来る。


 「はーい、皆さん、席についてください」


 1-Aの担任を勤める教師。彼女の名は花木チユリ、小柄な体をして、生徒達からも中々人気のある人物だ。本人は少し背丈が低いことを気にしている。


 「では、朝のホームルームを始めます」


 チユリの言葉に皆、席につき、ホームルームが始まった。

 





 「ふ~む・・・」


 アタラシス学園の学院長室。そこでは一人の老人が唸り声を出していた。


 「困りましたね」


 老人の名はローム・アナハイム。この学園の学院長を勤めている。さて、そんな彼が今、何を困っているのかというと・・・・


 「転校初日に遅刻とは・・・」


 溜息をつきながらそう呟く。実は今日、この学園には一人の転校生が転入する筈だったのだ。しかし、どういう訳かその転校生は未だに学園には来ない。 


 「何かあったのでしょうか?」


 そう言いながら彼は窓の外に映る景色を眺めた。


  




 「・・・・・・やべぇ 」


 アタラシス学園から少し離れた場所、そこでは一人の少年が道に迷っていた。 


 「この近くだと思ったんだが・・・完全に遅刻だぞ・・・これ」


 そう言うと彼は、手元の地図に目を向ける。


 「う~ん、地図には学園の周辺は緑豊かな自然に囲まれているが・・・」


 確かに今、彼の居る辺りにも多くの自然がある。しかし、その近くに学園と思われる建物は確認できない。


 「こりゃ道を間違えたな、早く探さないと」


 そう言いながら、彼は引き返しアタラシス学園を探し始めた。

 これから自分が通う学園を・・・・・・






 アタラシス学園のグラウンド。そこでは、Aクラスの生徒達が集合していた。1時間目の授業の実習の為だ。そこへ実技担当の教師、金沢コンゴウがやって来た。


 「よし、全員揃っているな。今日は魔力に対する感知力を上げる訓練をする。」


 そう言うと金沢がポケットから何かを取り出した。一見するとそれはただの石にみえるが―――


 「(あれ、小さな魔力を感じる)」


 ミサキをはじめ、ほかの生徒達もアレがただの石ころではないことが分かった。


 「この石にはわずかな魔力を宿してある。これが今回、お前達が探す物だ」


 金沢がそう言うと、グラウンドに魔法陣が出現した。


 「これからお前達を〝魔の森〟へと転送する。」



 〝魔の森〟――――そこは学園から少し離れた場所に位置する自然豊かな森である。生態系の変化からか、魔法が発現した後の世界では、緑が増殖したのだ。

 何故魔の森と呼ばれているかというと、かつてこの辺りは大勢の魔物が住み着いていたのだ。しかし、それは過去の話。今は魔の森や、その周辺の魔物は討伐され、既に魔物の存在は確認されていない。 

 アタラシス学園がこの森を買い取り所有している理由は、この森特有の植物などにあった。魔法の資料に利用したり、特殊な薬草などが生えているなど、魔物がいなくなりとても利用できる場所となったからだ。

 今回のように、魔法の実技のために利用することもしばしばある。



 「森には俺が前もってこれと同じ石をいくつも設置しておいた。魔力の感知の仕方については前回の授業の際、全員理解できていたからな。精神を研ぎ澄まし、魔力の出どころを感じ取れ。石を見つけた者はその石に自分の魔力を注げ。そうすれば、グラウンドへと自動転送され帰ってこれる」


 続けて金沢が言う。


 「また、一人では何かあるといかんからな。今回は二人一組となり、授業を行うこととする。時間以内にも見つけられない場合は俺が回収に行くから安心しろ」


 金沢の言葉を聞き、すぐにレンは隣のミサキに話しかけた。


 「ミサキ、一緒に組も、ねっ」


 レンの誘いにミサキは頷いた。


 「うん。よろしくね、レン」


 ミサキとレンの様に、ほかの生徒達もペアを組む。そして、クラス全体が二人一組の状態を作った。


 「よし、では転送する」


 金沢が魔力を込めると魔法陣が光り、生徒達を森へと転送した。






光が収まると、生徒達は全員魔の森へ転移が完了していた。

早速皆は魔力を探知し始める。わずかな魔力をたどり、それぞれのペアが移動し始める。


 「う~ん、やっぱり感知は苦手だ~」


 ムムムッといった顔をしながらレンが言う。一方ミサキの方は微かな魔力を感知できた。


 「レン、向こうの方角から若干の魔力を感じ取れたよ。行こう」

 「さっすが~、ミサキ。私は全然だよ」


 そう言いながら二人も行動を開始する。

 少し移動するとミサキが周りを見渡して言った。


 「・・・この辺りから魔力を感じるんだけど・・・正確な位置まではちょっと分からないかな」

 「とりあえず魔力の探知をしながらこの辺を探そっか」


 レンの考えにミサキも頷き、二人は周囲の探索を始める。






 学園のグラウンド。そこに描かれている魔法陣からAクラスのペアの1組が帰ってきた。


 「これであと5組か・・・」


 帰ってきた生徒を見て、金沢が呟いた。


 「あいつはまだ来てないな・・・」


 金沢は小さな声で囁いた。その声はとても小さく、生徒達の耳には当然聞こえていない。


 「おまえ達、残りの時間は各自で前回の実習で行ったことを自主練習していろ!俺はまだ帰ってきていない生徒達を迎えに行く!!」


 金沢の大きな声で放たれた指示に、生徒達はそれぞれ返事を返す。


 「さて、行くか」


 金沢の持つ個性の力〝転送魔法〟を使い、彼は魔の森へと転移した。






 魔の森では、ミサキとレンが探索を続けていた。しかし、ミサキとレンは現在単独で石を探していた。


 「・・・レン、大丈夫かな?」


 心配そうな顔をしながらミサキが呟く。ミサキは二人で探そうと言っていたのだが、レンは効率よく探す為、別れて探すべきだと言い、別行動になったのだ。


 「まったく・・・自分からペアを組もうといったくせにこれだもん」


 小さくため息をはきながらぶつぶつ小言を言う。

 だがそれよりも、ミサキには不安があった。


 「(この森、魔物がもう生息していないとはいえ、少し危険なきがするんだよね)」


 仮にもかつては魔物が住み着いていた場所だ。多少不気味に感じるのも仕方がないだろう。

 

 「あっ、あった!」


 ようやく目当ての石を見つけ、それを回収するミサキ。本来ならばこのまま帰れるのだが、レンを置いていくわけもいかず彼女を探しに行く。


 「もう、結局余計に手間がかかったな」


文句を言いつつも、レンのことを探すために動き出すミサキ。


 「レーン、どこにいるのー!」


 彼女の名を呼びながら姿を探すミサキ。その時――――


 ――グルルルルルルルル――


 何かの唸り声のようなものが聞こえた。


「えっ、何のお・・・と・・・」


 ミサキが音が聞こえた方に顔を向けると、彼女はそのまま固まってしまった。

 そこには――――魔物が居た。






 レンの方はまだ探索を続けていた。しかし、こちらは目標物がまだ見つけられていない。


 「だめだ~。やっぱりうまく魔力が感知できない」


 別々に別かれておきながら、まるで見つけられる気がしない。

 だが、自分から分かれて探索、なんて言っておいてすぐに戻るのも気が引ける為、もう少し自分だけで探そうと頑張るレン。


 「(それにミサキ一人に頼りっきりってわけにもいかないし)」


 レンがそう思っていると・・・・・・。


 ――――グオオオオオオオオオオッッ!!――――


 「!?」


 突然聞こえてきた巨大獣の咆哮のような声に驚き、その場で倒れかけるレン。声の発生源に目を向けると、レンの顔に焦りが表れる。


 「あそこらへん・・・ミサキの居る場所じゃん!!」


 すぐにミサキの元へと向かうレン。親友の無事を祈りながら彼女は全力で駆けた。






 「くぅぅぅぅっ!」


 魔物から距離を取る為、走って離れるミサキ。


 「ガアアアアアアアアアッ!」


 しかし、魔物はそんなミサキを逃がすまいと追いかけて来る。その眼はミサキを餌として見る眼だ。


 「くっ、≪火炎弾≫!!やあっ!!」


 しかし、ミサキもただ逃げるだけでなく、攻撃を放つ。ミサキの手からは掛け声と共に炎の弾が魔物に放たれた。


 ――ドガァァァァァァンッ――


 「ギャウッ!?」


 これこそミサキの個性〝炎〟の力である。

 炎の弾が当たり、悲鳴を上げる魔物。


 「やああああああっ!!」


 そのまま連続で炎の弾を当て続けるミサキ。さすがの魔物もたまらず徐々に弱っていき、そして・・・・


 「グッ・・・ガッ・・・」


 とうとう力尽き倒れた。

 魔物が倒れたことを確認し、ひとまず安堵するミサキ。しかし、すぐに疑問が沸き出す。


 「どうして魔物が・・・いやっ、それよりも早くレンを探さないと!!」


 この森には魔物がまだ存在している以上、自分たち生徒だけでは危険すぎる。一刻も早くレンと合流し、学園に報告をする必要がある。だが、新たな危険がミサキにおとずれた。


 「ぐがぁぁぁぁぁぁッ!!」

 「ぐるるるるるるるる・・・」

 「う、ウソ・・・!」


 なんと、新たな魔物がミサキの前に現れたのだ。しかも、今度の魔物は先ほど以上に大きかったのだ。


 「くっ、でかい!(それに感じる魔力もとても大きい!)」


 ミサキが先ほど倒したのはせいぜい〝Cクラス〟の魔物。ランクも低く学生でも倒せるレベルのものだった。しかし、この2体は〝Aクラス〟並のもの。学生には荷が重いレベルだ。

 ミサキの中に恐怖が生まれる。

 そんなミサキの心情などお構いなしに、魔物たちは襲い掛かって来る。


 「くっ、来ないでッ!!」


 攻撃を繰り出し、魔物たちに放ち続けるミサキ。しかし、先ほどの魔物と違い動きが速く、そのうえ攻撃が当たってもたいしたダメージを与えることはできなかった。

 そして、魔物の一体がミサキの前まで近づき、腕を振り下ろす。


 「くうぅっ!」


 なんとかその攻撃を回避するミサキ。だが――――


 「ウガァッ!」


 ――バシィィィィィィッッ!!――


 「きゃあああああああっ!?」


 もう一体の魔物がミサキが攻撃を避けたタイミングで攻撃をしたのだ。立続けに攻撃を避けることができず、ミサキはその攻撃をモロにくらう。

 ミサキの体が吹き飛ばされ、地面に激突する。


 「う、うぅ・・・」


 魔力で肉体を強化しているとはいえ、ミサキの体には強烈なダメージが与えられた。


 「うぐ・・・っ」


 なんとか立ち上がろうとするミサキ。だが・・・・


 「ぐおおおおおっ」

 「あ・・・」


 ミサキの目の前には、自分を食べようと大口を開けて迫りくる魔物の姿が映った。


 「(あ・・・死んだ)」


 思わずそう思い、恐怖の余り目をギュっとつぶるミサキ。


 「(さようなら。レン)」


 心の中で親友に別れを告げるミサキ。

 その時、銀色の髪がミサキの視界に映った


 ――ドゴォッ!!――


 「ギャインッ!!?」

 「へ・・・?」


 突然の事態にミサキは思わず呆けた声を出した。

 自分に迫っていた魔物は吹き飛ばされ、そして、自分の前には一人の少年が立っていたのだ。


 「大丈夫か?」


 そう言いながら振り返る少年は銀色の髪を靡かせ、赤と青の瞳を宿していた。




 これからも頑張って続けていきたいと思います。

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