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第百四十九話 突入!2


 〝不死鳥の炎〟を狙う存在のアジトへと突入するタクミとレイヤー。

 地下へと続く階段を降りて行く二人。その表情はさすがに敵の拠点としている内部であるだけ僅かながらに緊張の色が見て取れる。


 「人の気配は・・・しないな」

 「ええ・・・人はね・・・・」


 今の所、確かに人の気配は皆無だ。だが、そんな静寂も少しの間であった。アジトの奥へ奥へと進んでいくと、前方から複数の数の足音が聞こえて来たのだ。


 「来たわね・・・」


 レイヤーが前方からやって来る客人達を見つめながら、魔力を高める。

 

 「こいつ等は・・・」


 タクミたちの前に立ち塞がった者達は、先程戦闘を行った黒マント集団の人形達であった。

 人形達はそれぞれに武器を構え、タクミたちとの距離を縮めていく。


 「さあ、始めるわよ」

 

 レイヤーが両腕に魔力を集約する姿を見て、タクミも両の拳を強化した・・・・・。







 「さて・・・まずは手始めにレベル1の兵隊達を向けてみたが・・・・・」

 

 恐らく突破されるだろう。

 だが、そんな事は自分も想定の範囲内。そもそも河川レイヤーの単独相手でも、何度も襲撃に失敗しているのだ。しかも今はなにやら味方もいるようだ。


 「レベル1では倒す事は出来はしないが、それでも魔力、体力共に削る事はできる」


 このアジトには他のダミーのアジト以上に戦力を兼ね備えている。


 「最後に勝のは俺だ・・・・・」


 男はニンマリと不気味な笑みを浮かべながら小さな声で呟くのであった。







 「≪金色百裂神拳≫!!!」


 タクミの無数に放たれる拳が立ちはだかる人形達を次々と破壊していく。

 

 「オオオオオオッ!!」


 こともなく次々と人形を破壊して行くタクミ。そして、タクミ同様にレイヤーも次々と人形を爆破して行っている。

 

 そして、大した時間もとられずに全ての人形を殲滅し終わった二人。


 「やっぱりアンタを連れて来て正解だったわね。人手が一人増えるだけでも随分と楽できるわ」


 レイヤーは地面に転がっている人形の頭部を踏み砕き、タクミのことを見る。


 「いや、まだみたいだぞ・・・」


 タクミがレイヤーの奥の通路へと顎を軽く動かす。


 「ちっ・・・」


 タクミに示されて視線を傾けると、先程と同じく人形達がこちらへと迫って来ていた。その光景におもわず舌打ちをしてしまうレイヤー。

 分かり切っていた事とはいえ、やはり首謀者の元への道のりはまだまだ遠いようだ。







 タクミ達が雑兵を相手取っている頃、レイヤーとタクミが標的としている目的の人物は元居た部屋から別の部屋へと移動していた。


 男の名前は創始(そうし)ケイ。彼はミサキの持っている〝不死鳥の炎〟、その力を必要としていた。己が目的の為に・・・・・。


 「実玖(ミク)・・・・・」


 創始は目の前で座り込んでいる一体の人形を眺めていた。


 その人形は整った顔をしている黒髪の美しい女性の人形。その瞼は閉じており、創始に名前を言われても反応を示す事も無い。


 「必ずお前に命を宿してやるよ。永遠の魔力、その力が有れば・・・・・」


 創始は薄気味の悪い笑みを浮かべながら、実玖と呼ばれている人形の頬を優しく撫でた。







 「まったく、いやになるわ」


 レイヤーが最後の一体の人形を爆破しながら愚痴をこぼす。

 

 「とりあえず、もう増援が来る気配はないな」


 新たにやって来た人形達を片付けた後、再び新たな人形がこちらにやって来る気配がないため、とりあえず一息つくタクミ。

 だが、タクミとは違いレイヤーは先へと続く通路を厳しい目で睨んでいる。


 「これで終わりではないと思うけど・・・」


 この程度の戦力しかないのであれば、そもそも自分は隣に居る銀髪に手助けを求める事などありえない。

 

 「ここから先は少し慎重に行きましょうか・・・・・」


 レイヤーの言葉にタクミも小さく頷いた。

 そして二人は目的の人物、創始ケイの元へと着実に迫りつつあった。







 その頃、創始はモニターのある部屋へと戻ってきており、二人の動向を観察していた。

 案の定、差し向けた兵隊は全滅。しかも、想定以上に二人の魔力、体力も削ることは出来なかった模様。 だが、この段階ではまだ創始の顔から余裕の笑みが崩れることはない。


 「やはりこの程度ではまだまだか・・・ならば、次はこいつ等だ」

 

 そう言うと、タクミとレイヤーに創始は新たな人形達を向かわせた。







 アジトの最深部を目指すタクミとレイヤー。

 人形達を片付けてからはしばらくは何事も無く進んでいた二人であるが、やはりすんなりは先に進ませてくれる気はない様だ。


 何故ならば、二人の進むべき道のりの先には三対の人形が立ちはだかっていたからだ。


 「また人形のおでましよ・・・」

 「ああ、だがこいつ等・・・」


 明らかに先程とは気配が違う。人形相手に気配が違うというのも少しおかしな話だが、目の前にいる人形達から感じる言いようのない嫌な気配、二人はそれを敏感に察知していた。


 『『『攻撃を、開始する!!!』』』


 機械音声の声を放ちながら、三体の人形はタクミ達へと迫って来た。

 それぞれが鋭利な日本刀を抜き取り、こちらへと迫って来る。


 「(速い・・・!)」


 レイヤーは咄嗟に前方に爆風を発生させる。

 

 だが――――――


 「チィッ!!」

 

 すぐに攻撃を繰り出したレイヤーの口からは舌打ちが放たれる。

 彼女の放った爆破を乗り越え、爆風を掻き分けて三体の人形達はこちらへと向かってきたのだ。


 「だあッ!」


 その内の一体にタクミは殴りかかる。

 タクミの拳を受けた人形は後方へと吹き飛ばされるが、残り二体の人形がタクミ目掛けて刃を振るってくる。


 「・・・ッ」

 

 タクミはその刃を紙一重で避け、逆にそれぞれに蹴りを放つ。

 僅かに後退する人形たち。そこへ今度はレイヤーの攻撃が繰り出された。


 「≪エクスプロージョンKB≫!」


 レイヤーの放った爆発の大玉が人形達へと迫って行く。

 三体はそれぞれその爆発の玉を避けようと動くが、その内の一体の人形にレイヤーの放った≪エクスプロージョンKB≫は引き寄せられるように追尾して行き、そのまま接触、大爆発を起こした。


 「残念、この技は追尾型なのよ」


 レイヤーが薄く笑いながら、粉々に爆砕された人形の一体に言った。

 

 『砲撃!!!』


 残りの二体の内、一体の人形が魔力による光線をタクミへと放つ。

 

 「ハッ!!!」


 自らに向かってくる光線に合わせ、タクミも魔力砲を放つ。

 僅かな間、タクミと人形の技がぶつかり合い、競り合っていたがそれも本当に僅かの間。すぐにタクミの魔力による砲撃が敵の光線を押し返し、そのまま人形を飲み込んで行った。

 

 最後に残った人形が、刀に魔力を集約してレイヤーへと斬り込んでいく。

 だが、レイヤーは自分に向かってくる人形に舌を出してあざ笑う。


 「バーカ♪」


 人形がレイヤーへと距離を縮めて行くが、敵の人形がレイヤーへと辿り着くことは出来なかった。


 何故ならレイヤーに辿り着く手前で、人形の足元が爆ぜたのだ。


 「御免なさいねぇ。そこ、さっき地雷魔法を仕掛けておいたのよ」


 爆発四散した人形の欠片を眺めながらそっと呟くレイヤー。


 こうして二人は少しずつ先へと歩を進めて行くのであった。




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