幕間3
やるべき仕事を終え、無事帰還を果たした久藍タツタとルアーネ・ネウロ。
彼らは世界の狭間である一面白に世界へと戻って来た。
「暗夜ホセ・・・別の世界の扉を出現させるとは、危ない所でしたね」
「ええ、私も移動と同時にアレを見て正直肝が冷えたわ」
ルアーネはタツタにべったりとくっつきながらそう言った。
タツタは張り付いてきた彼女を引きはがしながら、その場で腰を下ろす。それに続いてルアーネも隣に座った。
「我々〝始末使い〟がまさか別の世界まで足を運ぶことになるとはね・・・」
「ねー」
そう言いながら、再びべったりとくっつくルアーネ。
タツタは諦めた様で、今度は引きはがそうとはしなかった。
「ねえタツタ」
「なんです?」
彼女に名を呼ばれ、顔を向けるタツタ。
それに合わせる様、ルアーネが彼の唇に自分に唇を合わせる。
「あむ・・・・・」
「んぅ・・・・・」
数秒間の口づけの後、彼女はキスを中断し、彼に聞いた。
「本当はお兄さんと居たかったんじゃないの?」
「言ったはずです。彼と接触するのは・・・・」
「そういう事じゃないわよ」
ルアーネはタツタの頬に片手を添え、優しい声で語り掛ける。
「実の兄弟が居るのに逢うことが出来ない・・・・・寂しい筈でしょ」
「・・・・・」
「あなたの寂しさくらいは見抜けるわよ」
ルアーネは頬に当てている手を軽く動かし、彼の頬を撫でる。
「今日は・・・その寂しさを私が紛らわしてあげようか?」
ルアーネがタツタにそう言うと、タツタはルアーネに体を預けた。
彼女はそんな彼の事を抱き寄せる。タツタの頭が彼女の豊満な胸へと埋まる。
「ルアーネ・・・すいません」
「いいのよ、今日は命一杯、私に甘えて・・・」
彼女はまるで幼い子供をあやすように彼の頭を優しく撫でる。
その温かな手を子供の様に受け入れ、彼女に甘えるよう、ルアーネの胸に顔を埋めた。
「(兄さん・・・いつかは・・・あなたを・・・)」
タツタは心の中で一度そう強く思うと、その後はルアーネの優しさに素直に甘えた。
タクミは未だ自分の存在そのものすら知ってはいない。
いずれ、久藍タクミにも真実を告げなければならない。その時、彼は果たして何を思うのだろう・・・・・。